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目が不自由な人の仕事を快適に-3Dプリンターでポカヨケ治具を制作した事例

2015年の動画だが、なるほど、と感じたのでご紹介したい。

NPO法人Beyond Visionは電気部品の組み立て作業などの仕事を目が不自由な人達のために用意しているNPO法人だ。以前から視覚に頼らないで生活する人たちに、部品組み立てなどの作業を任せていたが、部品の天地を取り違えるなど、視覚で確認しないと不良が出てしまいやすい工程の改善にも取り組んできた。

目が不自由な人の組み立て作業を支援するために3Dプリンターを活用

目が不自由な人でも作業が容易にできるような治具の開発に3Dプリンターを活用しポカヨケ治具を製作するなど、作業者の努力以外に作業を実施しやすい形に最適化する工夫を続けてきた。以下の動画では、コンセントの部品を組み立てるための「盲目者にも優しい」ポカヨケ治具や、工場の非常口を案内するための立体模型などが紹介されている。

電気電子部品は嵌合(カチッとはめ合わせる)ため、部品のはめ間違いがあると、やり直しが手間であるだけではなく、はめなおす際に部品を痛める場合もある。視覚ではなく感触だけで工程を覚えて部品を組み立てる事はできても、個々人で習熟度に差が出るおそれもある。

こうしたミスは健常者でも同じように起こる問題だ。製造現場ではポカヨケ治具を活用して、うっかりを無くす改善を図っていく。同じように目が不自由な人でも部品の向きや埋め込み先を間違えずに済むようにポカヨケ治具に従えば正確に作業ができる。

「目が不自由な人でも、立体的に造形されたものを触ることで見ることができます。」とBeyond Visionの代表Jim Kerlin氏が語るように、作業所内の地図を立体造形し、避難経路を伝えるなど、3Dプリンターで触れることで知ってもらうことで視覚にたよらなくても伝える工夫を行っている。

動画でも触れられていたが、目が不自由な人は空を飛ぶ蝶を見る事はできないので、想像ができない。しかし実際に3Dプリンターで造形された蝶を触ることで、どんな大きさでどんな形で、羽がどのように動くのか、感じ、知ることができる。こうした工夫が作業者のマインドや作業精度を大きく変えていく事は想像に難くない。

3Dプリンターはちょっとした工夫を具現化するツール

ものづくり企業も社会貢献の一環として体の一部が不自由な人を積極的に雇用しているケースは多い。コロナで先行きが見えない今のような難しい時期だからこそ、Beyond Visionの取り組みにヒントを得て、誰もが働きやすくチームに貢献できる助けとして3Dプリンター製のポカヨケ治具のようなカイゼンが推進されることを願う。

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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