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MITがカメレオンのように色を変えるインクを開発

カメレオンオブジェクト

Point

  • マサチューセッツ工科大学のコンピューターサイエンスと人工知能研究所(CSAIL)の研究者が、カメレオンのように特定の波長の光にさらすと色が変わる特殊なインクを開発
  • 異なる波長の3つの異なるライトを使用して、一定時間光を当てることにより、色が変化する
  • Fordは、MITとColorMod 3-Dテクノロジーについて提携しており、持続可能な新素材として財政的支援をしている

特殊な光源を当てると色が変わる塗料!

CSAILのポスドクであるYuhua Jin氏は次のように語る。

「この特殊なタイプの染料は、製造効率を改善し、全体的な廃棄物を削減できるなど、無数のカスタマイズオプションを可能にします。またユーザーは、同じオブジェクトを異なる色やスタイルで何度も購入することなく、所有物と外観を毎日カスタマイズすることができます。」

この話から将来像をイメージするなら、例えばユーザーはこの特殊インクで染められた車を購入後、このシステムをもったガスステーションなどに寄ってライトを照射するだけで 毎日好きなデザインへ色や柄を変更できるようになるだろう。

購入前に車の色についてどれを選ぶか悩む必要はなくなるわけだ。

PhotoChromeleon(フォト・クロメレオン)」と呼ばれるこのシステムには、任意のオブジェクトの表面にスプレー、またはペイントして色を変えることができる特殊なインクとして、フォトクロミック染料の混合物を使用する。

これは完全に可逆的なプロセスであり、無限に繰り返すことができるという。

PhotoChromeleonを使用して、電話ケースから車、または更新が必要な靴まで、あらゆるものをカスタマイズできるとのことで、自然環境で使用した場合でも、色は残るそうだ。

3Dプリンター用の造形材料もある「ColorFab」

この技術の元となった研究は2018年に話題となった以下の記事の技術だ。この時は3Dプリンターでこの紫外線または可視光線を使用して色を変更できる特殊なインクを付与した物体を出力していた。

光を照射するだけで物体の色を変更可能な特殊インクを3Dプリント可能な技術「ColorFab」

しかし現在は、スプレーなどの簡易な既存の製造技術で実現可能になったそうだ。 さらに以前よりも高解像度で幅広い配色に対応できるようになった。

この動画を見てもわかるようにオブジェクトを特殊インクでコーティングした後は、ユーザーは、プロジェクターとUVライトを備えたボックス内にオブジェクトを配置するだけ。

その後、テーブルが回転し、角度を順次変えてライトを照射していく。
デザインに満足できない場合は、UVライトを使用して消去するだけで、最初からやり直すことができる。

チームは車のモデル、電話ケース、靴、小さな(おもちゃ)カメレオンでシステムをテストしたが、オブジェクトの形状と向きに応じて、プロセスには15〜40分かかったそうだ。

「気まぐれに自分の車の色をパーソナライズできるようになるかもしれません」

ただしまだすべての色がフォトクロミック染料で表現されているわけではないという。たとえば、マゼンタまたはシアンにぴったりの一致がなかったため、チームは最も近い染料を推定する必要があった。

このMITのColorMod 3-Dテクノロジーについて提携しているFord Motor Co.の技術スペシャリストであるAlper Kiziltas氏は、次のように述べている。

「ある日、気まぐれに自分の車をパーソナライズできるようになるかもしれません。」

先述したようにまだすべての色を再現できない上に、車体のペインティングは、色の深みを出すため何層にも塗り重ねたりしているので、高級車のレベルになるとユーザーが満足する色再現は難しいだろうが、ハイエンドモデルでなければ数年後に実現できる可能性はあるのではないだろうか。

今回ご紹介したこのテクノロジーは3Dプリンターがなくても可能になったわけだが、この3Dプリンターによる特殊インクが織り込まれた状態での出力もできるだけに様々な用途が考えられる。この技術の活用についてどんなニュースが今後飛び込んでくるか、非常に楽しみだ。

関連情報

フォトクロミック色素を使用した再プログラム可能なマルチカラーテクスチャ

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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