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次世代3Dプリンター展はコロナ前の賑わいに。最終部品製造を見据えた新機種も多く見ごたえアリ

同時開催される「設計・製造展」のほうが馴染みがある方も多いかもしれないが、2022年6月22日から24日まで東京ビッグサイトで開催されている「次世代3Dプリンター展」が盛況だ。コロナに泣いた過去2年間の展示会は人手がふるわず、にぎやかさに欠けたが、今回は初日から人出も多く「いつもの展示会が戻ってきた」という雰囲気。ブースによっては説明員の話を聞くために参加者の行列もできるほど。シェアラボ編集部は初日に次世代3Dプリンター展を取材したので、会場の熱気をお届けしたいとおもう。

最終部品製造を視野に入れた3Dプリンターが目白押し

今回の展示会を通じて、最終部品製造に取り組むことが可能であるという打ち出し方をしている機種が増えた印象をもった。材料の問題(おもに耐久性)、表面性の問題、生産性の問題など、最終部品に利用するための壁が存在することはメーカー各社にとって旧知の事実。そこをどのように乗り越えるかを各社腐心してきたはずだ。新機種はその具体的な提案となる。すべての機種を一度に紹介できるわけではないので回を分けて、概観してみたい。

樹脂ペレットを材料に使う3Dプリンター

日本の製造業が誇る材料技術を活かしたモノづくりをおこなう際に大きな可能性があるペレット式3Dプリンター。エス.ラボ、エクストラ・ボールド、3Dシステムズが各社それぞれ特徴のある機種を展開していた。

エス.ラボ社のペレット式3Dプリンター

エス.ラボ社のブース

エスラボは国内で最大級の造形サイズを誇る樹脂3Dプリンターを発表している京都の3Dプリンターメーカーだ。製造は国内で行われており、日本品質でペレット式3Dプリンターを複数機種発売している。販売パートナーであるリコージャパンブースの中でも紹介されていたが

エスラボとしても出展していた。写真は同社の最も大きな装置で製造されたベンチ。一体造形されており、エラストマー樹脂を配合しているため柔軟性もある。慶応大学らとともにオリンピックの表彰台を再生プラスティックで造形するなどペレット型の3Dプリンターの活用を進めている

射出成型ではできない大型な造形は3Dプリンターの価値が出しやすい領域なので今後も取り組んでいきたい、ということだ。

エクストラボールド社のペレット式付加製造装置

エクストラボールド社のブース

12フィートコンテナに収まるサイズの負荷製造装置。エクストラボールドでは「気軽に使える3Dプリンターではなく産業用の製造装置」として位置付けているため、付加製造装置と呼んでいる。

装置の製造は日本国内で行われ、部品のほぼすべて国産。すでに納品実績もあるが現在は、半導体不足に泣きバックオーダーがさばけない状況だという。

「3Dプリンターというと誰もが簡単に使える印象がありますが、製造現場で実際に使うためには多くのノウハウが必要で、工作機械に近い製造装置です。だれでも簡単にできるわけではなく、ノウハウを学ぶ必要があります。」と語る同社の原社長だが、実際にトヨタ自動車をはじめ複数の大手製造業社員の出向を受け入れ付加製造の実際の現場ノウハウを学ぶ機会を提供し、人材育成の場を用意するなどの活動を行っているという。

ペレット材料にもフィラメントにも対応・・・3Dシステムズ社のTITAN

3Dシステムズ社もペレット式・フィラメント式両方に対応している3Dプリンター「TITAN」を発表している。3Dシステムズは、実際に最終部品製造にも利用できるように材料開発に力を入れてきたが、最終部品製造に踏み切れるユーザーと踏み切れないユーザーに関して「私たちはデータシートをかなり詳しく用意していますが、流用設計が主体のユーザーさんは材料を判断する軸がないことに困っていらっしゃるようです。主体的に材料を評価できるユーザーさんは自社の評価基準がきちんとあるご様子ですね」と感じているという。簡単な問題ではないが、ペレット式がその突破口になる可能性もあり、今後のユーザーの反応が気になるところだ。

樹脂粉末材料の3Dプリンター

樹脂粉末材料を利用できる3Dプリンターに関しては、従来からさまざまな機種があったが、粉塵爆発対策や、利用者の健康対策のために導入できる環境が限られてきた

樹脂粉末材料を利用できる3Dプリンターに関しては、従来からさまざまな機種があったが、粉塵爆発対策や、利用者の健康対策のために導入できる環境が限られてきた。しかしオフィス空間でも運用可能とメーカーが豪語する製品も登場し、価格も1000万円以下の普及価格帯に投入されている。

FormlabsのSLS方式3Dプリンター Fuse1

樹脂パウダーを使ったSLS方式の3Dプリンターとして付帯設備や教育もふくめて700万円台の普及価格帯を打ち出しているFormlabs社Fuse1。

「材料によっては表面がざらつくので、塗装を前提として利用するほうが使いやすいと思います。実際に自動車のアフターパーツを企画製造しているCodeTech社では、実際に外車向けにドリンクホルダなどの乗ってみてわかった必要なものをFuse1で造形し販売しています。」

自動車のアフターパーツ市場をはじめ、保守部品・補修部品・カスタマイズ部品に関して有望な市場が広がっているという展望が現実のものに変わりつつある点には注目したい。

次回は光造形に関してとりあげたい

今回の記事では、樹脂3Dプリンターなかでも、ペレット式3Dプリンターと粉末材料を使ったSLS式3Dプリンターを取り上げた。次回は液体材料、フィラメント材料で最終部品製造に取り組む動きや装置の大型化に関して紹介したい。

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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