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東大AMシンポジウムに参加しました

毎年一回開催される東京大学生産技術研究所が開催するAMシンポジウム。
2021年1月22日に開催された第11回AMシンポジウムはオンライン開催でしたが、
今年は150名以上の有識者、業界参加者の参加があったとのことです。
シェアラボ編集部としては初めて参加しました。

録画や画面のスクリーンショットは禁止、ということでここで詳細資料のご紹介はできないのですが、
参加者には配布資料が別途あるということですので、その資料を基にした追加取材などがお届けできればと思っています。

さて、今年のシンポジウムではいろいろなトピックスが紹介されたのですが、
なかでも注目だったのが、補修部品へのAM活用に関する発表でした
さわりだけご報告するとすればなんだろう、と考えたのですが、
大きく2つ印象的な内容がありましたのでご紹介したいと思います。

・AMの訳語は「付加製造」
・保守用部品のAM製造の可能性

アディティブ・マニュファクチャリングの訳語は「付加製造」

アディティブ・マニュファクチャリングは非常に文字数が多いので、シェアラボでは積層造形という言葉を訳語として
つかっていましたが、JISの規格策定でも、日本語としては付加製造でいこうということになったそうです。
今回のAMシンポジウムの進行役を務めていらっしゃった新野教授は策定に携われていたご様子で、
この件を紹介される際に、「紆余曲折あったけれど付加製造となりました」
と語っていらっしゃいました。言葉の定義を決めたり、表現を決めるご苦労がしのばれました。

保守用部品のAM製造の可能性

おなじく新野教授が、3Dプリンター協会と一緒に共同研究するという建付けで
現在進めているとのことでしたが、保守用部品のAM製造の可能性に関しては、
今回のシンポジウムでは中心的なトピックスでした。
もともと新野教授は「従来工法でできることを敢えて3Dプリンターで実現する必要はない」
という方針でいたそうです。とはいえ、海外ですすむ活用にくらべ、日本の活用が限定的であることに危機感を覚えて
取り組むにいたった、と語っておられました。

既存工法に優れ、品質を尊ぶ日本のモノづくりではまだまだAM技術は検証中というステータスである事が多いのは事実です。
一方で欧州や中国では試行錯誤を続ける中でAMでの製造経験を積み急速に品質を上げてきています。
やはり実際に製造してみないと知見はたまらないし、改善も進まないということなのでしょう。
日々差が広がっていく危機感をお持ちのようでした。
そんな中で適用範囲をご検討されていて浮上してきたのが、保守用部品のAM製造というテーマであったようです。

「大量生産を求められる”量産モード”に入っている工場はたくさんの部品を高い生産性と
 ビジネスとしての採算が取れる体制で製造しています。ですが、いったん量産体制が解除された後も、
 補修部品の提供義務は残ります。ここで製造のモードが変わるわけで、現状では量産モードのまま
 在庫を作り置きし、いつ売れるかわからない在庫を長期保管することで対応しています。
 企業の財務上、負担になっているのは間違いありません。
 AMを活用することで、デジタルデータで図面を保管し、必要な量だけ都度製造するようにできる体制が
 整備できれば、日本の製造業にとってプラスになるでしょう」(新野教授)

自動車も年々品質が向上し、寿命が延びていますし、
電装部品が高度化してきました。
ここ10年ではハイブリッド対応も進んできましたし、CASE対応といわれるように、
電装部品の高度化、電動化対応は進んでいく事でしょう。
メーカーのプラットフォーム共通化、部品の共通化が進んでいるとは言え、
部品点数が多く、長期保管が必要な部品が、実際に長期にわたって供給され続ける体制は
今後も変わりません。

「そもそも3D図面がまだなかった」
「もともとの図面に書いてある材料が3Dプリンターでは使えない」
「既存工法とAM工法で仕上がった部品の特性が異なる。同じ試験方法でよいのか」
「試験方法を再度見直して、採算が合うのか?」
など課題も多いとは思いますが、追加生産に備えた金型保管・在庫保管のコスト、デリバリーの容易さ、
などを複合的に判断して、AMが「合理的な製造モード」である局面がみつかっていけば
少しづつ取り組みが始まっていくのかも、と期待が膨らみます。

真剣に各社が検討を始めていることは間違いなさそうですが、
その重要性は非常に大きいと感じさせられました。

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