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素人が公的機関による3次元CAD SOLIDWORKSの講習を受けてみた

能力開発センターのイメージ

概要

3Dプリンターを使って何かモノを作りたいのであれば、何はともあれ3Dモデリングができないとお話にならない。ShareLab編集部としても、3Dプリンターの導入や活用のネックとなる3D CADソフトの障壁はどのくらいのものか感覚値で少しでも把握したかったこと、また素人がある程度習得できれば今だ3D CADに移行できない人の心理的敷居を下げられるのではないかということで、今回東京都の職業能力開発センターまで行き、編集部員自ら、SOLIDWORKSの講習会を受けてきた。

その感想を体験レポートとして今回お届けする。

東京都の職業能力開発センターが実施する講習はコスパ最高!

東京都の職業能力開発センターでは、3次元CAD SOLIDWORKSの講習を定期的に実施している。初級編、中級編と自分のレベルにあったものを選択できる。

これがなんと三日間で、6,500円と、とてもお安い!

教材は一般的に売られている「作って覚えるSOLIDWORKSの一番わかりやすい本」だ。これが3,280円(税抜き)となかなかなお値段なので、合わせると1万円ぐらいになるが、この講習三日間で1万円なら、相当安いと言える。それも受講生が14~16名ほどの教室に講師が三人もついているのだから、すごい。

これが民間だったら、三日間だとどんなに安いデジタルスクールでも10数万はとられるところだろう。

実際、ちょっとネットリサーチしただけでも大塚商会さんの基礎講座、それも動画閲覧コース4日間で、20万円だった。

>> 大塚商会 SOLIDWORKS 基礎コース

システムクリエイトさんでも1日6万円とあるので、単純計算で三日間コースだと18万円になってしまう。

>> システムクリエイト SOLIDWORKS 講習

無論、上記二つのコースと今回受講した能力開発センターの講習とを内容について詳細に比較したわけではないため情報量や教え方など、内容の濃さはかなり違うだろうが、それでも 今回の初級に加え、次の機会を待って中級コースを受けたとしてもまた 6,500円 かかるだけだ。コスパの面で言えば比較にならない。

モデリングの基礎はマスターできるか?

先に結論から言えば、ShareLab編集部員である製造に関しては、ずぶの素人である筆者が受講したわけだが、非常にわかりやすく丁寧に指導していただけたので、基本操作はできるようになり、これがどんなソフトでどう扱えばモデリングできるのか基本的なところはしっかり理解できた。

受講中はソフトを熟知した三人の講師の方が入れ替わり立ち代わり、少しでもわからずモタモタしているとすぐフォローして教えてくれる。

たまたま講師の方に恵まれたのかもしれないが、これで6,500円なら、絶対受けた方がいい!!と思った。

講習内容

主な講習内容は以下になる。受講したのは初級編なので、まさに最初に覚えなければいけない最低限の内容だ。

  • 3次元CADの基本操作
  • 部品作成
  • 図面展開
  • 寸法拘束、幾何拘束の取り扱い
  • 少数部品による基本的なアセンブリモデル作成

筆者は都合上三日目の「少数部品による基本的なアセンブリモデル作成」と「図面展開」しか体験できなかったが、前二日に行われた基本操作と簡単なパーツの作成は少し説明していただいただけで覚えられた。

SOLIDWORKS 操作中の画面

基本的にはずっと教材のマニュアル通りに講習は進むので、予習、復習もできる。寸法拘束、幾何拘束については教材の本に詳しく解説がある。この寸法拘束、幾何拘束が3D CADを使いこなす際の肝になるそうだ。

作図した各部の自由度をなくすことを「拘束」というが、これは外形の形状を確定するために必要な作業である。「寸法拘束」は、長さや角度を決める拘束のことで、「幾何拘束」は、水平や平行、正接や同一線上などの状態を決める拘束のこと。

教材によると、3次元CADに触れる人の多くは、拘束の理解に苦労して作成に時間がかかったり、不適切な拘束を付加してしまいあとで変更がしにくくなったりしてしまうそうだ。

受講時間

タイムテーブルとしては、9時半から16時半まで、1時間ごとに10~15分休憩という流れで進む。1時間ごとに休憩を入れてくれ、講師の方が受講者が疲れていないか、逆に調子よく進んでいるとなれば少し休憩時間をずらしたりと、常に様子を見ながら講習を進めてくれるのでついていけるかどうか、非常にしんどいのではないかなどといった点については心配しなくてよい。

設備

私が受講したセンターでは設備が充実していて、受講した教室にはソフトがさくさく動くデスクトップPCと20インチ(よりも少し大きい)のモニターが20台以上ばっちり完備されており、高速プリンターも二台あった。自分で持っていくのは、メモ用の筆記用具と事前に自分で購入した教材のマニュアルのみ。

操作について

触ってみてわかったが、SOLIDWORKSはメニューの数がものすごく多い。マイクロソフトOfficeの20倍はあるんじゃないかと思えるほどだ。そのため、初めて触る人はソフトを立ち上げた後、覚える前からげんなりしてしまうかもしれない。

しかしずらりと並ぶメニューでも他のソフト同様よく使うものと、かなり使いこまない限りほとんど使わないメニューに分かれるので、あまり気にしなくてよい。

ちなみに製造業の方では少ないと思うが、SOLIDWORKS はWindows版のみなので、Macintoshで使いたいという方はあきらめた方が無難だ。Boot Campを使ってなんとかならないかと考えた人はいると思うが、提供元であるダッソーシステムズ社からサポートされていないため、何かあっても対応はしてくれないからだ。

操作していて面白くなってくるのが、モデリングした各パーツを合致させ、組み上がっていく瞬間だ。合致させる面と面をポインタでクリックして選択した後、右メニューで合致を選択すると、パーツをポインタで引っぱってこなくても自動でパーツがスッと動いて勝手に嵌合してくれる。

これが妙に気持ちいい。モデリングしたモデルも360度自由にぐりぐり動かせ、ズームインアウトも、自由自在だ。これらの操作を少し楽しく感じられたらそれだけでも大きな前進だろう。

素人の観点から一番驚いたのは、モデリングした後の部品図や組立図といった図面の作成がとても簡単だったことだ。

モデリングしたものと完全に連動しており、横、正面、側面、上部など簡単にちょいちょいと操作するだけで基本的な構成はできてしまい、あとは各部を示すバルーンと呼ばれるオブジェクトを引き出し、そこに数値を打ち込むだけで完成だ。

てっきり3Dモデルを作成した後で、この図面作成は面倒な工程だと思っていたのだが拍子抜けするほど簡単だった。修正も簡単で、図面で修正した値は3Dモデルの方にも反映される。図面ができたら管理に必要な番号やタイトル等の情報を打ち込み、すぐプリントアウト。(下の画像がその様子)

図面をプリントアウト

図面の書き方に強いこだわりがある方であれば多少調整に時間はかかるかもしれないが、それでもバルーンや数値の位置など調整や変更はさくさくできる。

30年以上の昔、手書きでせっせと図面を引いていた人からしていみたら、隔世の感があるだろう。

受講後の感想

講習を受けてみてよかったと思うのが、教材のマニュアル通り進めていても、途中何度かつまずく。自分でも気が付かない内に画面で変なところをクリックしていて、目的の画面が表示されているウインドウの裏側に隠れていたり、操作に慣れてないせいで、目的の部品の面をクリックできておらず、変なところにパーツがくっついてしまったりとこれが講師の方がサポートについてくれてなかったら早々に断念してしまったことだろう。

使ったことのある方だけでなく講師の方も言われていたが、3DCADによるモデリングは、 SOLIDWORKS に限らず、基本的に同じなのだそうなので、「いい加減社内のプレッシャーもあるし、3D CAD覚えないとな・・」と感じている人は、とにかく思い切って受けてみてほしい。

冒頭で紹介した受講料なら、会社が出してくれなくても、例えばお酒好きの方なら二日ほど飲み代を我慢すれば自腹でも受講できるだろう。

また教材である「作って覚えるSOLIDWORKSの一番わかりやすい本」を最初にパラパラと目を通した時、知らない言葉も多く難しく感じたが、講習を受けた後はすごく簡単に見えてきた。初期段階で覚えるべきものが絞られているからだと思う。

まだまだ2D CADで済んでいる範囲は残っていくのであろうが、3D CADの方がこれからますます増えてくることは間違いない。なぜなら3D CADでモデリングすると、アドオンソフトを使えば、熱流体解析などのシミュレーションも可能になり、コストを抑え、かつスペックも確保した製品設計が可能となるなどメリットが非常に多いからだ。

SOLIDWORKS 以外のソフトについては以下の記事を参考にしていただきたい。

>> 製品開発の現場に浸透する3D CAD。各社の特長と製品の紹介

受講されている方はどんな人たち?

受講されていた方は、見た感じ、20代1~2名、30代3~4名、40代3~4名、50代以上2~3名、60代以上2名という印象だ。

女性の方も3名ほど30代とみられる方がいらっしゃった。だいたいが当然製造業の方だが、講師の方に聞くと、造形作家さんなども受講されているそうで、製造業以外の方も若干いらっしゃるそうだ。

帰りに一人の方に話を伺ったところ、工場で治具を製作しているのだが、ある事情で2D CADが使えなくなり、3D CADを覚えなければならなくなったそうで、しぶしぶ受講に来ているようだった。2D CADの方が適当な図面でも発注できて、あいまいなところは発注側が聞いてくれるので、ざっくりの図面発注でもよかったのが3D CADだとそうはいかないため面倒になったと言われていた。

こんな感じで、今後は否応なく3D CADに対応していかなければならない現場は増えてくるのだろう。それはもう時代の進化なので対応せざるを得ない。どんな業界にも言えることだ。

それよりも3D CADのメリットの方に目を向けた方がいい。3D CADでしっかりモデリングができるようになるとその恩恵は長い目で見た時、2D CADの比ではない。

導入について

講師の方曰く、3D CADとなると、今まで2D CADを使っていた人には勝手が違うため抵抗感がある人も少なくなく、むしろ設計を3D CADから始めた人の方が覚えるのも上達も早いそうだ。

確かに白髪の年配の方が、3D CADの画面に表示された図面を見て、「こんなの使えないよ、図面というのはこの部分はこうでなきゃ!」などつぶやいていたが、いやいや簡単に調整できますよと講師の方が説明したら、ちょっと恥ずかしそうにしていた。

とりかかる前に、まずは頭を柔らかく、初心に帰って謙虚に取り組む必要があるだろう。

また3次元と聞くと、2Dより難しい印象を持たれている方も多いのではないだろうか。だが、これも慣れの問題で、講習を受けていると自然と慣れてくる。たぶん最初に仕事用の部品などより趣味の自動車のパーツを作ってみるとか、今欲しい治具を作ってみるなど簡単で興味のあるものか始めてみると挫折することが少ないように思う。

あとプロ用の3D CADソフトは100万以上とお高いので、自社で導入するのは難しいだろうと考える人も多いだろう。

実際SOLIDWORKSは、3D CADの中ではミドルレンジクラスの製品だが、そのスタンダードパッケージでさえ、メーカーの希望小売価格として985, 000円もする。
※ 希望小売価格なので、グロスでたくさん注文すれば交渉次第で値引きしてもらえる可能性は高い。

>> SOLIDWORKSの購入はこちら

そこでとても購入できないと思った方には、入門用としてFusion 360(オートデスク社)がお勧めだ。 売り上げ総額1,000万円以下のスタートアップ企業や趣味利用であれば、 年更新も無料で利用することが可能らしい。興味のある方は、問い合わせてみよう。

売り上げ総額1,000万以上の企業、また営利目的の個人事業主の方はこちらのページで価格を確認してほしい。

>> Fusion 360の価格と購入

SOLIDWORKSのイベントに行ってきた

つい先日の11月8日(金)に SOLIDWORKS のセミナー中心のイベント「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2019」が、東京の赤坂にある ANAインターコンチネンタルホテル東京で行われたので、取材してきた。

会場風景

当日は写真の通り、大盛況で、SOLIDWORKSはかなり普及してきているようだ。

中でも 「熱流体で現象解明 SOLIDWORKS Flow Simulation活用術」というセミナーにて紹介された 株式会社構造計画研究所 が販売しているシミュレーションができるアドオンソフト「 SOLIDWORKS Flow Simulation 」は、これからは3D CADが欠かせない未来が来ると感じさせる優れたソフトだった。

その内容については以下の記事でセミナー内容お伝えしているので、ぜひご覧いただきたい。

関連情報

>> 東京都 TOKYOはたらくネット 3次元CAD(SolidWorks)【初級】

>> 東京都 TOKYOはたらくネット 3DCAD・CAM科

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