ミズノ発DIFF.、足型3Dデータからつくるパーソナルシューズ「DIFF.3D」を発売

出典:株式会社DIFF.
※1 DIFF.調べ。2026年8月時点で、国内のオーダーシューズ事業者が公式サイト上で公開しているフルオーダー/ビスポークシューズの価格・納期を参照した。価格・納期はブランドや仕様によって異なる。(出典:株式会社DIFF.)

株式会社DIFF.は2026年9月1日、利用者の足型3Dデータをもとに自動設計し、3Dプリンターで製造するパーソナルシューズ「DIFF.3D」の正式販売を開始した。

DIFF.は、ミズノ株式会社からの「出向起業」によって2022年に設立されたスタートアップである。足型の3D計測、自動設計、3Dプリントを組み合わせ、一人ひとり異なる足の形状に合わせたシューズを受注生産する。

なおShareLabでは、ミズノが3Dプリンターを活用して開発したパーソナルフィッティングシューズ「3D U-Fit」についても、開発担当者への独自取材を行っている。足型3Dデータと3Dプリントをシューズづくりに活用する背景や、開発に至った経緯について詳しく紹介している。

足型を3Dスキャン、左右それぞれに合わせて自動設計

DIFF.3Dでは、足型スキャナーで左右それぞれの足を3次元計測する。足長だけでなく、足幅、甲の高さ、踵周辺などの立体的な特徴を取得し、独自開発した自動設計システム「DIFF.ENGINE」でシューズ内部の形状を生成する。

左右それぞれの足型データを使用するため、右足と左足で大きさや形状が異なる場合にも個別に対応できる。同じデザインの商品を購入しても、内部形状は利用者ごとに異なることになる。

生成した設計データをもとに、シューズは3Dプリンターで一足ずつ製造する。金型を使用しないため、個人ごとに異なる設計でありながら、注文を受けてから必要な一足だけを生産できる。

2万7500円、足型データ確定から約10日で納品

販売価格は25,000円(税抜)、27,500円(税込)で、素材にはTPU(熱可塑性ポリウレタン)を使用する。

足型の取得方法は、大阪市北区の計測拠点での3Dスキャン、出張計測、自宅撮影の3方式を用意する。足型データが確定した後、DIFF.ENGINEによる自動設計、3Dプリント、仕上げ、検品を経て、約10日で納品する。

従来のフルオーダーシューズでは、専用の木型を製作するため、国内でも20万円前後から、完成まで3か月以上を要する例がある。DIFF.3Dはデジタル設計と3Dプリントを活用することで、個人に合わせた靴を25,000円(税抜)、約10日という価格と納期で提供する。

正式販売までには30名を対象に200回以上の試作・検証を実施し、β版には20名が参加したという。

※従来型フルオーダーの価格・納期は、国内事業者の公開情報をもとにした一例であり、ブランドや仕様によって異なる。(出典:株式会社DIFF.)
※従来型フルオーダーの価格・納期は、国内事業者の公開情報をもとにした一例であり、ブランドや仕様によって異なる。(出典:株式会社DIFF.)

月80足から生産能力を拡大、他ブランドとの連携も視野

DIFF.3Dの現在の生産能力は月80足である。同社は今後、需要に応じて設備や生産体制を拡張する方針だ。

また、自社ブランドだけでなく、ブランド、デザイナー、小売、医療・福祉分野などを対象とした共創パートナー企業の募集も開始した。

将来的には、ファッションブランドやスポーツブランド、デザイナーなどが外側のデザインを手掛け、DIFF.が利用者の足型に合わせた内部設計と製造を担当する仕組みを目指す。

サイズ別の金型や大量の完成品在庫を持つ従来のシューズ生産とは異なり、足型データから一足ずつ設計・製造するDIFF.3D。3Dプリントによるマスカスタマイゼーションを、実際のシューズビジネスとしてどこまで拡大できるか注目される。

(出典:株式会社DIFF.)
(出典:株式会社DIFF.)

編集部コメント

3Dプリントの特徴である「形状の異なる製品を金型なしで製造できる」という利点が、非常に分かりやすく生かされた事例である。

特に注目したいのは、単にシューズを3Dプリントするだけではなく、3Dスキャンによる計測、DIFF.ENGINEによる自動設計、3Dプリントによる製造までをデジタルでつないでいる点だ。

一人ひとり形状が異なる製品は、従来の大量生産ではコストや在庫管理の面で不利になりやすい。一方、設計データを直接製造できる3Dプリントでは、こうした「一品一様」の製品に強みを発揮する。月80足から生産能力をどこまで拡大できるか、さらに他ブランドへの展開が進むかにも注目したい。

用語解説

3Dスキャン対象物の立体形状をデジタルデータとして取得する技術。DIFF.3Dでは左右の足を計測し、足長、足幅、甲の高さ、踵周辺などの形状を取得する。
DIFF.ENGINEDIFF.が独自開発したシューズ自動設計システム。取得した足型3Dデータをもとに、一人ひとりの足に合わせたシューズ形状を生成する。
TPU(熱可塑性ポリウレタン)柔軟性や弾性、耐摩耗性などを持つ熱可塑性樹脂。3Dプリントではシューズやクッション部品など、柔軟性が求められる製品にも利用される。
マスカスタマイゼーション大量生産に近い効率を目指しながら、顧客ごとに仕様の異なる製品を提供する生産の考え方。デジタル設計や3Dプリントを活用することで、個別仕様の製品を効率的に製造できる。

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