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大手ロケット会社が金属3Dプリンターを2台導入。ニコン、ポルシェなどが利用するSLM社の3Dプリンターの魅力とは

SLMソリューションズ社の「NXG Xll 600」

SLMソリューションズ社は自社の金属3Dプリンター「NXG Xll 600」2台を、カリフォルニアに拠点を置く大手ロケット会社に売却した。売却先の社名は非公表。

SLMソリューションズ社のNXG Xll 600の外観。階段がついてることからも、大きいことがわかる

SLMソリューションズ社の「NXG Xll 600」から始まったレーザー戦争

SLMソリューションズ社の金属3Dプリンター「NXG Xll 600」は、1kWのレーザーを12台搭載している。
これはレーザー1基の同社従来機の20倍の高速造形で、レーザー4基の従来機の5倍の高速造形を可能にしている。造形スピードは1000cc/hとパウダーベッド方式の金属3Dプリンターとしては突出している能力を持つ

600×600×600mmの造形ボリュームを持つこのマシンに対抗するため3D Systems社、VELO3D社、Additive Industries社、Farsoon社などの競合3Dプリンターメーカは、8台以上のレーザーを搭載した独自の巨大マシンを発表した。

SLMソリューションズ社はこれまでに、ニコンの子会社のMorf3D社、スーパーカーの生産で知られるDivergent Technologies社、そして非公開の「ヨーロッパの大手OEM」などに独自のマシンを販売している。

Divergent Technologies社とSLM ソリューションズ社は2017年から共同開発パートナーシップを結んでおり、Divergent Technologies社はロサンゼルスのショーケース施設でSLM Solutionsの生産前のSLM方式3Dプリンター3台を2年近く使用してきた。同社は以前からNXG XII 600を3台導入していたため、その導入台数は現在6台となり、同社はアメリカにおける同モデルの最大株主となった。さらに、同社はSLM500を7台、SLM280を3台、SLM125を1台保有している。

また、ポルシェはこの3Dプリンターを使って、電気モーターにより低燃費とパワフルな走りの両方を実現するためのe-driveの部品を製造している。

カリフォルニア州には、アメリカのほぼすべてのロケットメーカーが拠点を置いているため、「カリフォルニア州に拠点を置くロケット会社」という事実からは社名の推測はできない。カリフォルニア州にはレガシー企業から、新しい企業までが拠点を置き、いずれも何らかの形で3Dプリントを利用している状況にある。

NXG XII 600を囲むSLMソリューションズ社のメンバー(出典:SLMソリューションズ)

SLMソリューション社の金属3Dプリンターの魅力とは

金属3Dプリンター「NXG XII 600」について、SLMソリューションズ社の製品管理担当で副社長のSimon Merkt-Schippers博士は以下のように述べた。

「NXG XII 600は急成長する宇宙産業にとって、まさに画期的な製品です。従来の宇宙企業や既存の企業は、現代の宇宙開発競争に勝つために、力強い成長と複雑な部品の緊急な必要性に対処する必要があります。SLMソリューションズの技術は、ロケットエンジンの効率を高め、その性能を次のレベルに引き上げるスマートな設計により、より安価なミッションを可能にします。NXG XII 600の能力を活用するほど、軌道を探索し、勝利を収めるための迅速で効率的な方法はないでしょう」

SLMソリューションズ社の宇宙分野への進出について、公表されている情報は多くない。しかしこれにより同社は、ロケットエンジンの製造においてアディティブ・マニュファクチュアリングへの依存度が高まっている活気のある産業への参入を果たしたことは間違いない。

ShareLabNEWSでは、過去にSLMソリューションズ社の3Dプリンター「NXG XII 600」の詳しい性能について記事にしている。そちらも併せてご覧いただきたい。

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