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病院でのオンデマンド3Dプリントを可能にする 医療連携システム

フランスのスタートアップ企業である Bone 3D社は、仏3Dプリンターメーカーである Stratasys (以下、ストラタシス)と契約を行い、医療機器をオンデマンドで作製できるサービスの提供を始めた。

ストラタシスの役割

ストラタシスは独自素材を用いて生体モデルを作成すること得意としている。

例えば、柔らかく構造が複雑なヒト眼球モデルの作製だ。ストラタシス社製の3Dプリンター「J750 Digital Anatomy」を用いることで、正確な眼球モデルを作製し、高度な製品テストや手術トレーニングの質的向上に貢献している。これは以前 Sharelab NEWS でも扱った。

ストラタシスの独自素材×高性能3Dプリンターでいままでにないリアルな眼球モデルの製作に成功

ストラタシスは生体モデル以外にも、医療機器やメンテナンスパーツなど、医療現場に必要となる様々な製品の提供を行っている。 ストラタシス製品の高い品質や納品スピードには、同社が保有する3Dプリント技術が果たす役割が大きい。

Bone 3D の HospiFactoryネットワーク

Bone 3D社はストラタシスと契約を結び、地元の病院に3Dプリント技術を提供している。

Bone 3D社はこの取り組みを「HospiFactory」と呼んでいる。3Dプリンターを提供するだけでなく、3Dプリント技術についての質問や要望に対応し、問題解決を手助けする仕組みだ。

具体的に言うと、HospiFactory では以下のようなサービスを提供している。

  • 病院の患者や規模、医療従事者のニーズに合わせた最適なマシン、材料、形状を既存の選択肢から提案する
  • 3Dプリントについての研修、技術指導を行う
  • 使用者の要望を収集してサービスの向上を図る
  • 使用者の要望を満足するため、現存しないサービスの実現に取り組む

医療従事者(病院)、3Dプリンターメーカー(ストラタシス)、サービスプロバイダー(Bone 3D社)が相互に連携することで、3Dプリンターをこれまで以上に普及していこうとする取り組みだ。

必要な部品やパーツを3Dプリンターによって現場でオンデマンド製作できることは、病院や医療機関にとって画期的(出典:Born 3D)

コロナ禍で明らかになったオンデマンド3Dプリントの重要性

Bone 3D社 CEO の Jérémy Adam は、コロナ禍における医療現場を見ながら、医療機器をオンデマンドで迅速に提供できる3D印刷の重要性を感じたという。

設立当初からストラタシスと綿密に連携を取ってきた Bone 3D社は、2020年にストラタシスの3Dプリンティングシステムをヨーロッパ最大の大学教育病院に納入し、新型コロナウイルスパンデミックとの最前線での戦いを支援した。

新型コロナウイルスとの戦いにおいて、Bone 3D社は ストラタシス社製3Dプリンターに関するシステム構築、操作方法指導等のサポートを行った。3Dプリンターを用いることで、医療従事者を守るための個人用防護具、薬品や血液輸送用電気シリンジポンプ、挿管装置、呼吸器バルブなどを必要に応じて作製することができた。

Bone 3D社は、医療現場で、必要に応じて医療機器を製造するシステムに対する需要は、今後益々増えていくだろうと予想する。

また、Bone 3D社のシステム提供活動は、フランス国内に留まらない。中東やアフリカに向けたグローバルな展開を見据えている。

医療現場では、場所が違えば、それに応じてローカルな需要(地域特有の伝染病、宗教的理由で医療行為が制限される 等)が生じる。こうしたローカルな需要に合わせて部品を作り変えることができる3Dプリント技術は、病院や医療機関にとって画期的なものになるだろう。

Born 3D社による解説動画

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