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情報収集のための3Dプリンター展示会選びと活用法:フォームネクストフォーラム東京の場合

3Dプリンターに関する情報収集の多様化と情報の取捨選択

3Dプリンティング技術の急速な発展に伴い、関連する展示会やイベントも増加の一途をたどっている。漫然とイベントに参加するだけでは成果に乏しいことを懸念する方もいることだろう。時間とコストの制約がある中で、どの展示会に参加すべきか、そしてそこでどのように時間を過ごすべきか。

本記事では、開催が間近に迫った3Dプリンター専門展示会の中でも「フォーネクストフォーラム東京2024」を取り上げ、展示会の選び方と効果的な活用方法について、主催者側の視点も交えながら解説していく。協力してくれたのはフォームネクストフォーラム東京を主催するメッセフランクフルトジャパン株式会社の大内祐司氏だ。(写真)

ウェビナーvs実際の展示会:それぞれの特徴と活用法

そもそもコロナ以前に比べると、3Dプリンターに関するウェブサイトでの情報やウェビナーでの情報発信が格段に増加した。ウェビナーは手軽さと時間効率の良さが魅力だ。そんな中、わざわざ会期の限られる展示会に行く必要はあるのか。フォームネクストフォーラムを主催するメッセフランクフルトの大内氏にこの疑問をぶつけてみた。

「3Dプリンターを使って試作や治具を作る方は、実際に自分自身が使う装置や材料に関していろいろ気になる点があるはずです。たまたまウェブサイトで見つけた装置や材料でよいのか。自分が使うとしたら気になるサイトに書いていない、ウェビナーで触れられていない点に関して、一件一件サイトに問い合わせていく必要があります。リアルな展示会であれば、周りにスペシャリストがずらっと並んでいます。装置や材料を見ながら相談できるので一日の来場で疑問が氷解するはずです」(大内氏)

公開されていれば会社でも自宅でも情報を閲覧できるウェブサイトならではの手軽さも魅力だが、一歩踏みこんだ情報を短時間で確認するであったり、自分が気が付いていない点もアドバイスを受けられるのは確かにリアルな商談のメリットだ。商談程肩肘はらない雰囲気である展示会の場で実際に自分の興味がある装置や材料を見ながらプロに室温できるのは大きなメリットだといえるだろう。

展示会は複数開催されている。そんな中、どんな展示会に参加するべきか。例えばフォームネクストフォーラム東京はどんな課題感を持つ人に向いている展示会だといえるだろうか。

どの展示会に参加するべきか~フォームネクスト東京の特徴と魅力

フォームネクストフォーラム東京の公式サイト

大内氏は、フォームネクストフォーラム東京の特徴について次のように語る。「フォームネクストは、3Dプリンティングとアディティブマニュファクチャリングに特化した国際的な展示会です。日本、ドイツ、中国、アメリカの4カ国で開催されており、グローバルな視点と各地域の特性を同時に把握できる貴重な機会となっています。そんな中、日本開催であるフォームネクストフォーラム東京は、山手線浜松町駅から徒歩数分で来場できる会場のアクセスの良さ、専門展示会として3Dプリンティング関連産業だけが出展しているという専門性の高さが特徴です。」(大内氏)

たしかに東京ビッグサイトなどで開催される巨大展示会は目当てのブースにたどり着くまでが一苦労だ。併設展も見ながら歩いていると、自分が何を探しているかわからなくなるほどだ。そういう観点では、3Dプリンターの装置や材料を探す、受託造形をしてくれるパートナーを探すと言ったゴールをもっている来場者には、目的までの距離が物理的にも心理的にも近いのは確かだろう。

3Dプリンター専門展示会の効果的な活用方法は?

まだ装置の導入や加工の依頼を行うところまで自社の状況が来ていないが、情報収集は行っておきたいという企業はどのように展示会を活用するべきだろうか。

「広く状況を把握したいという方にはセミナーがおすすめです。主催者セミナー、業界団体セミナー、出展者プレゼンテーションの3つの種類のセミナーをご用意しています。毎年、トレンドを踏まえたセミナーを企画しているのですが、今年のトレンドはデータの作り方やソフトウェアの重要性が高まっていると感じます。例えば出展者プレゼンテーションの約半数が設計やシミュレーションに関する内容でした。それだけ装置として普及が進み、次はより良く作るための設計に関心が移ってきたということかもしれません」(大内氏)

9月26日木曜日の出展社プレゼンテーションでは、マテリアライズジャパンが世界有数のシェアを誇る造形支援ソフトウェアMagicsの最新機能を解説する。SCSKはSolizeと共同で進めた熱交換器の設計最適化に関して実践事例を紹介する予定になっている。また27日には海外でも注目が集まっているDyndrite社のAMソフトウェアに関する愛知産業のプレゼンテーションも行われる。

「主催者特別セミナーとしては、経済産業局の素形材産業室の星野昌志室長に素形材産業とAMの今後を見通す講演が予定されている他、有限会社スワニーの橋爪吉博社長が「設計段階からの量産最適化する重要性と、3Dプリンター活用の意義」に関して講演する。

スワニーが中小企業ながら3Dプリンターを活用し少量生産に取り組むことで、数多くの新規開拓を受注してきた実績を持つAM活用の先進企業だ。そのの活動の一端を実際に効くだけではなく、名刺交換などもできる場は今後の活用を考えている企業にとっては貴重な機会になるだろう。

このほか、日本最大級の通販型3Dプリント受託造形を行っているDMM.makeをどのようにユーザーが使っているかの具体例の講演や最近大きく成長している中国の3Dプリント活用の概況の方向など、多角的な観点での情報を得ることができるだろう。

セミナーで情報を集めるだけが展示会ではない。実際に展示ブースでは、3Dプリンターがならび、造形サンプルや材料を手に取りながら相談ができる環境がある。しかし数多くのブースがひしめく中でどのように情報をあつめればよいのだろうか。

「まずは会場をぐるっと一周してみてください。樹脂3Dプリンターに興味があるのか、金属3Dプリンターに興味があるのか。自分の関心事が明確になってきます。そして二週目で気になる展示ブースに話を聞いてみてください。来場したその日ですべてを決めたりする必要はありません。まずはテーマを明確にして、そのテーマに詳しい企業や担当者とのパイプを作るようにしてください。実際にサンプルや材料を触りながら相談すると、予算感や課題も明確になるはずです」(大内氏)

事前に自分のテーマを上手く言語化できれば、関連するブースを目がけて回れば良いが、沢山ある課題感に関して優先順位がつかないからこそ情報収集に行くという場合もあるだろう。その際には一度会場を回ってみて、自分のアンテナにひっかかるテーマから情報を集めていくというのは良いアプローチかもしれない。

セミナーで大局をつかみ、個別の展示ブースを見渡しながら3Dプリンターが自社の課題解決がどのように貢献できるかのイメージを固めていく。段階的に集めるべき情報の解像度を高めながらピンときた企業を見出し担当者と名刺交換する、と言った段階的な情報収集が一回の来場で実現できる点がリアルな展示会の魅力といえるだろう。

「フォームネクストフォーラム東京は単なる展示会ではなく、業界の未来を形作る場です。ぜひ積極的に参加し、新しい可能性を見つけてください。3Dプリンティング技術は日々進化しており、ここでの出会いや発見が、あなたのビジネスや研究を大きく前進させる可能性を秘めています。」(大内氏)

漫然と見るだけではなく、その道のプロとの人脈を作る場として見たとき、展示会で軒を並べる展示ブースへの見方が変わることだろう。今回のフォームネクストフォーラム東京では、シェアラボ編集部もブースを出展しており、3Dプリンターに関する悩み相談に応じる相談所も開設している。会場で見かけた際はお気軽にお声がけいただきたい。

フォームネクストフォーラム
東京2024

会期:2024年9月26日~27日
入場:無料

https://formnextforum.jp.messefrankfurt.com/tokyo/ja.html#

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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