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レーザーでも造形できる銅パウダーを開発(三井金属鉱業株式会社)

銅は優れた導電性を持ち、熱を逃がしやすい性質なので冷却系に向いている素材だ。最近では半導体製造装置に使われていた金を銅で代替する動きも急速に進んでいる。一方で焼結させる際に熱が逃げやすく加工難易度が高いともいわれている。従来は電子ビーム式の金属3Dプリンターでないと加工が難しかった銅粉末だが、三井金属鉱業株式会社(以下、三井金属)は電力機器や溶接機を扱う電機メーカーの株式会社ダイヘン(以下、ダイヘン)と協業し、レーザー方式でも造形可能な銅合金粉末を開発・販売している。2019年10月4日開催の次世代3Dプリンター展に出展していた同社機能性粉体事業部の鎌田恒好部長にお話を伺った。

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Q:銅の積層造形加工は難易度が高いと聞いていましたが、レーザーで焼結できるのは画期的ですね。

そうですね。今回は3Dプリンターの展示会ということで、多くの方に関心を寄せていただいています。具体的には400W程度の低出力レーザーでも積層造形が可能な銅合金粉末をご用意しています。コンセプトレーザー社とEOS社の金属3Dプリンターでは検証済みですが、アルミで使用できる程度の出力がある金属3Dプリンターであれば造形は可能です。銅合金粉末と造形レシピをお使い頂く事で、純銅の最大95%の導電率、若しくは純銅の3倍以上の機械強度の積層造形が可能です。 (三井金属 鎌田氏)

Q:どんなきっかけで開発したのでしょうか?

当社はもともと低温焼結などの銅粉末に関してノウハウがありました。その上で、今回の協業パートナーでもあるダイヘンさんから約3年前にお話を頂き開発をスタートしました。当時ダイヘンさんは溶接機の先端部分にある「水冷トーチ」という部品の内製化を進めるなかで、そのプロセスのひとつとして3Dプリンターによる積層造形技術を開発されました。「水冷トーチ」は、3Dプリンティングによる形状の自由度の高さを生かし、銅合金の導電率の高さと相まって小型・軽量化を実現しており、2018年の協業に関するプレスリリース以降、弊社から供給を行っています。 ( 三井金属 鎌田氏 )

水冷トーチ

Q:具体的なアプリケーション(用途分野)はどのようなものがあげられますか?

サンプル展示として冷却関連のパーツをご用意していますが 、今後、お客様とともに開拓していきたいと思っています。たとえば、複雑な形状でありながら強度を保つ、さらに強度を向上させるなど、お客様のニーズに合わせてあらゆる方向からお役に立ちたいと考えています。 ( 三井金属 鎌田氏 )

ヒートシンクの造形サンプル

Q:購入したい場合はどうすればよいですか?

お客様側で金属3Dプリンターをお持ちの場合は、銅合金粉末を販売させていただきます。まずはご相談頂ければと思います。

また今回の展示会でも多かったのですが、自社で金属3Dプリンターをお持ちでないお客様も多くいらっしゃいます。すべてのお客様に対応できるよう造形パートナーを選定しているところです。各社できること、できない事があるので、今後の方向性も踏まえて慎重に検討しています。造形物のサイズ、形状などにより加工費用は前後しますので、こちらは都度お見積りという形になると思います。

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造形材料の配合レシピが特許になる時代

お話をお伺いして、すでにダイヘン社の溶接機械の重要部品に銅合金の3Dプリンター製パーツが採用されているということがわかった。内製化と3Dプリンターはやはり密接な関係にある。

また今回、3Dプリンターユーザーであるダイヘンと造形材料メーカーである三井金属の協業は今後のひとつのビジネスモデルを指示しているようにも見える。自社の製品開発のための特別なレシピが、造形材料として製品化できるように造形材料メーカーがスキームを用意してくれるのであれば、ライセンスを開放しやすいだろう。造形材料メーカーも開発費を抑制したうえで、実製品に採用された信頼性の高い造形材料銘柄を開発し、販売できる。両社がWIN-WINになれるビジネスモデルだ。今後の展開に期待したい。

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