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ストラタシスの H350 3Dプリンターを国内初導入-クリモト

Stratasys社の H350 3Dプリンターを導入し株式会社クリモトは、2022年3月よりH350の本格稼働を開始した。クリモトは 3Dプリンターを利用した試作ビジネスの拡大と量産への移行を狙う。

試作品メーカーのクリモト

愛知県に本社を構える株式会社クリモトは、高品質・短納期・低コストのモノづくり・試作品製作を掲げている。そうしたモノづくりの背景にあるのは、最新設備と技術力向上への投資だ。

切削加工、射出成型などの従来的加工設備に加えて、振動溶着や多数の 3Dプリンターを備え、多様な顧客のニーズに応えてきた。

2022年3月、クリモトは新たに Stratasys社製の H350 3Dプリンターを本格稼働することを発表した。H350の国内での導入はこれが初めてとなる。

左)ストラタシス・ジャパン 社長 森 道明 (右)クリモト 代表取締役 栗本 英年 氏(出典:Stratasys Japan)
左)ストラタシス・ジャパン 社長 森 道明 (右)クリモト 代表取締役 栗本 英年 氏(出典:Stratasys Japan)

Stratasys社のH350 3Dプリンター

Stratasys社は、ポリマー積層造形に優位性を持ち、様々な産業分野で活躍する 3Dプリンターメーカーだ。中でも、医療分野で大きな存在感を発揮している。

Stratasys社の3Dプリンターを用いて作製した医療用モデル(研修、または、手術の成功率を高めるための部分的人体複製模型)については、過去に当サイトでも取り扱った。

病院でのオンデマンド3Dプリントを可能にする 医療連携システム

ストラタシスの独自素材×高性能3Dプリンターでいままでにないリアルな眼球モデルの製作に成功

Stratasys社の3Dプリンター技術は多岐に渡るが、H350 3Dプリンターは SAF方式を採用しており、部品の歩留まりや正確性に優位性を持つ。最終製品の製造を志向した 3Dプリンターだ。

SAF(Selective Absorption Fusion)は、赤外線を選択的に吸収させることで所望の箇所のみを加温し、樹脂パウダーを溶着させる方式を指す。

まず、微細なパウダーを均一に均して配置し、そこに赤外線吸収インクを滴下する。続いて、赤外線を照射することで、インクが滴下された箇所のみ高温になり、樹脂パウダーが溶着するという仕組みだ。

SAF の仕組み(出典:Stratasys Japan)
SAF の仕組み(出典:Stratasys Japan)

解像度の高い造形は、滴下するインク液滴を「どれだけ微細にできるか」にかかっている。これを実現するのがピエゾ(圧電)プリントヘッドだ。ピエゾプリントヘッドは 1秒間に数万発の微小インク液滴吐出を可能にする。

また、H350 3Dプリンターは、温度管理にも徹底的に拘った。赤外線照射ヘッドとプリントヘッドの移動方向を一致させることで、場所による温度の違いを低減している。H350 が高い歩留まりを実現できるのは、このためだ。

SAFインライン単方向構造(出典:Stratasys Japan)
SAFインライン単方向構造(出典:Stratasys Japan)

他にも、同社の SAF方式の導入への取り組みは過去にご紹介しているのでぜひご覧いただきたい。

≫ ストラタシス、量産ニーズ対応のため3Dプリンティング向けSAFテクノロジーの提供を発表

H350 3Dプリンター導入の狙いについて

クリモトの代表取締役である栗本英年氏は、H350 3Dプリンターについて「今までの粉末溶融方式の3Dプリンタと比較し、造形スピード・精度共に非常に優れているのではと感じている。」と述べた。

また、「試作用途に留まらず、量産にも使えるのであれば、今後のモノづくりが大きく変わるプリンタになるであろう」ともコメントしている。

国内での 3Dプリンター活用は、海外より遅れている。クリモトがこれまで培った試作開発のノウハウが3Dプリンター活用を推し進めていくことに注目が集まる。

関連情報

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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