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最終品の製造を実現!CEATECでみたCarbon社の国内本格始動の予感

「3Dプリント」というワード自体は少しずつ社会に浸透しつつあるものの、最終品の製造にその技術を利用している事例はいまだ数えられるほどである。10月に開催された総合展示会・CEATEC2019にて、最終品の大量生産を実現する米国のCarbon(カーボン)社と、国内展開を推進するJSR株式会社の共同ブースを伺った。 日本で3Dプリンターはどのように受け入れられていくのだろうか。

* * *

米国のユニコーン企業・Carbon社とは

Carbon社は米国・シリコンバレーに本社を構える3Dプリンターメーカー。2013年に設立、これまでに6.8億ドルの資金を調達した有数のユニコーンベンチャーである。
その勢いは北米にとどまらず、アジアとヨーロッパの14ヶ国に事業を展開し、従業員数は450名を超えるという。日本国内では、Carbon社に出資をしていた化学メーカー・JSR株式会社がパートナーとして、事業展開を支援している。

以下、Carbon社のサービスを引用にて紹介させていただく。

光と熱のハイブリッドを駆使した独自技術により、従来の3Dプリンターとは異なり、試作工程の短縮、金型コストの削減から、オンデマンド、カスタマイズ、少量多品種対応、デザインの最適化(金型では実現不可能な形状実現を含む)に至るまで、サブスクリプション(「定額制」)を通じて、ものづくりの広範なシーンでお客様の価値向上に貢献するソリューションを提案するDigital Manufacturing Platformです。

https://www.ceatec.com/ja/showfloor/detail.html?id=14773

メガネに靴も!話題の製品展示で参加者釘付けのブース

編集部がブースに伺ったのは、CEATEC開催初日であったにもかかわらず、Carbon社のブースには人だかりができていた。それもそのはず、ブースには同社のサービスを活用した話題の製品が多数展示されていたのである。

アディダス 『Alphaedge 4D』

まず、スタイリッシュなデザインで目を惹いたのは、アディダスの3Dプリントシューズ 『Futurecraft 4D/Alphaedge 4D』 である。網目状になっている靴底は同社のサービスを活用して製造されているが、見た目よりもずっしりとした重みがあり、知らなければ3Dプリンターで製造されていることなど気づかないなというほどの耐久性を感じた。

続いて紹介したいのはメガネメーカー・株式会社ジンズが運営する、ハイエンド層向けブランド「J of JINS」から10月31日に発売予定のサングラス『Neuron4D』だ。

Neuron4Dの展示
3Dプリンターで製造されたメガネのつる

同製品はメガネのつるの内側部分をCarbon社の3Dプリンターで造形することにより、頭の形に合わせて変形するクッション性と通気性を実現するというもの。編集部もサングラスを試着させていただき、その安定を実感することができた。スタッフの方に言われるがままにサングラスを装着したまま飛び跳ねてみたが、ズレることはなく思わず関心した。

SNSで話題沸騰の猫キャップ

数あるユニークな製品展示の中でも異色の可愛さで参加者の心をくすぐったのは、清涼飲料水メーカー・サントリーホールディングス株式会社の「猫キャップ」である。

サントリーの展示

猫の日にちなんで盛り上がる2月22日に、同社が販売する「南アルプスの天然水」のキャップに猫耳型の突起をつけたところ、SNSを中心に話題沸騰。今回は、そんな猫耳キャップに新たにさまざまな機能を追加した新作品を展示していたのだ。編集部は、同作品を手掛けたデザイナーの村井氏にお話を伺った。

Q.猫キャップを製作された経緯を教えてください

普段はデザイナーとして、製品の商品デザインを担当しています。社内Twitter担当から猫の日の企画について相談され当初は別の案が挙がっていたのですが、話しているうちに猫キャップを作ることに! 今回の展示に向けては、社内のデザイナー部からアイディアを集めて貯金箱やメガネ置きになるものなどを追加で8点を製作しました (村井氏)

さまざまな仕掛けを持った猫キャップ

Q.3Dプリンターを使用されてみていかがですか?

3Dプリンターは社内工房スペースに一台導入されています。やはりほかの社員も興味を持ちますし、換気ダクトなど設備を設置しているため出力の際の音や臭いが気になることもありません (村井氏)

Q.キャップの製造にはどのくらいの時間がかかりますか?

高さと密度にもよりますが、猫キャップの場合だと25分程度です(村井氏)

村井氏は、普段はパッケージデザインを担当しているとのことで、特段3Dプリンターに馴染みがあるわけではないようだが、操作の難しさなどネガティブな印象受けることはなかった。むしろ、生き生きと製作の様子を語るその姿から、現場の様子や楽しさが伝わってきた。 次回の猫の日も待ち遠しくなるインタビューであった。

JSR・担当者が語る、3Dプリンター導入が生み出すスピード感

最後に、Carbon社のパートナーであるJSR株式会社の銅木 克次氏にお話を伺うことができた。

Q. CEATECへのご出展は今回の2019が初めてのことだとお聞きしました。

はい。Carbon社は設立6年目。我々のサービスを活用して最終品を製造された事例を、外部に大々的に発信することができるようになりました。なんとか日本国内でもはやく導入が進むようにとこれまで活動してきた次第でございます(銅木氏)

Q.御社のサービスを日本企業が導入する際に感じられた課題があれば教えていただけますか。

今の段階で早速、最終品の製造に3Dプリンターを導入した企業や担当者は、アメリカナイズされた“はやい”方々であるように感じます。一般的な日本のメーカーが新製品を設計する際には、材料を評価し、認定した後にアプリケーションを検討します。一方で欧米では、現在あるテクノロジーから何をどのように作れるのか構想します。その違いを乗り越えることこそが我々の最大のチャレンジでした(銅木氏)

Q.Carbon社の3Dプリンターを導入された企業様をみてどう感じられましたか?

やはりデジタルの力はすごくて、開発期間のスピード感が全く違いますね。 アディダスを例にあげると、昨年10万足を製造し、今年100万足の製造を目指していますが、なんと開発期間は1年程度です(銅木氏)

Neuron4D と猫キャップを紹介する銅木氏

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編集後記:日本国内メーカーの3Dプリンター導入に向けて

JSRの銅木氏がおっしゃっていた通り、材料の評価や認定を綿密に行う日本企業の場合は、最終品への3Dプリンター活用のハードルは低いと言うことができない。しかしながら、開発に入念に取り組むことは日本の強みでもあり、新たな技術の導入に挑戦することとの両立が必要である。

展示にもあったアディダスを、はじめとする最終品への3Dプリンター活用の成功事例が各業界に浸透していくことが求められる。『Neuron4D』の販売を開始する、ジンズへの期待が高まる。

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