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不足するコロナ対策用のマスクを3Dプリンターで製造―世界で進む企業・個人の取り組み

新型コロナウイルス感染症が世界中でその猛威を振るう中、ShareLab編集部では、3Dプリンターの技術を用いたコロナウイルス対策、例えば、供給が不足している医療従事者向けのゴーグルなどの生産に3Dプリンターが活用されている事例を取り上げてきた。

今回は、日本でもその不足が叫ばれているマスクについて、3Dプリンターをもちいたその製造事例を、国内だけでなく海外からも情報を集めてまとめた。

ぜひ、 3Dプリンターをお持ちの国内企業・個人のみなさまにも、これら取り組みを元に、われわれに何ができるかを考える参考にしていただきたい 。

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オープンソースでのデータを提供― Copper 3D

チリに本社を構え、抗菌ナノ材料を開発するCopper 3D社は、オープンソースでマスクのデータ「NanoHack」を公開し、多くのユーザーがマスクを生産出来るようにしている。

同社が#HackThePandemicのスローガンの下、3Dプリンターを使って製造した抗菌3Dプリントマスク、NANOHACK 2.0は携行性に優れ、繰り返し使うことができ、リサイクルも可能だということだ。一般的なFDM/FFF方式3Dプリンターを使用してプリントできるよう設計されているので、ぜひ設計データをダウンロードして、ご自身でも製造を試していたきたい。

NANOHACK、Copper 3Dサイトより引用

デザイナーが産み出すマスク―Nagami Design

続いてはスペインに本社を構え、3Dプリンティング技術を用いて、椅子などの家具やさまざまな製品のデザインをするNagami Designだ。

自社の工場があるスペインの一都市、アビラ(Ávila)のマスク不足に注力しており、今後は首都マドリードなどにも販売を展開するようだ。マスクはFDM方式で生産され、フィラメントはポリエチレンテレフタレート(PETG)を用いられているようだ。

Nagami Designの生産するマスク、Nagami Designサイトより引用

HEPAフィルタを材料に―MakerMask

MakerMaskは、オープンソースを通してマスクを無償で提供する非営利団体だ。同団体はマイクロソフト社に13年間在籍し、同じく非営利団体であるRPrimeの共同設立者、ジョナサン・ロバーツ氏によって率いられている。

マスクには、空気清浄機のメインフィルタなどに用いられるHEPAフィルタが使われており、シアトルの子供医療センターのDr. Xuan Qin氏、民間企業や大学、政府によるチームと協力して制作されたそうだ。

MakerMaskサイトより引用

N95交換マスク―The Barrow Innovation Center

アメリカはアリゾナ州にあるThe Barrow Innovation Centerでは、N95と呼ばれるマスクのファイルをサイト上で公開している。

またサイトにはダウンロードファイルのみならず、ダウンロード後の作成の流れまで記載のある説明書 も是非ご覧頂きたい。

(写真は、The Barrow Innovation Centerサイトより引用)

閉鎖の中でも個人の動き― Montana Science Center

米モンタナ州にある科学博物館、Montana Science Centerでもマスク生産のための動きが見られた。 先日ニューヨーク州での死者数が前日を下回ったと報道されているアメリカだが、依然として多くの州で外出禁止令が発動され、公共機関の閉鎖が続いている。

同センターも先月から閉鎖を余儀なくされているものの、センターのエグゼクティブディレクター、アビー・ターナー氏は、 地元の医療機関におけるマスク不足を受け、同センターで保有する3Dプリンターで製造することを思いついたという。

国内のマスク生産の取り組み―イグアス

当然国内でも、マスク生産の取り組みは多く見られる。株式会社イグアスでは、繰り返し利用可能な独自の3Dマスクを開発したり、マスクの設計データを無償で公開したりと幅広い取り組みを行っていることは以前もお伝えした。

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ガウン、手袋、マスク、キャップ、 エプロン、シューカバー、フェイスシールド、ゴーグ ルなど感染経路を遮断するための有効な手段は、PPE( :personal protective equipment、個人用防護具 )と呼ばれ、世界中でその不足が叫ばれ、対応する方策はさまざまだ。

3Dプリンターでマスクを生産するという切り口で見ても、今回のコロナウイルス感染拡大を受け、普段は3Dプリンターを売る企業が、それによって製造される製品(マスク、フェイスシールドなど)の生産に注力したり、デザイナーや個人がその製造に取り組む動きも大きく話題となっている。いずれの事例も、3Dプリンターとデータがあれば直ぐに作れるという、ツールを用いての生産が、隙間を埋めることに成功しており、有用性が大きく認められていくのではないだろうか。

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