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「業界天気図 」動向調査から見るコロナと五輪延期―株式会社帝国データバンク

株式会社帝国データバンク(以下、帝国データバンク)は例年、次年度の各業界の浮沈を予測する「業界天気図」動向調査(以下、業界天気図)を発表している。今年も、3月10日に発表があった。

レポートの中でコロナ感染拡大について触れられていたが、沈静化にはまだ時間が掛かりそうな状況だ。今回はこの業界天気図を紹介しながら、コロナ感染拡大、オリンピック1年延期の影響も踏まえて考えていきたい。

そもそも業界天気図とは

経済情勢を理解するためには、いろいろなアプローチがあるが、業界天気図は「 企業業績や各種統計データ、業界ニュース などから、各業界・分野の展望を 7 段階の天気図を用いて帝国データバンクが総合的 に判断 」した独自指標だ。2020年版では、100 業界 197 分野の業界動向について動向を予想している。

業界の先行きを7段階で予報する業界天気図(帝国データバンク発表資料より)

製造業は去年よりも悪化の見込み

100業界197分野のうち「快晴」「晴れ」「薄日」など「晴天」の分野は75(前年度比+3)、「雨天」が51(+7)。天気が改善した業界は11(+2)、悪化したのが16(+2)となっている。

悪化した影響には、消費税増税の影響が大きいと帝国データバンクは見ているようだ。こうした景気下降局面では設備投資を手控える企業が増える。3Dプリンターの導入に二の足を踏む企業も出てくるだろう。

2年連続で悪化―リーマン・ショックが発生した 06-09 年度(4 年連続)以来、11 年ぶりの危機局面か

改善・悪化を指数化したTDB業況インデックスという指標もあるが、2019年8月時点から0.6ポイント回復して48.7となると予想している。

上向きのように見えるが、製造業に関して言えば、は40.3で19年の49.2から大幅に悪化。 東日本大震災発生直後の2011 年度(51.2)をも下回り、決して楽観視できる状況ではない。この指標自体は、2020年1月時点の会社業績をもとに作成されている。

また発表は2020年3月10日なので、五輪延期は織り込まれていない。つまり実際は、もっと冷え込むと見ておく必要がある。

コロナ蔓延・五輪延期で強い向かい風

業界天気図において半導体業界、工作機械業界などは、19 年度に米中貿易摩擦による世界市況の悪化影響などマイナス材料が多かった分、20 年度は「5G 通信」など先端需要の回復を織り込んでいた。しかし2月末以降、コロナの影響で大規模な産業展示会などが相次いで開催見合わせ、延期に見舞われている。企業内での検討の動きが、遅くなることが懸念される。

一方で「化粧品製造」などを始めとした製造業におけるインバウンド需要も、新型コロナの感染拡大に伴う中国市場の停滞、生産停止といった影響を織り込んでいたものの、東京五輪開催による消費効果を織り込んでいた為、この予測よりも大きく減速すると見ておく必要がある。

同様に、住宅や自動車の需要減退が進めば、鉄鋼業界やゴム製品製造業界にとっては減速圧力が高まるだろう。厳しい材料が多い印象だ。

技術革新とスピード感が求められる時代

もちろん、全ての製造業が、こうした減速傾向にあるわけではない。B2B向けの工作機械などは数年遅れて影響があるだろうし、消毒液やティッシュペーパーなど、特需に沸く業界もある。

本来リスクとは危機ではなく、変化率が多い状態を指す言葉だ。そこには浮き沈みがあり、 去年と同じ取り組みでは減速する可能性が高くなる。言い換えれば、新しい取り組みによって、大きく業績を伸ばせる可能性もある。ラピッドにモノづくりに取り組む際に3Dプリンターによる試作や小ロット生産を活かせないか検討してみてほしい。

コロナ対策で3Dプリンターを活用し増産を実現した事例も

コロナ蔓延を国策として封じ込めようと活動している中国では、3Dプリンターを200台導入して、医療用保護ゴーグルを製造している企業もある。日産600セットの生産量を、日産2000セットまで増産することに成功したとのことだ。同様に、中国の自動車関連メーカーが医療用マスクを生産する取り組みを行っているケースがあるとも聞く。貪欲にピンチをチャンスに転換していく攻めの姿勢は、是非参考にしたい。

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