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ベルギーの3Dプリント大手マテリアライズとEOSが、エアバス向けに航空機用部品の供給を開始。

ベルギーの3Dプリント大手マテリアライズは、レーザー焼結技術を用いた航空機の実装部品の製造資格を欧州航空機メーカー、エアバスより取得したことを発表。

このことでマテリアライズは、ドイツの3Dプリンタメーカー EOS が製造する難燃性ポリアミドを材料として使用、エアバスのプロセス仕様に基づき、レーザー焼結部品を製造することをエアバスから認証された最初のサプライヤーとなった。マテリアライズは、エアバスが航空機の実装部品用に承認した2つの3Dプリンティング技術の提供を開始する。(画像は、マテリアライズ公式サイトより引用)

航空・宇宙業界における3Dプリンティング活用の位置付け

有効活用できるポイント

航空・宇宙業界は、いくつかの理由から3Dプリンターを有効活用できる位置にある。

まず、航空・宇宙の製造業では他の分野よりも高い精度が求められ、複雑な形をした多くの部品が先端素材を使用している。3Dプリンターは、複雑な造形物の作成をはじめ多くのプロセスを1台でこなし、熱可塑性プラスチックなどの新素材に対応できる。

加えて、航空会社に対してはもっと環境に配慮し、コスト効率を高めるよう求める圧力も高まっている。このためメーカーは機体を軽量化し、効率的な部品を使って機体を改造する方法を探しているが、3Dプリンター技術と設計ソフトウェアを使えば、軽量でも強度が高く、投入する素材の量も少ない部品を製造できる。

さらに、航空・宇宙業界のグローバル化の進展により、部品や保守管理サービスの流通は物流の課題を抱えている。3Dプリンターを使えば、新たな部品を短期間で流通、造形、設計できるようになる。

AM技術活用に立ちはだかる壁

一方、3Dプリンターの普及に向けては、いくつかの壁が存在することも確かだ。それは、航空産業に極めて高い安全性要求が存在していることが関係している。

人命を預かる航空機なので当然だが、国際的な品質管理基準や、数十年の長きにわたるトレーサビリティが担保される必要があり、他業界のようなコスト優先の取引ではなく、安全・信頼を求める長期安定的品質が重視されている。国内でも、その普及は発展途上の段階と言えるだろう。

今回の認証について

レーザー焼結技術を用いて3Dプリントの用途を拡大

「PA 2241 FR」は、マテリアライズからエアバスにすでに納められている「Ultem 9085」を補完する費用対効果の高い3Dプリント材料で、エアバスは世界で2番目に多く使用されている3Dプリント技術であるレーザー焼結を導入することで、3Dプリントの用途を拡大する。

上記の「PA 2241 FR」という素材に加えて、EOSのシステムでこの素材を造形するための各プロセスも認証の対象となる。マテリアライズは「EOS P 770」を含むEOSのシステムを活用して、エアバス向けに「PA 2241 FR」の部品を製造する予定。

「EOS P 770」(画像は、マテリアライズ公式サイトより引用)

今回の成果は、エアバスとの長期的なパートナーシップを強固なものにするとともに、エアバスとそのサプライヤーの新たな3Dプリントアプリケーションへの可能性を拡げることに繋がります。レーザー焼結は、最も広く使われている3Dプリント技術の一つであり、インターロックメカニズムなどの複雑なデザインを実現します。マテリアライズは、エアバスにこの技術を提供する初のメーカーとなることを光栄に思います。

マテリアライズ社、CTO Bart Van der Schueren氏のコメント
「EOS PA 2241 FR」(画像は、マテリアライズ公式サイトより引用)

今回新たに認証された「EOS PA 2241 FR」は、難燃性のポリアミド12ベースの材料であり、レーザー焼結システムで使用される。同材料は、品質基準に達した高い再利用率で、航空機部品に求められる厳しい品質基準を満たし、コストパフォーマンスの高い生産を可能にする。

代表的な用途としては、エアダクトやブラケットなどの航空機内装部品が挙げられる。また、同材料はプライマーやトップコートを使用していないため、火災、煙、毒性(FST)の要件を満たす部品に適している。

広範なテストプログラムを終えて、エアバス社内でEOS PA 2241 FRの材料とプロセスがグローバルに採用されることになり、大変誇りに思います。これはEOSの粉末と完成度の高いシステム、そして安定した品質の提供を示しており、産業用3Dプリンティングとポリマーや金属との関係性を強調しています。

EOSのCTOであるDavid K. Leigh氏

すでに機体向けに100種類の部品を造形

マテリアライズはすでに、エアバスA350向けに約100種類の部品の造形したとのこと。

これは、A350のエコシステム全体で年間26,000個の部品と推定される。マテリアライズはさらに、A320、A330、A340など、その他のエアバス機のプラットフォームにも部品を供給することが決まっている。今後も、EOSの産業用3Dプリンティング技術が重要な役割を果たしており、今後もその役割を担っていくことになるとしている。

今回の認証は、エアバス社全体で有効であり、航空・宇宙分野での樹脂3Dプリントの普及に向けた重要なマイルストーンとなる。

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シェアラボ編集部

3Dプリンタ―の”先進っぽさ”を感じさせる作りに男心をくすぐられる毎日。さまざまな業界にて活用されるアディティブ・マニュファクチャリングの今をお届けします!最近のニュースは、鳥を飼い始めたこと。

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