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プリント基板3D印刷のエレファンテックが大手二社と相次いで提携!

エレファンテックとは

エレファンテック株式会社(以下、エレファンテック)は、インクジェット印刷と銅めっきを用いて製造されたフレキシブル基盤の製造販売を行う東大発のスタートアップ企業だ。 「必要な部分にのみインクジェットで金属を印刷し、さらにめっき技術で金属を成長させる」という独自の製造方法により、従来のフレキシブル基板製造法よりも工程を短縮。環境負荷低減、製造コスト・リードタイム削減を実現し、特許を取得している。

めっき加工工程。全自動化されている。

その強みを生かして2019年7月に インクジェット大手エプソンと、2019年10月にCASE時代の自動車産業へのアプローチを目指す三井化学と出資を伴う提携を発表している。相次いで大手二社との協業を発表したエレファンテックとはなにものなのか。その強さの秘密に迫りたい。

エレファンテックに注目するべき理由は?

エレファンテックのフレキシブル基盤はCASE対応する自動車、ウェアラブルデバイスなどへの採用が期待できる。自動車は長期的には生産台数が減っていく見込みだが、CASE対応する際に、量的にも質的にも進化した基盤が求められる。そこでは従来よりも高速に、より環境に負荷がなく、柔軟に配置できる基盤が優位になるだろう。まさにエレファンテックの優位性が重なる。CASE時代のフレキシブル基盤で事業規模を大きくスケールする可能性がある点に注目したい。

エレファンテックの強みは本物か?

技術力の高さは当然ながらエレファンテックに驚かされるのは、やはり短期間に協業を相次いで発表した点であるだろう。一気に今期で商談をとるぞ、という意気込みを感じる。しかしその強みは本物なのか。以下にそのポイントをまとめた。

1)印字後メッキで回路を実用レベルまで補強し 特許取得。

今までもインクジェット方式で基盤に回路を印字しようとするアプローチは存在した。しかし印字した金属の強度が実用レベルにならないという強度面の課題が存在していたという。しかし、エレファンテックは3Dプリンティング技術による基盤への回路印刷を、さらにメッキ処理で補強することで、実用レベルまで強度を引き上げ特許を取得した。そこに大きな優位性が存在するという。

2)基盤を柔軟に成形するアイディアと技術力

その技術以外にも、エレファンテックは技術ベンチャーらしく、技術面で優位性を持っている。それが基盤自体の造形に自由度を持たせた点だ。通常基盤はプラスチックの板なので、「伸びる」ことも「曲げる」ことも困難だ。しかし薄く造形し、切れ目を入れることで、折り紙のように形状を変形させる事が可能である事をエレファンテックは証明した。

3)「足らず」を補うアライアンス力

ヴィジョンや技術力を誇る技術ベンチャーは数多くあるし、ひょっとしたらエレファンテックと同等の技術を保有している企業は世界のどこかにあるかもしれない。しかしエレファンテックの強みは、戦略コンサル出身の代表が大型アライアンスを形にしているという点だ。同社は2019年10月時点で従業員25名の中小企業に過ぎない。しかし2019年7月にインクジェットプリンター大手エプソンから資金とコア部品であるインクジェットヘッドの部品供給の協業をまとめあげ、プレスリリースしている。また同年10月には三井化学からの資金提供と、名古屋工場内での敷地設備提供を内容とする協業がプレスリリースされている。コア生産技術と生産拠点を資金と合わせて調達できたと内外に印象づけた形だ。

エレファンテックの真価は今後の展開で明らかになるだろう

名古屋はトヨタ系列企業が数多く生産開発拠点を構える集積地。 CASE対応のため電子部品の世代交代が今後見込まれる時期でもあるし、トヨタ系列外の売上をねらって新規の販路開拓に血眼になっている最中でもある。多角的に今後の事業スケールの拡大余地が見込まれる熱いエリアなので今後の期待が否応なしに高まる。

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編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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