台湾の3DプリンターメーカーPhrozenは2026年9月23日、14インチ16Kの大型MSLA方式レジン3Dプリンター「Sonic Mighty Revo 16K MAX」を発表した。大型・長時間造形を想定し、デュアルヒーティング機構や2Lの大容量レジンバット、1080pカメラによる遠隔監視、交換作業を簡略化したメンテナンス機構などを搭載する。米国での販売価格は1,600米ドルである。
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大型レジン造形の安定運用を重視したRevo MAX
レジン3Dプリンティングでは、造形サイズが大きくなるほどプリント時間やレジン使用量が増加し、造形途中の温度変化や材料不足、メンテナンスなどが造形失敗につながった際の損失も大きくなる。
Sonic Mighty Revo 16K MAX(以下、Revo MAX)は、こうした大型レジン造形特有の課題を想定して開発された14インチ16K MSLA方式の3Dプリンターである。クリエイターや造形スタジオだけでなく、ジュエリー用パターンや機能試作、造形サービスなど、長時間造形やバッチ生産を行うプロフェッショナルユーザーも対象としている。
特徴のひとつが、造形環境の温度を管理するデュアルファン式のチャンバー加熱システムだ。チャンバー内部を30℃まで加熱でき、低温環境や粘度の高いエンジニアリングレジンを使用する際の造形安定性を高める。
さらにオプションとして、レジンそのものを直接加熱する加熱式レジンバットも用意する。レジンの粘度上昇を抑え、各層のリフト後に材料が均一に流れやすい状態を維持することで、長時間造形における積層の安定化を図る。
材料供給には2Lの大容量レジンバットを採用した。Phrozenによると、標準的な1kg入りレジンボトル約2.5本分を保持できるという。夜間の長時間造形やビルドプレート全面を使ったバッチ生産、大型モデルの造形などで、途中のレジン補充回数を減らせる。
自動供給ポンプやチューブを使用せず、大容量バットで対応する構成とした点も特徴だ。配管の詰まりや緩み、レジン漏れといったトラブル要因を増やさずに、大量の材料を保持できるとしている。
メンテナンス性についても、大型機を継続運用することを意識した設計となっている。オールメタル製ビルドプレートの上面には傾斜が設けられ、造形後に残ったレジンが自然に流れ落ちる構造を採用した。
また、ビルドプレート、リリースフィルム、LCDは素早く取り外し・交換できる。LCDにはクイックスワップ機構を採用し、リリースフィルムはネジを使用せず約3分で交換可能としており、メンテナンスによる装置停止時間の短縮を図っている。
1080pカメラと専用アプリで遠隔から造形を監視
長時間造形への対応として、遠隔監視機能も強化した。Revo MAXは縦向きに配置した1080pカメラを搭載し、大型造形物の進行状況を確認できる。
チャンバー内部にはUVを含まないアンバーLED照明を設置。レジンを紫外線にさらすことなく内部を照らせるほか、AIによる色補正機能によってカメラ映像の視認性を高めている。
スマートフォン向けの「Phrozen GO」アプリを利用すれば、造形の開始、一時停止、再開、進行状況の確認を遠隔から行える。ライブカメラ映像やタイムラプスの確認、通知、複数台のプリンター管理にも対応するため、夜間造形や複数台運用を行う造形サービスなどでの利用も想定される。
PhrozenはRevo MAX単体だけでなく、大型レジン造形の前後工程を含めたワークフローも展開する。大型造形物向け洗浄装置「Wash Mega S」、二次硬化装置「Cure Mega S」、レジン臭対策用の「Air Purifier Max」、造形環境を管理する「3D Printer Enclosure Mega」などを組み合わせることができる。
ソフトウェア面では、3Dモデルプラットフォーム「PIXUP」に加え、「CHITUBOX」や「Lychee Slicer」など主要なレジン3Dプリンター向けスライサーにも対応する。
PhrozenのCEOであるRay Wu氏は、大型レジン造形では造形時間やレジン使用量が増え、中断につながる要因も増えると指摘。そのうえでRevo MAXについて、加熱、レジン容量、監視、メンテナンスといった不確定要素を減らし、信頼性の高い大型造形ワークフローの構築を目指した製品だと説明している。
Revo MAXは米国で販売を開始しており、価格は1,600米ドル。期間限定で20%割引となる「Super Early Bird」キャンペーンも実施している。
編集部コメント
大型の光造形方式3Dプリンターでは、解像度や造形サイズだけでなく、「長時間の造形をいかに安定して完走させるか」が実運用上の重要なポイントになる。Revo MAXでは、加熱機構や大容量レジンバット、遠隔監視に加え、LCDやリリースフィルムの交換性まで含めて、装置の稼働率を意識した設計が目立つ。特に造形サービスや小規模な生産現場では、スペック上の造形性能だけでなく、材料補充やメンテナンスに要する手間をどこまで減らせるかが導入判断のポイントになりそうだ。
用語解説
| MSLA(Masked Stereolithography) 液晶パネル(LCD)をマスクとして利用し、UV光を選択的にレジンへ照射して一層ずつ硬化させる光造形方式。面単位で一括露光できるため、同じ層内に複数の造形物を配置しても、造形時間への影響を比較的抑えやすい。 |
| 16K レジン3Dプリンターに搭載されるLCDの解像度を示す表現。一般に画素数が多いほど細かな形状を表現しやすいが、実際の造形精度はLCDサイズやピクセルサイズ、光学系、機械精度、使用するレジンなど複数の要素によって決まる。 |
| レジンバット 光造形方式の3Dプリンターで液体レジンを保持する容器。造形中はバット底面を通してUV光を照射し、レジンを一層ずつ硬化させる。大型造形では使用するレジン量が増えるため、バット容量は長時間運転にも関係する。 |
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