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オートデスク、2021年第3四半期に13%の売上拡大

3D設計ソフトウェアの提供を行うAutoDesk(オートデスク)は、2021年第3四半期に、売上が前年比で13%増加。2021年第3四半期に売上9億5,200万ドル(約993億円)で、2020年第3四半期の8億4,270万ドル(約834億円)から13%増加。した。(画像はAutoDeskサイトより)

投資家向け決算説明会で、オートデスクのCEOである Andrew Anagnost氏は、同社の収益成長が第4四半期以降も続くと表明している。「当社の第3四半期の好業績は、クラウドベースのプラットフォームの顧客価値の高まりとサブスクリプションビジネスモデルの回復力を反映しています」と堅調ぶりをアピールした。

オートデスクの2021年第3四半期の決算

オートデスクの売上は、サブスクリプション売上とメンテナンス売上の2つの柱から構成されている。サブスクリプション売上は、製品サブスクリプション、クラウドサービスの提供などが含まれ、デスクトップとクラウドベースのソフトウェアの売上は合算されている。メンテナンス売上は、顧客に提供された利用プランから生み出された定期的な売上で構成されます。オートデスクの新しいバージョンがリリースされた際のアップグレード売り上げも含んでいる。

サブスクリプション売上は、2021年第3四半期中もオートデスクの収益の大部分を占め続け、2020年第3四半期に報告された7億1,500万ドル(約746億円)と比較して、8億8,400万ドル(約922億円)を生み出している。オートデスクのクライアント維持率は100〜110%と基本的に増え続けているので再投資による機能開発やM&Aによる機能吸収を今後も続けていくだろう。

対照的に、同社のメンテナンス収益は、パンデミックの影響により減少傾向で2020年第3四半期の9,120万ドル(約95億円)から2021年第3四半期の3,980万ドル(約41億円)へと大きく割り込んだ。バージョンアップなどを手控えたと想像できる。

3Dプリンティング用ソフトウェアが成長

ジェネレーティブデザインを実現(AutoDeskサイトより)

個々の製品群でみると、オートデスク独自のAutoCAD 3Dプリンティングソフトウェアが大きく成長し、2021年第3四半期に2億7,880万ドル(約297億円)を生み出した。この数字は、2020年第3四半期に報告された2億4,540万ドル(約256億円)から33%の改善を表しており、3Dプリンターを活用した設計者が世界中で増加していることを感じさせる。

ユーザー層が着実に伸長(AutoDeskサイトより)

オートデスクのソフトウェア利用者は、現在、世界中で3,000万人のユーザーに到達しており、特にFusion360は、大学などの利用で人気が高いという。こうした利用者増を背景に、2021年もFusion360の拡張機能を追加していくとのことでシミュレーション、ネスティング、データ管理向けの Fusion 360 エクステンションを2021年にリリースしていくとのことだ。

ジェネレーティブ デザイン エクステンション:ジェネレーティブ デザインは、最初はアディティブ・マニュファクチャリング分野で利用されていたが、現在では製造全般で広く利用される傾向が出てきており、従来工法主体の設計者がFusion 360 で利用できるようになった。Fusion 360 のジェネレーティブ流体機能が拡張され、液体の流れの最適な設計、具体的には障害回避時の流れの圧力低下を最小限に抑えた設計を追求するための多数のオプションが利用可能になっている。

積層造形エクステンション:Netfabb を利用するFusion360エクステンションで、積層造形の設計をセットアップ、スライス、パックし、プリンターに送って製造できるエクステンション。カスタマイズされた自動方向設定(FFF と SLM で利用可)とサポート・支持構造設定(SLM のみ)をテンプレートライブラリに保存し、セットアップ時に再利用することで、3D プリントのデータ準備を効率化できる。

積層シミュレーションエクステンション(2021 年 1 月リリース予定):金属の積層造形には時間がかかり、高コストになりがちだが、Netfabb のシミュレーション技術を利用した金属の3Dプリンティングシミュレーションにより、金属3Dプリンティング時の設計と多数の関連変数を事前に評価した上でプリンターに送ることが可能になる。設計と積層設定が製造可能であることを事前に確認することで、高コストな失敗を回避するために利用できる。

アメリカ市場が最大だが、アジアの伸び率が高い。

地理的には、アメリカは第3四半期中、オートデスクの最も大きな市場であり、3億2,850万ドル(約342億円)を売上げ、年間14%の増加を見せた。APAC(アジア太平洋地域)は、大きく改善し、2021年第3四半期の年間売上は19%増加、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ地域)の売上は11%増加している。covid-19の影響を比較的低水準に抑えたアジアの復調が高めという要素があるとは言え、ソフトウェア導入から見るとデジタルなモノづくりへの旺盛な投資をアジア地域が行っている姿が見えてくる。3Dプリンティング関連製品への取り組みも含め、数年先の大きな市場成長を予感させる数字だといえるだろう。

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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