FUGO Precision 3D、遠心式3Dプリンティング技術をLMT LAB DAY Chicago 2026で初公開へ

2026年5月25日
出典:FUGO Precision 3D
出典:FUGO Precision 3D

米カリフォルニア州のスタートアップFUGO Precision 3Dは、2026年2月19日〜21日に米シカゴで開催される歯科業界向け展示会「LMT LAB DAY Chicago 2026」において、独自開発した遠心式3Dプリンティングシステムを初めて一般公開すると発表した。

同社は韓国の材料メーカーGraphy Inc.(KOSDAQ:318060)と共同で、会場内「Gold Coast Seminar Room」にてライブ造形デモを実施する。展示では、造形から洗浄、乾燥、硬化までを単一工程で自動化したシステムの実演が行われる予定だ。

FUGOによれば、この遠心式3Dプリンティング技術は、従来の積層造形装置と比較して最大10倍のスループットを実現しつつ、30ミクロン未満の繰り返し精度を達成するという。

洗浄・乾燥・硬化まで一体化した新アーキテクチャ

従来の光造形3Dプリンターでは、造形後に洗浄やUV硬化など複数の後処理工程が必要となるケースが多い。一方、FUGOのシステムは、それらの工程を単一の自動サイクルに統合している点が特徴である。

会場では、Graphyの高性能フォトポリマー材料と組み合わせた実演も行われる。Graphyは、歯科向け形状記憶アライナー材料「SMA(Shape Memory Aligner)」などで知られる韓国企業であり、高い寸法安定性や生体適合性を持つ歯科用レジンを展開している。

両社は2026年初頭に提携を発表しており、FUGOの装置技術とGraphyの材料技術を組み合わせることで、後処理作業をほぼ不要とする量産対応ソリューションを目指している。

歯科ラボ向けEarly Access Programも開始

FUGO Precision 3Dは現在、一般販売開始に先立ち「Early Access Partner Program」への参加企業を募集している。

このプログラムでは、歯科技工所や製造施設を対象に90日間の評価利用を提供する。LMT LAB DAY会場では、技術説明やパートナーシップ相談も実施される予定だ。

FUGO Precision 3DのCTOであるAlexandr(Sasha)Shkolnik氏は次のようにコメントしている。

「これはシミュレーションや動画ではなく、実際の生産工程そのものである。最初から最後までリアルタイムで見てもらうことで、スケーラブルな高精度製造の未来を示したい」

歯科AM市場で注目される“工程統合”

近年の歯科向けAM市場では、単なる造形速度競争だけでなく、「いかに後処理を減らし、人的工数を削減できるか」が重要なテーマとなっている。

特にアライナーやデンタルモデル分野では、量産時の工程数やオペレーション負荷が収益性に直結するため、造形後工程まで含めた自動化への関心が高まっている。

FUGOの遠心式3Dプリンティングが実際にどこまで量産性や品質安定性を実現できるのか、今回の公開デモは歯科業界関係者にとって注目の展示となりそうだ。

編集部コメント

歯科3Dプリンティング市場では、ここ数年で材料性能や造形精度そのものはかなり成熟してきている。一方で、実際の現場では洗浄・乾燥・硬化などの後処理工程が依然として大きな負担となっているケースが多い。

FUGOが掲げる「単一サイクル化」は、そのボトルネックに真正面から切り込むアプローチであり、もし実運用レベルで成立するのであれば、歯科技工のワークフローを大きく変える可能性がある。特にラボの省人化や夜間自動運転との相性は非常に良さそうであり、今後の実証結果に注目したい。

用語解説

■ 遠心式3Dプリンティング(Centrifugal 3D Printing)
回転による遠心力を活用した新しい3Dプリンティング方式。詳細な原理は公開されていないが、造形工程と後処理工程を一体化できる点が特徴とされる。
■ フォトポリマー
紫外線などの光を照射することで硬化する液状樹脂材料。SLAやDLPなどの光造形3Dプリンターで広く利用されている。
■ スループット
一定時間あたりに処理できる生産量や処理能力を示す指標。3Dプリンティングでは造形速度だけでなく、後処理を含めた総生産能力を指す場合も多い。

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