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リサイクル可能な生分解性3Dプリント材料がドバイExpo2021にて発表

チェコの3Dプリント業界向けフィラメントメーカーのFillamentum社が、2021年10月1日(金)から2022年3月31日(木)までドバイで開催されるExpo2020(ドバイExpo)で100%バイオ再生可能な資源から作られたフィラメントを展示。100%生分解性であり、機能特性を失うことなく数回リサイクルできるため、サステナブルな素材として注目を集めると予想される。

100%生分解性の3Dプリンター用フィラメント「NonOilen」

NonOilenは、Fillamentum社がスロバキア工科大学と共同で開発したポリ乳酸 / ポリヒドロキシブチレートブレンド(PLA / PHB)は100%生分解性のフィラメントだ。靭性と耐熱性を向上させるためにPLAとPHBのブレンドによって作られている。

生分解性とは、生物の働きにより自然環境中で分子レベルまで分解され最終的には二酸化炭素と水になる性質のこと。開発されたPLAは機能特性を失うことなく数回のリサイクルが可能。同社はこのフィラメントを「石油を使わない」という特徴からNonOilenと表現している。

NonOilenは、サーキュラーエコノミーを推進するという同社の目標に沿って、100%バイオ再生可能な資源から製造された同社初のフィラメントだ。サーキュラーエコノミーは「循環経済」と訳される単語で、製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化する経済システムのことをいう。

Fillamentum社の創設者兼CEOであるJosef Dolečeksi氏は、今回のフィラメント開発について次のように述べている。

持続可能性はFillamentum社の主要な原則の1つです。将来の世代に質の高い生活を保証するために、このアプローチを他の企業に広める準備はすでにできています。

近年、3Dプリント業界でもっとも広く使われている素材は、低コストと使い勝手の良さで知られるPLAだ。PLAの製造には石油が必要であり、そのほとんどは耐用年数の終わりに埋め立て処分されるが、そこからさらに数世紀のあいだ、地中にとどめておかなければならない。

PLAは技術面で見れば生分解性の素材だが、PLAを分解するには約60℃の温度、一定の湿度、微生物が豊富な環境という3つの条件が必要になる。生分解性があるとはいえ、これらすべての条件が揃う場面はそう多くなく、分解するために産業用堆肥化プラントの力を借りるケースも多い。それでもPLAの分解には標準的な生分解性廃棄物よりも時間がかかり、マイクロプラスチックが残り、地域の生態系に害を及ぼす可能性があると言われている。

Fillamentum社の「NonOilen」の特徴

NonOilenは従来のPLAとは異なり、堆肥化ユニットを用いればわずか90日以内で完全に生分解されることを目的としている。マイクロプラスチックすら残さず、特性を保ちながらリサイクルや再利用も可能だ。NonOilenに含まれるPHB成分が、従来のPLAの約3倍の速さでの生分解を可能にしている。

また、NonOilenは強度・靭性・硬度においても特徴があり、さらには最大110℃まで耐えられる。素材としての使い勝手は従来のPLAと比較しても遜色がない。シルクのような外観で安全性も高く、食洗器で洗うことも可能だ。

すでに他社での活用が始まっている

自動車部品メーカーであるFremach社は、NonOilenの高温耐性に着目し、コントロールゲージやギアといった部品を3Dプリントするためにすでに採用している。自転車メーカーのKCK Cyklosport社もヘルメットのプロトタイプを3Dプリントで開発するための素材としてNonOilenを活用している。

ドバイExpo 2020では、ロボットアームがNonOilenを素材とした3Dプリントを行う予定だ。イベントのために特別にドバイ産の砂が埋め込まれた特別なNonOilenを使用するとのこと。

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