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「AM研究会第10回委員会」参加報告

2025年10月25日に「2024年度AM研究会 第10回委員会」が開催され、会場とオンライン含め500名以上の参加があり、シェアラボから丸岡が参加した。委員会ではAMに関する産学様々な分野からの講演があり、多くを学ぶことが出来た貴重な機会であった。その中から重要なポイントに絞り、以下に報告する。(上部画像は記者撮影)

AM研究会とは

AM研究会は2022年4月に「産学官、学協会の枠組みを超え、AMの学術・技術の構築を行うことにより、デジタル技術を駆使してAM技術を日本に広く普及させ、日本の製造業強化を図ります。また、政府への政策提言、日本学術会議での活動などの取りまとめ、日本AM学会の設立を目指します」をミッションとして設立。AMサイエンス、AMテクノロジー、AMビジネスを3本柱として、情報交換や人脈形成、AM事業の成功例を増加させる場として活動。これまで定例委員会(セミナー)を年4回程度開催し、今回が第10回目であった。詳細はAM研究会ウェブサイト(https://ji-am.jp/)を参照されたい。

委員会での講演トピックス

委員会は下記プログラムで、東京大学生産技術研究所 コンベンションホールでの会場とオンラインのハイブリッドで開催された。

講演講演者
開会の挨拶東京大学 副学長 教授 岡部 徹 氏
委員長挨拶中野 貴由 委員長(大阪大学 教授)
講演① 「AMとサイバーセキュリティ~ウクライナ危機と国際動向の視点から~」NTTデータ先端技術株式会社 フェロー 筑波大学 人工知能科学センター客員教授 三宅 功 氏
講演② 「AMによる構造物創製のための弾性変形制御」大阪大学 大学院工学研究科教授 多根 正和 氏
講演③ AMビジネス トピックス紹介(第6回)「デジタル社会と未来のものづくり・AM市場」株式会社シグマクシス 常務執行役員 桐原 愼也 氏
講演④ AMテクノロジー トピックス紹介(第8回)「AMの品質管理に関する分析・試験評価事例」株式会社島津製作所 環境経営統括室長 横田 明善 氏
講演⑤ AMサイエンス トピックス紹介(第8回)「AMによる高性能自己触媒反応管の創製」大阪大学 大学院工学研究科 准教授 森 浩亮 氏
講演⑥ 「低熱膨張材LEX-ZERO®の3Dプリンター造形」日本鋳造株式会社 代表取締役社長 鷲尾 勝 氏
AM研究会の活動報告AM研究会事務局  山村 英明 氏、桐原 慎也 氏
閉会のご挨拶前川 篤 副委員長(大阪大学 招聘教授)

まず中野委員長から、「2025年4月に設立予定の(一社)日本 Additive Manufacturing(AM)学会🄬は、 AMは使われてこそ価値であり、オープンな形で進めて行く。AMに関するサイエンス・テクノロジー・ビジネスに加え、アート、セキュリティを対象とし、近未来型の学会を目指す」との挨拶があった。

基調講演ではAMにおけるサイバーセキュリティの話題が提供され、攻撃の現状やセキュリティ対策について、今後AMの発展に伴いますます重要となる点を学ぶことが出来た。現状、世界人口の約6割がインターネットを利用し、2018年ごろからビジネス化・自動化され、国際紛争に伴いサイバー攻撃が急増。欧米では市民が持つ小型プリンターで、軍の依頼により武器の部品を作って供給するシステムがあったり、ドローンのブレードの3Dデータをハッキングにより弱くして、知らずに作って飛ばしたドローンが墜落するような事例も起きている。アメリカASTMではセキュリティ管理標準策定を試みている。欧州ではEUのNIS2指令が今年10月に施行され、重要なサービスを提供する事業体が守るべきセキュリティ基準を制度化しているとのこと。

その他の講演では、大阪大学の金属材料に関する研究として、チタン合金の結晶の向きをレーザーPBF(粉末床溶融結合)のレーザー照射パターンにより制御することで、同じ金属素材でも特定箇所の弾性を低くしたりすることができ、既存の骨固定プレートが硬すぎることで起こる問題を改善できる可能性があることが示された。また日本鋳造が開発した低熱膨張材は、レーザーPBFの原理により、従来の鋳造材料に比べコバルト含有量を極力減らすことにより、熱膨張率だけでなく、機械的物性も優れた材料を開発でき、その特許も取得したとのこと。このように、主業の知見と人材を活かしながら、AMで新しいビジネスや製品を積極的に取り組む例は、他の製造企業にも大いに参考となるであろう。

委員会参加を終えて

今回の委員会でも、AM研究会が対象とするサイエンス・テクノロジー・ビジネスに関係する広い分野の講演があり、サイバーセキュリティ、品質管理、材料の研究開発からビジネスの話題を含め、AMの関係する幅広い話題を参加者で共有し、また参加者間での交流ができたことは、有意義なイベントであった。閉会挨拶の中で前川副委員長から「最近AMについて話す依頼が多い。よく考えればエネルギー転換、カーボンニュートラルに伴い分散型・在庫・廃棄減の製造にはAMが有効。DX、GXによる日本の製造業の発展をAM学会が支えていくことを願う」とのメッセージがあった。今後もシェアラボとしても注目、協力していきたい。次回の第11回委員会は 2025年1月16日で三菱重工業高砂製作所AM施設見学会、17日に大阪大学中之島センターで研究会開催予定とのことで、情報知識と人脈獲得の大変良い機会として積極的な参加をお勧めする。

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設計者からAMソフトウエア・装置販売ビジネスに20年以上携わった経験と人脈を基に、AMに関わるみなさんに役立つ情報とつながりをお届けしていきます。

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