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失敗しないための業務用3Dプリンターの選び方

業務用3Dプリンターの導入を検討する際、どの機種にすればよいか悩みます。ホビー向けの安価な装置であれば新たに別の機種を購入することも検討できますが、高価な業務用3Dプリンターを選ぶのとは根本的に考え方が異なります。用途や造形サイズ、予算などを考慮して、失敗のない機種選定をする必要があります。失敗しないための業務用3Dプリンターの選び方を解説します。

失敗しないための業務用3Dプリンターの選び方

業務用3Dプリンターの導入を検討する際には、どのような用途で使用するかを明確にしておく必要があります。

  • 試作用か製造用か
  • 使用したい素材は何か
  • どの程度のサイズのものを造形したいのか

他にも予算や設置場所、運用人員など、さまざまな条件を決めておくことが重要です。条件が決まれば、それに合わせて機種の選定が行えます。明確な用途が決まっておらず、予算的な部分だけを考慮して機種を選んで導入してしまうと、思うように使うことができずに失敗してしまうリスクが高くなります。何を作りたいのか、何をやりたいのか、導入によるメリット、デメリットをよく考えておく必要があります。

よくある失敗・誤解

3Dプリンターに対するよくある誤解として、以下のような項目が出てきます。

  • すぐに物ができる
  • データがあれば何度でも同じように作れる
  • 既存の加工方法で作ったものと同じように使える

3Dプリンターは今までにない製造方法であり、切削やプレスといった既存の加工方法では作れない形状や機能を持たせた製品を作ることが可能です。また試作品を作るとなった場合、従来の方法では図面を書いて加工工場に依頼して部品を作り、組み立てて検証を行う必要がありましたが、3Dプリンターを使えば3DCADで3Dデータを作成して部品を作ることができます。テストまでの時間が大幅に短縮されるので、ラピッドプロトタイピングと言われます。

しかし、3Dプリンターでの造形は1層ずつ積層して造形していく製造工程なので、非常に時間がかかります。小型のものでも1時間以上かかる場合があり、大型の物ならば数時間から数日という場合も。また、3Dプリンターも既存の加工方法と同様に誤差があり、温度や湿度などの環境条件などでも出来上がりに差が出る場合があります。

出来上がった部品の表面も造形方式によりザラザラとした面となり、滑らかな面や高い精度を出すには追加工が必要です。さらに積層して造形していくので、層と層のあいだにわずかな隙間が生じている場合があります。液体などを入れる部品や、密閉する容器などを造形する場合は、コーティングや熱処理など後処理の加工が必要です。

サイズが大きい3Dプリンターほどより大きなものが作れると考えて、予定よりも大きなサイズの機種を選ぶ方もいらっしゃいます。確かに‟大は小を兼ねる”のですが、造形可能サイズが大きい機種は高価になります。また大きな物の造形は反りや歪みが起こりやすく、手がける物によっては不向きなことも。大きさだけを求めて高価な業務用3Dプリンターを買い求めても、造形品質やコスト面で最適ではないかもしれません。

また、より品質、精度の高い造形ができると考え、積層ピッチができるだけ小さくできる機種を選ぶことがあります。しかし積層ピッチで重要なのは、Z方向の細かさです。製品全体の精度とは異なります。

3Dプリンター選びの際には、このような問題や課題があることも考慮して選択することが大切です。

失敗しないための業務用3Dプリンターの選び方

3Dプリンターの選定で検討する点は、造形方式、造形サイズ、使用材料、価格など各種あります。例えば造形方式を見ても大きく分けて7つあり、

  1. 材料押出方式(MEX/Material Extrusion)
  2. 材料噴射方式(MJT/Material Jetting)
  3. 粉末床溶融結合法(PBF/power bed fusion)
  4. 液槽光重合(VPP/Vat Photopolymerization)
  5. 結合剤噴射(BJT/Binder Jetting)
  6. 指向性エネルギー堆積(DED/Direct Energy Deposition)
  7. シート積層(SHL/Sheet Lamination)

となっています。使用材料は樹脂、金属、石膏などこちらも多岐に渡り、造形方式や使用する3Dプリンターの機能によって変わります。造形サイズは100mm角程度の小型のものから、1000mmを超える大型のものまでさまざま。価格に関しては大型の業務用のものは高価です。

「材料」「サイズ」「価格」それぞれの選び方を見ていきましょう。

材料から選ぶ

3Dプリンターで使用できる材料は造形方式により変わります。また、機種によっても使用可能な材料は異なります。

樹脂材料による簡単な試作や、精度がそれほど高くなくてもよい治具などを製作する場合は、設置が楽で価格も比較的安い材料押出堆積方式を選択できます。機種により、ポリ乳酸樹脂(PLA)のような安価で造形が簡単であるが強度などは高くない樹脂しか造形できないものから、ポリカーボネート(PC)のようなエンプラまで対応できるものがあります。

樹脂以外に金属を使った部品も製造する場合は、粉末床溶融結合法(PBF/power bed fusion)を選択します。樹脂材料でより滑らかな造形面が必要であるならば、光造形方式が選択します。フルカラーでの製品を作りたいのであれば、石膏をバインダーで固めて造形を行う材料噴射方式(MJT/インクジェット方式)です。

使用する材料や造形方式により、空調や保管庫などの付帯設備が必要なものもあるので、選択する際にはその点も考慮に入れてください。

サイズから選ぶ

実際にどの程度のサイズの物を造形するかによって選択する機種が異なります。最大造形サイズ以上のものは造形できません。ある程度余裕を持ったサイズの機種を選択します。必要以上に大きなサイズのものを選択すると、導入コストがそれだけ大きくなるので、注意が必要です。

価格から選ぶ

同じ造形方式の3Dプリンターでもローエンドからハイエンドまでさまざまな機種が存在します。用途や造形サイズなどを考慮して、予算に合わせて選択することが必要です。粉末焼結積層造形方式は、使用する粉末そのものの価格は他の造形方式と比べて割高ですが、造形されなかった粉末は再利用が可能です。また、粉末焼結積層造形方式は、材料押出堆積方式などと異なりサポート材が不要なので、その分使用する材料が少なくて済みます。造形速度も、稼働にかかるランニングコストに影響するので、検討しておく点です。例えば、光造形方式は、使用する材料が比較的高価ですが、造形速度が速いので稼働にかかるランニングコストが抑えられます。

サンプル造形の依頼やデモ機を使用してみる

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機能や価格面では問題ないが、実際に希望する物が造形できるか判断できない場合は、出力テストを行っているメーカーにサンプル造形の依頼をするという方法もあります。また、デモ機の使用や、ファブスペースで実際に使用できる機会があるならば、使用することで使い勝手の確認ができます。

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まとめ

3Dプリンター選びで失敗しないためには、最初に用途や使用条件を明確にしておくことが大切です。条件に合わせて造形方式、造形サイズ、使用材料、価格などを考え、設置条件やランニングコストなども考慮して選択してください。

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