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ニコンが超短パルスレーザーを用いた光加工機Lasermeisterを発表

日本の光学機器メーカー ニコンは超短パルスレーザーを利用してサブマイクロメートルオーダーの高精度な加工を実現する光加工機 Lasermeister を発表した。

3Dプリンターの種類

現在の3D造形では積層方式と呼ばれる方法が主流になっている。本サイトでも過去に取り上げてきた3Dプリンターはほとんどがこの方式だ。

積層方式では、コンピューター上の3D設計図をz軸方向(高さ方向)に輪切りにしていき、一層ずつ印刷して下から順に積み重ねていく。この方式は材料の無駄が少なく、比較的安価に3D造形ができるが、材料には制約が設けられる。

ここで3Dプリンター登場以前を思い出してみると、3D造形物を作るときに積層方式は用いられていなかった。古来より存在する3D造形芸術『彫刻』では、木や石などの素材を鑿とハンマーで削り出している。

今回ニコンが発表した光加工機 Lasermeister は、鑿とハンマーの代わりに「レーザー」を用いて、さまざまな物体を削り出す機械だ。

昔気質な彫刻職人と比べても、Lasermeister は細部へのこだわりが大変強く、サブマイクロメートルオーダー(原子数百個程度の長さ)の微細加工を実現した。

Lasermeister の超短パルスレーザー

超短パルスレーザーとは、数フェムト秒(1000兆分の1秒)から数ピコ秒(1兆分の1秒)のパルス幅をもつレーザーのことで、対象物への熱ダメージが少ないなどの特長を有する。Lasermeister はこの強力なレーザーを対象にぶつけて、ぶつかった周辺の原子を吹き飛ばすことで対象を削り出す。

このとき、レーザー照射の時間が長くなると、物質にレーザー光が吸収されて発熱し、周囲が融解してしまう。こうした熱影響を抑えるために、Lasermeister では超短パルスレーザーを採用した。

超短パルスレーザーを用いることで熱影響が抑えられ、狙った部分の原子数百個のみを正確に吹き飛ばすことができる。これにより、サブマイクロメートルオーダーの微細な加工や平滑化処理が可能となった。

また、周囲への熱影響が小さいため、セラミックスや光学ガラスなどの破損しやすい材料、ダイヤモンドや超硬合金といった加工が難しい材料など、幅広い材料に適用することができる。

非接触3D計測

Lasermeister は、レーザー計測によって表面の形状を観察し、加工処理にフィードバックを与えている。つまり、2種類の用途が異なるレーザーを有しているのだ。

1つは加工用の大出力、超短パルスレーザー。もう1つは非接触3D形状計測用レーザーだ。Lasermeister には、ニコンが培ってきたさまざまな光学技術が詰まっている。

セラミックスへの除去加工例(出典:ニコン)

また、CADデータと対象となる物質の形状のデータから自動で除去加工を行うため、従来のレーザー加工装置と違って、位置合わせが容易という利点も持つ。

仕様

ニコンは、廉価版の Lasermeister 1000SE と、より高精度な座標補正機能や広範囲平面仕上げを可能としたスタンダード版 Lasermeister 1000S の受注を2021年9月29日より開始している。

装置寸法(W × D × H)2880 × 1950 × 2290 mm
装置質量6000 kg
定格電圧、定格周波数AC 200 ~ 230 V, 単相2線式 + 保護接地 50/60 Hz, 4.9 kVA
最大加工寸法(W × D × H)500 × 500 × 180 mm
最大加工重量80 kg
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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関する情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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