第一実業、ExOneと国内販売代理店契約を締結―voxeljetと合わせ砂型3Dプリンターの提案体制を強化

2026年9月15日
出典:第一実業株式会社
出典:第一実業株式会社

総合機械商社の第一実業株式会社は、産業用3Dプリンティングソリューションを展開する株式会社ExOneと、砂型3Dプリンターの日本国内における販売代理店契約を締結した。第一実業は2019年からvoxeljetの砂型3Dプリンターを国内で取り扱っており、今回の契約によってExOne製品もラインアップに加わる。今後は両ブランドの製品を通じ、試作開発や少量多品種生産、大型鋳物など、用途や生産条件に応じた砂型3Dプリンティングソリューションの提案を強化する。

ExOneとvoxeljet、両ブランドの国内販売窓口に

第一実業は2019年、ドイツのvoxeljet社と販売代理店契約を締結し、日本国内で砂型3Dプリンターの販売および技術サポートを展開してきた。

その後、2025年にExOne社とvoxeljet社がExOne Global Holdings傘下で運営される体制へ再編された。これを受けて関係各社で協議を進めた結果、第一実業が両ブランドの日本国内における販売窓口を担当することで合意し、今回のExOneとの販売代理店契約に至った。

これにより第一実業は、従来取り扱ってきたvoxeljetにExOneを加え、両ブランドの砂型3Dプリンターおよび関連技術を国内製造業に提案できる体制となった。

砂型3Dプリンターは、3D CADデータをもとに鋳造用の砂型や中子を直接造形できる。従来の鋳造工程で必要となる木型を使用せずに砂型を製造できるため、木型製作に要する時間を削減できるほか、従来工法では製作が難しい複雑形状にも対応しやすい。

第一実業は今後、試作開発や少量多品種生産、大型鋳物向けの砂型造形などを中心に、顧客の用途や生産条件に応じた提案を強化する。鋳造プロセスの効率化や短納期化、設計自由度の向上に加え、木型レスによるリードタイム短縮やコスト低減を支援する方針だ。

また、装置導入前の提案から導入時の立ち上げ、保守・メンテナンス、アフターサービスまで一貫したサポートを提供する。

大型機「S-Max Pro」と新型「S-Print Pro」を展開

ExOneは、産業用3Dプリンティング技術、特にバインダージェッティング方式の分野で実績を持つ企業である。砂材料を中心とした3Dプリンティングソリューションを展開し、鋳造、自動車、航空宇宙、重工業、研究開発など幅広い分野で採用されている。

第一実業が取り扱う主な製品の一つが、産業用大型砂型3Dプリンター「S-Max Pro」である。造形サイズは1,800×1,000×H700mmで、大型砂型や複雑形状の中子造形に対応するハイエンドモデルだ。

3D CADデータから砂型や中子を直接造形できるため、木型製作工程を削減できる。複雑な中子や大型砂型の一体造形にも対応し、設計自由度の向上や製造工程の効率化につなげられる。

さらに、2026年発売の次世代砂型3Dプリンター「S-Print Pro」もラインアップする。造形サイズは1,200×750×H500mmで、最新のハードウェアとソフトウェアを搭載。省スペースかつシンプルな設備構成とし、導入しやすさにも配慮した。

S-Print Proは、試作開発や小ロット生産、中型サイズの砂型造型などを想定しており、高精度な造型と柔軟な材料対応によって、開発スピードの向上や工程効率化を支援する。

産業用大型砂型3Dプリンター「S-Max Pro」出典:第一実業株式会社
産業用大型砂型3Dプリンター「S-Max Pro」出典:第一実業株式会社
出典:次世代砂型3Dプリンター「S-Print Pro」(2026年発売)
次世代砂型3Dプリンター「S-Print Pro」(2026年発売)出典:第一実業株式会社

編集部コメント

砂型3Dプリンターは、金属部品そのものを3Dプリントするのではなく、鋳造工程で使用する砂型や中子をデジタルデータから直接製造する技術である。そのため、既存の鋳造設備や材料を生かしながら、3Dプリンティングのメリットを製造工程へ取り込める点が特徴だ。

今回注目したいのは、第一実業がExOne製品を新たに取り扱うことだけでなく、すでに扱ってきたvoxeljetと合わせて両ブランドの販売窓口を担う点である。砂型3Dプリンターは、造形サイズや生産量、求める精度、材料などによって適した設備が異なる。複数の選択肢から生産条件に合わせた装置を提案できる体制が整うことは、国内鋳造企業にとって導入検討の幅を広げる動きといえる。

特に、木型製作の負担が大きい試作品や一品物、少量多品種の鋳物、複雑な中子を必要とする部品などでは、砂型3Dプリンティングとの相性が良い。国内鋳造現場でこうしたデジタル製造技術がどこまで普及していくのか、今後の展開が注目される。

用語解説

【用語解説】バインダージェッティング方式

粉末状の材料を薄く敷き、その必要な部分に液体の結合剤(バインダー)を噴射して固める工程を繰り返し、立体物を造形する3Dプリント方式。砂型3Dプリンターでは砂の層にバインダーを噴射することで、3D CADデータから鋳造用の砂型や中子を直接造形できる。
【用語解説】砂型3Dプリンター

鋳造に使用する砂型や中子を、3D CADデータをもとに直接造形する3Dプリンター。従来の砂型鋳造で必要となる木型を使わずに造形できるため、試作や少量多品種生産のリードタイム短縮に適している。また、従来工法では製作が難しい複雑な内部形状を持つ中子なども造形できる。
【用語解説】中子(なかご)

鋳造品の内部に空洞や複雑な流路などを形成するため、鋳型の内部に配置する砂などで作られた型。エンジン部品やポンプ、産業機械部品など、内部に複雑な構造を持つ鋳物の製造で用いられる。砂型3Dプリンターを利用することで、従来工法では製作が難しい複雑形状の中子も直接造形できる。

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