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個人の取り組みが進むコロナ対策用フェイスシールド―企業との連携から小学生の取り組みまで

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)拡大を受けて、さざまな個人用防護具の生産および普及が進む中、シェアラボ編集部は多くの3Dプリンティング事例を積極的に取り上げてきた。以前、下の記事で取り上げた通り、医療現場での不足が、今なお叫ばれているフェイスシールドは、世界中で生産されており、3Dシステムズ社を始めとしたデジタルものづくり企業のみならず、米ボーイング社なども取り組んでいる。

今回は、そういった企業の取り組みに対する動きではなく、個人を中心としたコロナ対策用フェイスシールドに関する取り組みをお伝えする。

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インターネット上で公開されている素材データを用いて製作!

静岡市の科学技術高の教員が、インターネット上で公開されている素材データ(STLデータ)を使い、主に医療用として用いられるフェイスシールドを試作したという。

使用した素材データは、神奈川大の道用大介准教授が手掛けたもので、3Dプリンターで作った骨組みに透明なプラスチック製シートを装着。ゴムバンドを付けて完成させた。 4/16から製作を始め、既に市内の医療機関1カ所に寄贈が決まったという。

自らが設計したフェイスシールドを装着した道用大介准教授
神奈川大学、Webサイトより引用

高校教諭が病院に寄贈

飛騨神岡高校の教諭も3Dプリンターを使って、フェイスシールドを作っている。同校教諭の中村英樹氏は、もともと、医療機関から製作依頼があることを見越し、生徒らと製作しようと準備を進めていたという。

顔を挟み込む樹脂部分の造形は、大阪大学がインターネット上で公開している設計図を利用。シールド部分には、ラミネート用のフィルムを使った。完成したものは、病院に寄贈し医師らの意見も取り入れて改良を加えているという。

大学生と高校生の兄弟は、ボランティアでフェイスシールドに用いるフレームを製作

和歌山県出身の大学生と高校生の兄弟は、フェイスシールド用のフレームを作り、ボランティアで県内外の医療機関に送っている。4月15日から本格的に製作を始め、これまで県内外の医療機関約20カ所に計約200個を無償で送ったという。

製作の経緯としては、インターネットで中島清一・大阪大大学院医学系研究科特任教授らがフェースシールドのフレーム量産を目指しているプロジェクトを見つけ、3Dプリンターで作れるフレームのデータを無料で公開しており、 伊織さんが実家の3Dプリンターでフレームを製作。伊吹さんが、完成品を使っている医療現場の写真をインスタグラムなどで紹介している。

つくば市の取り組み―スタートアップと連携して製造

​つくば市は、市内スタートアップと連携して、フェイスシールドを製作し市内医療機関等へ提供している。市ではものづくりの祭典「Tsukuba Mini Maker Faire 2020」が開催されるなど、市民を中心とするものづくりの機運が高まっていることが背景としてある。

今回のプロジェクトは、産業技術総合研究所上級主任研究員、小田啓邦氏に提案され、神奈川大学准教授、道用大介氏考案の3Dプリントモデルを活用して実施しているという。

株式会社revotの製作したフェイスシールドのフレーム部分
株式会社revot 、Webサイトより引用

学校が休校になったのを機に

小学生も今や3Dプリンターを使える時代だ。「病気を治してくれる人たちを手助けしたい」との思いを込め、病院や保健所に寄付している。清水雄基さんは今月、母の直美さんから、自分が通う歯科医院でフェイスシールドが足りていないことを聞いた。学校が休校になったのを機に、親が買ってくれた3Dプリンターで手作りすることを思いついた。

作り方としては、英語の設計図をネットからダウンロードし、3Dプリンターで出力。フレームができあがるまでの間に、顔を覆うシールド部分に使うプラスチック板をはさみで切り、フレームに取り付けて完成させる、ということだ。

医師の監修を得てNPO法人と販売

淡路島のカメラマン、沼田浩孝さんは自らフェイスシールドを試作し、友人の岩崎病院医師、国立病院機構兵庫あおの病院名誉院長、栗栖茂さんや岩崎病院の看護師らのアドバイスを基に実用化した。

試作品を基に、病院の看護師ら患者の対応をしているスタッフの意見を聴いたところ、さまざまな改善点が見つかったという。沼田さんは、栗栖さんらのアドバイスを取り入れてシールド部分のサイズやおでこへの取り付け角度、といった細かい部分を調整し、ようやく医療者にも納得してもらえるものが完成した。

組み立ては、淡路島内で知的障害のボーダーラインや発達障害のグレーゾーンにある人や引きこもりの人など、いわゆる“就労弱者”のジョブトレーニングなどに取り組むNPO法人ソーシャルデザインセンター淡路(SODA、事務局・南あわじ市)に委託している。販売もSODAが請け負い、注文は10枚5000円(税別、送料別)から受け付けているとのことだ。

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いくつかの事例を通して見ると、インターネット上のデザインデータ(STLデータ)を利用している方が多く、デジタルの強さおよび個人の活動の拡がりの所以を垣間見ることが出来た。またスタートアップや医療者と連携した取り組みも見られ、自粛期間中の個人の活動とは言え、人の繋がりがものごとを前に進めることを痛感した。

デジタルものづくりを含め何か新しい動きが広まっていくには、一人ひとりの活動があってこそだ。今後もこのような個人の活動に注目していきたい。

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