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ダイムラー、顧客にスペアパーツを届ける移動式モバイル3Dプリンティングセンターを設立

ドイツに本拠を置く自動車メーカーDaimler AG(以下、ダイムラー)と、バス専門のサービスブランドである OMNIplus は、同社顧客向けにスペアパーツを迅速に供給することを目的としたコンテナ式のモバイル3Dプリンティングセンターを設立した。
(写真はモバイル3Dプリンティングセンター/OMNIplus公式サイトより引用)

昨今、鉄道やバスなどの消耗部品を3Dプリンターで製造することは世界中で注目が高まっている。ダイムラーと同じドイツに拠点を置く鉄道会社Deutsche Bahnが、3Dプリンターで1万点以上の鉄道用部品を製造するなど以前より本格的な採用は進んできている。

ダイムラーも以前より、3Dプリント技術を積極的に活用している。今回はダイムラーによる3Dプリント技術の活用を振り返るとともに、設立されたモバイル3Dプリンティングセンターについてご紹介する。

ダイムラーの自動車業界における3Dプリンター技術の活用

ダイムラーとOMNIplusは、以前から自社車両のスペアパーツ生産に3Dプリント技術を使用しており、2016年にはトラックのスペアパーツを3Dプリンターで製造を開始。その翌年に初めての金属製3Dプリントスペアパーツの生産内容を発表している。

また、ダイムラーは2019年にスイスのSLS式3Dプリンタメーカーである Sintratec と提携し、新たな3Dプリンターを導入することで3Dプリント部品生産を内製化し、サービスと物流のコストを削減している。2019年時点で、顧客の要望に応えるため780を超える車両用コンポーネントを3Dプリントし、150を超える交換部品の検証を行っている実績を持つ。

今回、注力されたバス事業では、事業者の運用環境により異なるカスタム部品の供給が必要となる場合があるが、従来の部品製造プロセスでは、それらの要望に柔軟に対応することが困難であった。しかし、一個単位から部品製造が可能な3Dプリンターを活用することで、顧客のニーズに迅速に対応した柔軟で経済的なサービスを提供し、物流コストを削減することに成功した。

ダイムラーバス(ダイムラー公式サイトより引用)
ダイムラーバス(ダイムラー公式サイトより引用)

移動式のモバイル3Dプリンティングセンターとは

モバイル3Dプリンティングセンターの最大の特徴は、何といっても移動式であることだ。先程述べたように、消耗部品を3Dプリンターで製造することはダイムラー含め、多くの企業が取り組んできている。しかし、移動式のモバイル3Dプリンティングセンターが稼働するのは世界初のケースではないだろうか。

ハンブルグにあるダイムラーバスのバスワールド・ホームサービスセンターを拠点とし、センターから各地の同社バスを利用する顧客のところへ移動し、メンテナンスを行うことが可能だ。

このモバイルコンテナは、高さ3メートル×長さ12メートルのコンテナ一体型のユニットである。床面積36平方メートルの大きさで、HPの工業用3Dプリンタ(マルチジェット・フュージョン3Dプリンター)の他に、CADワークステーションと粉末処理ステーションが設置されている。さらに、部品の表面を滑らかにするブラストシステム、工業用掃除機、エアフィルター、空調システムが設置され、射出成形部品に相当する製造基準を満たした高品質のポリアミド部品を製造することができる。

最終ステップは粉末処理ステーションにて残留粉末が除去できる(OMNIplus公式サイトにて引用)
最終ステップは粉末処理ステーションにて残留粉末が除去できる(OMNIplus公式サイトにて引用)

提供するサービスは、自社バスの消耗部品などのスペアパーツを3Dプリンターで製造し提供するカスタマイズ式のメンテナンスサービスである。必要に応じた部品のみ受注生産することで製造コスト削減の実現はもちろん、トラックに連結して移動する方法を取っており、顧客へスペアパーツを迅速に届けることができる。

モバイル3Dプリンティングセンターのおかげで、3Dプリンティングの利点をさらに活用し、スペアパーツの供給速度をさらに向上させることができます。必要に応じて部品を分散生産することで、倉庫コストを回避し、輸送ルートを削減することができます。3Dプリントは、顧客の要求に対し、迅速かつ柔軟にそして経済的に対応することを可能にするだけでなく、スペアパーツの生産におけるエコロジカルフットプリントの改善にもつながります。

ダイムラーバスのカスタマーサービス&パーツ部門の責任者であるベルント・マック氏

いままでも自動車業界ではポルシェブガッティなど、高級自動車のパーツ生産で3Dプリンターの活用をご紹介してきたが、今回はより顧客に迅速に提供するという点に特化したサービスである。より3Dプリンターの魅力を顧客に感じてもらう機会が増え、サービスが進化していくことを期待したい。

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