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3Dプリント技術で蘇る!トヨタ初のGRヘリテージパーツプロジェクトをSOLIZEがサポート

製造廃止となった純正補修部品の復刻生産する日産自動車の「NISMOヘリテージ」にてオンデマンド生産の共同開発に携わった3Dプリンティングサービス企業 SOLIZE株式会社(東京都千代田区)は、新たにトヨタ自動車の「GRヘリテージパーツプロジェクト」向けに、製造廃止となったA70スープラをはじめとする純正補修部品の復刻生産をAM(アディティブ・マニュファクチャリング)で行うと発表した。自動車のデジタル製造を進めるための長期的なパートナーシップを開始する足がかりを掴んだ。 (写真はトヨタ・A70スープラ/出典:トヨタ自動車)

トヨタ自動車の「GRヘリテージパーツプロジェクト」


トヨタ自動車の「GRヘリテージパーツプロジェクト」は、「思い出に満ちた車に乗り続けたい」というカーオーナーの要望に応えるべく、すでに販売を終了している補修部品を復刻し、純正部品として再販するプロジェクトだ。すでにA70/A80スープラ、トヨタGT2000の復刻部品のオーダーの受付が開始され、さらにランドクルーザー「 40series 」の補修部品製作に関するアンケートも始まっている。

今回、30年以上にわたる3Dプリンティングの経験があるSOLIZEにサプライヤー様としてご協力いただくことで、3Dプリンターを活用して補給部品としての品質を満たす商品の復刻発売を実現できました。廃盤になってしまった部品の復刻への道のりは容易ではありませんが、今後も皆さまの笑顔のために、サプライヤー様と協力してより多くの部品の復刻を目指して努力してまいります。

トヨタ自動車「ヘリテージパーツプロジェクト」プロジェクト担当者

HP社製Multi Jet Fusionを使用


(ヒューレットパッカード製 Multi Jet Fusion/出典:SOLIZE)

SOLIZE社が本プロジェクトで使用したのは、HP(ヒューレットパッカード)社製の3Dプリンター「Multi Jet Fusion」。A70スープラ用のフロントドアガーニッシュを復刻製造し、2021年8月に注文の受付けが始まっている。部品の磨き、塗装、塗装仕上げはトヨタ自動車にて実施することで、SOLIZE社とトヨタ自動車とで役割を分担し、純正部品としての品質を担保しつつ短期間での製造を可能にしている。

日産自動車の「NISMOヘリテージ」と、このトヨタ自動車「ヘリテージパーツプロジェクト」に携わったSOLIZE社は、3Dプリンティングでの自動車メーカーの純正パーツ製造に成功した国内初の企業となった。

製造業におけるSDGsへの貢献


自動車メーカーや家電メーカーなどの製造業は、生産中止や型式変更後も長期にわたって、修理・交換用の修理部品を提供することが義務付けられている。しかしながら修理部品そのものを保管管理するだけでなく、修理部品用の金型を長く保管し、メンテナンスし続けることは企業にとって非常に負担が大きい。生産期間に対して保管期間が長いと、修理部品の余剰の発生や再生産など、管理コストとメンテナンス工数が増大してしまうのが課題だった。ましてや法定期間を超えての修理部品の提供は、企業努力でしかない。

3Dプリント技術を用いたデジタル製造は、ユーザーの要望に柔軟に応えられる設計・生産体制の構築はもちろん、表には見えにくい金型管理費や在庫保管、物流等のコスト削減にも役立てられる。また製品のライフサイクル全体での余剰品の廃棄を含めた二酸化炭素排出量削減と、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献も大きいことから、本格的な最終部品の製造・開発はますます加速化するだろう。

自動車産業の今後


現状は、ヘリテージパーツの一部に限定されているが、日本を代表する自動車メーカー 日産自動車とトヨタ自動車にSOLIZE社の3Dプリント技術が認められたことは、今後のデジタル製造を本格化させる原動力になるはずである。自動車部品の一部が、3Dプリント技術で作られ、自動車メーカーの純正部品として扱われていることは大きな進展だ。それは3Dプリント技術で作られた部品の品質が、量産部品と同等かそれ以上であることが認められたと考えられるからだ。

3Dプリンター技術を活用して、金型製作の自動化も進められており、1つの部品CADデータから金型と補修部品を自動で作れると、部品製造のライフサイクルがカバーできようになる。どちらを活用するか経済合理性に委ねられるということは、デジタル製造の導入が加速される要因になる。

自動車産業は、急速にCASE化している。

  • Connected…つながる
  • Autonomous…自律走行
  • Shared…共有
  • Electric…電動

このCASE化によって故障発生率を今まで以上に抑えられ、大小に関わらず事故を未然に防ぐことにつなげられる。また部品点数の減少に伴い生産ラインの稼働率を高められ、生産台数を最小限に抑えつつ、車両の保守性を向上させることが期待されている。SDGsを背景とする自動車産業の変革はさらなる追い風とともに加速化することが予想される。

SOLIZE株式会社


SOLIZE社は1990年創業、3Dプリンティングサービス関連事業を中心にグローバル展開する日本の代表的企業。AMサービスビューローとして、プラスチックと金属の両方の3Dプリントサービスを提供するために、現在37台のハイエンド3Dプリンターを運用。製造した部品は、設計の初期段階における機能テストや性能テストに使用されている。顧客の内製を開始するのに役立つ産業用3Dプリンターとソリューションも提供している。

ShareLab編集部

電機メーカー、デジタル地図ベンダーのソフトウエアエンジニア、サービス企画の経験を経て、コンサルティングファームのメンバーとして自動車会社の開発を支援する。予防医学を学び、幹細胞に興味を持つ。3Dプリンターで自身の車や家を作る時代がくることを夢に見ながら日々執筆に勤しむ。

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