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経産省がコロナ対策でマスク生産に助成金。3Dマスクは申請できるか聞いてみた―経済産業省

シェアラボ編集部では、2020年2月から深刻化の度合いを深める新型コロナ感染拡大に対して世界中で3Dプリンターがどのように活用されてきたかを取り上げてきた。またアメリカでの官民一体となった医療機器不足への対策としてのAM活用の在り方をAmericaMakeなどの取り組みを通じて紹介してきた。今回は日本での政府の働きかけについて取り上げてみたい。

ご存知のように、日本でも緊急事態宣言が4月に発令され、政府がかつてないイニシアティブを発揮しコロナ封じ込めのための対策を行っている。そんな中で、マスク増産に関する取り組みを、経済産業省(以下、経産省)が行っている事をご存じだろうか。

こうした支援要請と並行して、経産省ではマスク増産に取り組む企業を支援する補助金の申請を受け付けている。既に3月から何度か実施されているようだ。

シャープ亀山工場で生産されているロゴ付きマスク
シャープ亀山工場で生産されているロゴ付きマスク(出典:シャーププレスリリース)

この助成金を活用している先行事例は複数あるようだが、その中の代表例として、50枚入りの1箱を4月21日から3980円で販売するシャープを紹介しておく。シャープのマスク紹介ページからの購入が可能だ。 当初 3,000箱/日(15万枚/日)、その後生産設備を増強し、10,000箱/日(50万枚/日)の販売を目指すとしている。

※後の質問への回答文にある必要書類なども、以上のサイトからダウンロードできる。

経産省マスク助成金担当窓口に聞く

シェアラボで取り上げてきたような3Dプリンター製マスクは、今回の助成金の対象になるのだろうか。 経産省のマスク補助金担当窓口にメールで問い合わせてみたので、結果を報告したい。(迅速な返信を頂けたことも、併せてご報告しておく。)

***

質問1 令和2年度「マスク等生産設備導入支援事業費補助金(マスク生産設備導入)」におきまして、3Dプリンター製のマスクは補助金の対象になりますでしょうか?

回答)補助対象事業者は採択審査委員会の審査を経て決定することとなりますが、今回の補助事業で導入した設備は、補助金適正化法に基づき補助目的以外での使用はできませんので、導入した設備でマスクのみ製造いただくことになります。本補助金は会計検査の対象にもなりますので、予め、募集要領・交付要領・補助金適正化法をご確認ください。

質問2 今までマスクの生産に取り組んでいなかった企業(自動車部品メーカーなど)も対象になりますでしょうか。

回答)申請者がマスクの生産実績がない場合は応募資格を満たしませんが、実績のあるマスク生産事業者(マスクの形成メーカー(マスクの製造者)、または、マスク関連原材料メーカー(マスク部材の製造者))とコンソーシアム形式にて申請を行う事は認めています。マスクを早急に市場に供給してくれる事業者を支援する事が目的ですので、採択に際しては、生産数量はもちろん、資材調達先や販売先がある事など事業実施の蓋然性があることを重視しております。なお、申請の際は、提案書様式3または4中の「(4)実施体制」に必要事項をご記入頂くことになります。

質問3 マスクではないフェイスシールドは、対象になりますでしょうか?

回答)フェイスシールドの製造に関しては、今回の補助金は対象ではありませんので、経済産業省生活製品課にお問い合わせ頂ければ幸いです。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/seikatsuseihin/index.html

以上の回答の他に、製造に取り組む企業に役立つ情報も教えて頂いたので、併せて紹介しておきたい。

●本補助事業以外にも、主に中小企業を対象としたものとなりますが、税制措置などをお使いいただくこともあり得るかと思いますので、税制についてご案内させていただきます。
 中小企業税制ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/pamphlet/2019/191010zeisei.pdf
 ※このうちの「中小企業投資促進税制」「生産性向上特別措置法に基づく固定資産税の特例」などが親和性高いかと思われます。
  問い合わせ窓口 … 企業税制サポートセンター TEL: 03-6281-9821(平日9:30-17:00)

●また、新型コロナウィルス感染症で影響を受ける事業者向けのパンフレットもございますので、併せてご案内させて頂きます。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

市場が求めているマスクの増産支援

質問の結果、今までマスクを作ってきたメーカーが増産するための補助金(というか受注残を消化するための緊急支援)、という性格の濃い取り組みであることがうかがえる。

主な要点としては

  • ・申請対象は医療用、業務用、家庭用マスク。フェイスガードは対象外。
  • ・月産で1ラインあたり、不織布マスク100万枚以上、不織布マスク以外は1万枚以上生産すること
  • ・3Dプリンター製マスクでも申請できるが、きちんとした審査がある。
  • ・補助金は、導入に掛かる機器費用やコンサル費など実費への助成だが、導入した機器はマスクの生産以外には利用してはいけない。
  • ・申請には、事業計画、販売目標、協業パートナーなど具体的な記載が必要。
  • ・マスクの生産実績がない事業者のみの申請は対象外。生産実績がある企業とのパートナリングやコンソーシアムに参加している場合は対象になる。

といった点が挙げられるが、丁度取材を行った4月16日にQ&Aが公開された。非常によくまとまっているので、こちらも参照されたい。

ということで、思い付きで作る、という軽いノリではハードルが高い仕組みだが、 シャープなども国内工場でマスク生産に取り組む際にこの助成金を利用している。 きちんと市場ニーズに沿ったマスクを供給する意思のある企業にとっては大きな後押しになるだろう。(助成金の経費に対する割合も大きい)

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増産によって医療現場や死亡リスクが高い高齢者に、マスクが早く届く事を願うと共に、今回の政府による支援はテレビなどでは中々紹介されないが、活用頂ければと思う。

関連リンク

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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