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クラボウが竹中工務店と建設用3Dプリンターに関する共同研究契約を締結

大阪に本社を構える建築資材メーカーのクラボウと株式会社竹中工務店が、クラボウ社の建設用3Dプリンティング事業において建設用3Dプリンターの活用に関する共同研究契約を2021年9月27日に締結した。両社の強みを活かし2022年度中に実際の建築物の施工を目指す。

クラボウ社は5月に建設用3Dプリンティング事業を開始

クラボウが3Dプリンターで作製した門塀。装飾もほどこされている

クラボウが3Dプリンターで作製した門塀

クラボウの化成品事業部は、建設用3Dプリンティング設備を寝屋川工場に導入し、5月にはセメント系材料を用いた小型~中型の立体造形物の受注生産を開始していた。今回の竹中工務店との共同契約研究は、この取り組みを加速させるためのものだ。竹中工務店の設計・施工に関するノウハウとクラボウ社の3Dプリンターに関するノウハウを活かし、連携することで開発を加速させるとしている。

クラボウ社は2024年度に3Dプリンティング事業の売上目標として、10億円を掲げている。

クラボウ社が3Dプリンティング事業へ参入した背景

クラボウ社が3Dプリンティング事業へ参入したのは大きく分けて2つの要因がある。

1点はデザイン性のニーズが高まっていること。近年、住宅購入者の趣味・嗜好が多様化し、こだわりや個性を住宅の外装デザインで表現する傾向が高い。また、商業施設などでも魅力ある空間演出のため独自性の高い装飾を施すトレンドが強まっており、使用する建材においても意匠性の高いカスタマイゼーションが求められている。

もう1点は生産性の向上だ。建設業界においては人手不足問題などにより省人化・省力化が喫緊の課題であり、生産性の向上が重要なテーマとなっている。このようななか、その解決策の一環として省人化・省力化ならびに生産性の向上など業務の効率化を進めるために建設の計画・調査・設計から施工・維持管理までのプロセスにおける情報共有や可視化を図るBIM(Building Information Modeling)とよばれるツールの導入など、デジタルの力で業務改革を起こすDX(Digital Transformation)への取り組みが進んでいる。

そして、建設業界では型枠を使わずさまざまな形状の立体造形物を短時間で成形できる3Dプリンターへの関心も高まっている。

海外ではすでに住宅建築などにおいて3Dプリンター活用が進んでおり、クラボウはその潮流に追従するかたちとなった。

フランスの3DプリントメーカーXtreeE社製の建設用3Dプリンターが採用される

クラボウ社の3Dプリンティング事業に採用された建設用3Dは、フランスのスタートアップ企業 XtreeE社のものだ。同社は2015年に設立されたフランスのランジスに拠点を置く建設用3Dプリンターメーカーで、欧州で大型の建設物を3Dプリンターにより作製してきた実績がある。2024年開催予定のパリ五輪に向けて、長さ40mのコンクリート製歩道橋を建設するプロジェクトに参加するなど、大型の建築構造物を手掛ける。

XtreeE社の3Dプリンター

クラボウ社の今度の展開

クラボウは、すでにゼネコンなどから要望を受け、住宅や商業施設・公共施設向けの外構材やベンチ、モニュメントなどの景観材の製作をスタートしており、今後3Dプリンティングの実績を重ねていくとしている。

今後は3Dプリンティング技術のさらなる向上を図り、よりサイズの大きな中型~大型の造形物や高強度を要する造形物への対応力を高めるとともに、需要に応じて3Dプリンティングの設備増設や施工現場での3Dプリンティング体制の構築を目指す。

将来的には、セメント系・非セメント系を問わず新規材料の開発によって製作可能なデザインの幅を広げるほか、土木・インフラ分野などへの展開も図ると同時に、海外への事業展開も目指すとのこと。

海外ではすでに3Dプリンターで住宅などが建設されている。人口減少の始まっている日本においては、建設現場への3Dプリンターの導入が人手不足を補う救世主となるのかもしれない。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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