生成AIによる3Dモデル生成技術を開発するTripo AIは2026年9月1日、シリーズBおよびシリーズB+の資金調達ラウンドで、総額約30億元(2026年9月10日時点、1人民元=約22.89円換算で約687億円)を調達したと発表した。
今回の資金調達はMPCiが主導し、Perfect World、BlueFocus、SPC、Yanqu Games、ThunderSoft、37 Interactive Entertainmentなどの戦略・事業投資家が参加した。
同社は調達資金を、3Dネイティブ基盤モデルや3Dデータインフラの開発、AIの学習・推論に必要なコンピューティングインフラの拡充、製品開発および商用展開などに活用する。
また、資金調達とあわせて最新の3Dネイティブ基盤モデル「Tripo P2.0」のプレビュー版を発表した。Tripo AIによれば、同モデルは業界で初めてクアッドトポロジーに対応し、実際の制作工程で利用可能な高品質3Dオブジェクトを数秒で生成できるという。
目次
シリーズB・B+で約30億元を調達
今回の資金調達ラウンドには、ゲームやソフトウェア、広告など幅広い業界から投資家が参加した。
戦略・事業投資家にはPerfect World、BlueFocus、SPC、Yanqu Games、ThunderSoft、37 Interactive Entertainmentが名を連ねる。
金融投資家としてはCDH Venture and Growth Capital、CICC、CMC Capital Partners、Hongtai Aplus、3H Health、Zhongping Capital、GreatOrigin Asiaなどが参加した。
さらに、既存投資家であるFortune Capital、Primavera Capital、4399 Network、Muhua Tech Ventures、Vitalbridge Capital、INCE Capital、T-Capitalも追加出資を行っている。
調達額は約30億元で、2026年9月10日時点の為替レート(1人民元=約22.89円)で換算すると約687億円となる。生成3Dを手がけるAI企業への投資として、その規模の大きさが目を引く。
「Tripo P2.0」はクアッドトポロジーに対応
Tripo AIは今回の資金調達と同時に、最新の3Dネイティブ基盤モデル「Tripo P2.0」のプレビュー版を発表した。
Tripo P2.0は従来モデル「Tripo P1.0」のアップグレード版で、同社によれば業界で初めてクアッドトポロジーに対応した3Dネイティブ基盤モデルである。
クアッドトポロジーとは、主に四角形ポリゴンによって3Dモデルの表面形状を構成する方法である。3DCG制作では、モデリング後の編集や変形、リギング、アニメーションなどを行いやすいという利点がある。
生成AIによる3Dモデルでは、単に見た目の形状を生成できるだけでなく、その後の3DCG制作工程で扱いやすいデータを出力できるかどうかが重要になる。
Tripo AIは、Tripo P2.0によって高品質で制作工程に利用可能な3Dオブジェクトを数秒で生成できるとしている。
製造業やVR、エンボディドAIにも展開
Tripo AIは2023年、AIおよびコンピュータグラフィックス分野の研究者らによって設立された企業である。3Dネイティブ基盤モデルとワールドモデルを中核に、「Tripo Studio」や「Tripo API」などのサービスを展開している。
同社の技術は個人ユーザーだけでなく企業にも導入されており、スマートマニュファクチャリング、VR(仮想現実)、インタラクティブエンターテインメント、エンボディドAIなどへの活用が進められている。
今回調達した資金について同社は、3Dネイティブ基盤モデルおよび3Dデータインフラの開発を加速するとともに、AIモデルの学習・推論に必要な計算基盤の拡充、製品開発、商用展開などに投入する方針だ。
生成AIによる3Dモデル生成は、ゲームや映像制作だけでなく、製造業における設計、シミュレーション、デジタルツイン、ロボティクスなどへの応用も期待される。数百億円規模の資金が生成3D分野に流入したことは、3Dデータ生成そのものがAI開発競争の重要領域になりつつあることを示す動きといえる。
シェアラボ編集部コメント
生成AIによる3Dモデル生成では、「それらしい形を短時間で作れる」段階から、「生成したデータをそのまま実務のワークフローに持ち込めるか」が次の焦点になっている。
今回のTripo P2.0で特に注目したいのがクアッドトポロジーへの対応である。生成された3Dモデルを後工程で編集・加工しやすくなれば、ゲームやCGだけでなく、製造業におけるデザイン検討や3Dプリント用データ作成などへの展開も考えられる。
一方、AIが生成した3Dモデルをそのまま3Dプリンターで製造できるようになるには、形状だけでなく寸法精度、肉厚、強度、造形可能性など、製造特有の条件を満たす必要がある。その意味では、生成AIと3Dプリンティングがどこまで直接つながっていくのかが今後の注目点だ。
約687億円という大規模な資金調達からも、生成3DがAI市場における重要な競争領域の一つとして認識され始めていることがうかがえる。
用語解説
| 3Dネイティブ基盤モデル 3Dデータの構造や形状を直接扱うことを前提として設計されたAI基盤モデル。テキストや画像などの入力から3Dモデルを生成したり、3D空間そのものを理解・処理したりする用途への活用が進められている。 |
| クアッドトポロジー(Quad Topology) 主に四角形ポリゴン(Quad)によって3Dモデルの表面を構成するトポロジー。形状の編集や変形、サブディビジョン、リギング、アニメーションなどの後工程で扱いやすく、3DCG制作で広く利用されている。 |
| ワールドモデル(World Model) AIが現実世界や仮想空間の構造、物体の関係性、物理的な変化などを内部的に表現し、将来の状態を予測したりシミュレーションしたりするためのモデル。ロボティクスや自動運転、エンボディドAIなどへの応用が期待されている。 |
| エンボディドAI(Embodied AI) ロボットなどの身体(Embodiment)を持ち、センサーなどから得た情報をもとに周囲の3D環境を認識・判断し、実世界で行動するAI。ロボティクス分野を中心に研究開発が進められている。 |
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