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T&R Biofabがマイクロ流体アプローチによる肝臓組織の再現と、世界初の動物移植に成功。

韓国の3Dバイオプリンターメーカーである T&R Biofab は、同社の3Dバイオプリンターで肝臓組織を作製、世界で初めて動物移植に成功した。

背景:肝小葉の3Dバイオプリンティング

ヒトの肝臓の約80%は肝小葉(かんしょうよう)という機能単位で構成される。肝小葉は肝細胞が寄り集まった生体組織であり、内部には微細な血管ネットワークが張り巡らされている。

肝臓の機能が低下 または 肝臓の一部を切除した場合に、組織代替物として人工臓器を移植する構想は古くからあった。これに対し、韓国の3Dバイオプリンターメーカー T&R Biofab の研究チームは、3Dバイオプリンターを用いた肝小葉の再現を試みた。

課題となったのは「生体適合性」と「形状崩壊」である。

培養細胞を固めて生体内に移植しても、数日のうちにバラバラに崩れ、望んだ機能は発現しなかった。形を留めるために架橋剤を配合すると、生体が拒否反応を示す。これまでのマウス投与実験では、投与後、1ヶ月以上生き延びた個体はほとんどいなかった。

T&R Biofab研究チームのアプローチ

T&R Biofab研究チームは、肝小葉の構造を模倣した組織の作製に取り組んだ。

研究の過程を表した図版

作製にはマイクロ流体プロセスを用いた。ノズルを通して微小液滴を滴下し、直径 250μm 程度の球状粒子を作製する。

バイオプリンティングには特殊な形状のノズルが用いられる。血管細胞と幹細胞をそれぞれ別の管に通して押出成形することで、幹細胞の中に血管細胞が分散する構造を可能にした。

作製した肝小葉様構造を持つ微小粒子と、肝小葉様構造を持たない微小構造物を比較した場合、肝小葉様構造微小粒子中の細胞は、培養液中でより長く生存することが分かった。

上:繊維状構造物、中:幹細胞と血管細胞をランダムに配置した球状粒子、下:肝小葉様構造を持つ微小粒子 の各経時変化

3Dプリント組織を移植成功

技術の有用性を確認し、研究チームは作製した微粒子を実際にマウスに注入し、生体組織への着床可能性を調べた。

構造化微粒子は生体内で血管を形成し、多くの細胞が死滅せずに生体に適合したことが確認された。動物を対象とした肝小葉移植の成功はこれが初めてである。

当該研究の意義

ここで得られた結果は、人工臓器の開発や移植技術を大きく前進させるものである。

また同時に、本研究は、生体との適合性や組織の機能が「成分(配合)」だけでなく、「3次元構造」にも影響を受けることを示す。従って、医療・バイオ分野における3Dプリンターの価値は、今後益々高まっていくことが予想できる。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関する情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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