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打たない注射?3Dプリントされたマイクロニードル型ワクチンパッチの研究開発がすすむ

 

スタンフォード大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームは、3Dプリンターで作製した「ワクチンパッチ」のほうが従来の注射によるワクチン接種よりも効果が高いと発表した。

ワクチンパッチの仕組み

ワクチンパッチには、マイクロニードルと呼ばれる目に見えないほどの小さな針が剣山のようにパッチ上に並んでいる。薬剤を針の表面にコーティングしたり、針の内部に含有させたりしたパッチを、ばんそうこうのように皮膚に貼ることで体内に薬剤が浸透していく仕組みになっている。いわば「皮膚に貼る注射」だ。

注射針と違って痛みは伴わず、内服液と違って消化管や内臓に負担もない。また自己投与できるというメリットがある。

一般的な注射によるワクチン投与の場合、ワクチンを冷蔵庫や冷凍庫で保管する必要がある。接種希望者は、クリニックや病院などに出向いて医師や看護師にワクチンを投与してもらう一方で、マイクロニードルパッチは自己投与が可能なのでその手間はない。さらにマイクロニードルパッチは安価に作製でき、運びやすいといったコストや運搬におけるメリットもある。

未だ研究・開発段階を脱せず

マイクロニードルを用いた薬剤の接種は「経皮接種」と呼ばれる。今回の研究発表で新たに生まれた概念ではなく、以前から研究はされていた。しかし、マイクロニードルのワクチンパッチを人に対して使った場合にどれほど効果があるかは今のところ明確ではない。皮膚表面からの接種となるので免疫を刺激しにくいという見解や、従来の筋肉注射のほうが副反応は軽く効果が高いとする見方もある。いずれにしろ未だ研究段階だ。

3Dプリンターで作られたワクチンパッチの研究発表内容

実用化段階にはないという前提で、今回のスタンフォード大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームによる発表内容を確認していく。

2校の研究チームが開発したマイクロニードルパッチの作製には、米3DプリンターメーカーのCarbon社製のプロトタイプ機が採用された。Carbon社の3プリンターは独自のCLIP製法により、驚異的な造形スピードとクオリティが実現されている点が特徴的だ。

従来研究されていたマイクロニードルは、型を作るためにマスターテンプレートを使用して製造されていた。その製法によるマイクロニードルの成形には、汎用性の低さと複製中の針の鋭さが低下するという欠点があった。

しかし、今回開発されたマイクロニードルは直接3Dプリントできるため、マイクロニードルの質とコストの両面が担保できると期待される。

開発されたマイクロニードルパッチは、インフルエンザ、麻疹、肝炎、新型コロナウイルスのワクチン接種といったさまざまなパッチに合わせて簡単にカスタマイズできるという。

研究チームが米学術誌「米国科学アカデミー紀要」上で発表した論文によると、研究チームはワクチンをコーティングしたワクチンパッチをネズミに貼付。その後24時間放置したところ、筋肉注射による接種に比べ、免疫反応は10倍に上り、50倍の抗体を形成したとのこと。

研究チームの1人でスタンフォード大学の化学工学部教授 Joseph M. DeSimone氏は こう述べている。

この技術の開発により、低用量でワクチンを投与できるようになるほか、注射器による痛みや不安もなくなります。ワクチン産業の開発速度に貢献し、世界的基盤を築くことを望んでいます。

まだマイクロニードル型のワクチンパッチは研究の域を脱していない。しかし今後臨床試験がすすめば新たなワクチン接種方法として確立される可能性は十分にあるだろう。

医師や看護師なしで自己投与可能なワクチンパッチが安価に開発されれば、ワクチン不足の国にも行きわたりやすくなる。時間はかかるだろうが、今後の動きに注目したい。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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