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Nexa3Dが、北米で同社初の卓上サイズ光造形方式3Dプリンター「XiP」の出荷を開始

カリフォルニアに拠点を置く3DプリンタメーカーのNexa3D社は、ドイツのフランクフルトで行われた3Dプリンターのイベント「Formnext 2021」で発表した新型3Dプリンター「XiP」の出荷を、アメリカとカナダ向けに開始した。日本への出荷はまだ未定。

XiPは、Nexa3D社初のデスクトップサイズ3Dプリンターで、造形方式は光造形方式。有線接続、USB、Wi-Fi接続に対応し、操作用に5.5インチのカラーLCDタッチスクリーンを搭載している。(画像はNexa3D社の新型3Dプリンター「XiP」 出典:Nexa3D社

Nexa3Dのデスクトップ型3Dプリンター「XiP」の特徴

Nexa400とくらべるとコンパクトさがわかる卓上タイプのXip(出典Nexa3D)

Nexa3D社初の卓上3Dプリンターである「XiP」は、最大造形サイズが195mm×115mm×210mm。光硬化性の液体樹脂材料に光を当て造形する光造形方式の3Dプリンターだ。複雑な形状にも対応可能で、造形物の表面は比較的滑らかな仕上がりになる。

3Dプリンターは造形方式により、さまざまな特徴がある。それぞれの造形方式について、詳しくは以下の記事にまとめてあるので参考にしてほしい。

XiPには、Nexa3D社製の既存の産業用3Dプリンター「NXE 200」や「NXE 400」と同様に、同社の独自技術である「LSPc(Lubricant Sublayer Photo-curing)技術」が搭載されている。

Nexa3D社によると光造形方式はSLA方式、DLP方式、mSLA方式の3つの世代に分類できるという。SLA方式は単一のレーザー光で造形物を一筆書きにする。設定により精細な造形は可能だが、造形にかかる時間は長い。大型造形物でも精度が高く造形できる傾向がある。

DLP方式はUV光をプロジェクターで投影することで、面全体に光を当てることでより早い造形速度を実現できる。一方で、プロジェクタの焦点設定次第では、造形エリアの端に行くほど投影する画像がゆがむため、形状再現度が落ちる。壁面に投影したプロジェクターの画面が台形になったり形がゆがんでしまう経験をした方も多いだろう。同じようなことが設定次第で起こってしまうと考えてほしい。対象物が小さい場合、プロジェクター同様に焦点を絞ることで光を強め造形を早めることもできる。小さいものを精度高く造形する際に活用しやすい方式だ。

mSLA方式は造形エリアの端部でもゆがみが出ないように高解像度の液晶ディスプレイ(LCD)を光源に造形を行う。面で光を当てて造形することができるため、造形速度は速い。またLCD画面を利用するので、ゆがみも少ない。パソコンのディスプレイにつなげたときに、プロジェクタと違って画面が台形にゆがまないのと同じ原理だ。一方で小さい造形物に関しても焦点を絞れないため、造形時間を短縮できない。LCDの精度によって造形品質が大きく左右される。

このように各方式、一長一短があるため、どれがよいと一口にいうことはできないが、造形速度と精度の改善を目指してSLA方式、DLP方式、mSLA方式と開発が進んできたことは確かだ。

LSPc技術は、LCDを使うmSLA方式の一種で、ビルドプレートのすべての領域に均一で高出力かつ歪みのない画像を提供し、パーツ間の正確さと均一性を表現できる。また従来のSLA(光造形方式)型3Dプリンター以上の印刷スピードを実現し、1時間あたり最大18cmの高速プリントが可能になった。高速に造形できる点はNexa3D社のセールスポイントで「従来の3Dプリンターの7倍速い」と打ち出すなど自信をにじませる。

既存モデルの「NXE 200」については、過去にShareLabNEWSでも取り上げているので、ぜひ参照してほしい。

デスクトップ型の3DプリンターのXiPはエンジニアリング、歯科、医療、教育、その他の用途でプロトタイプの作成や製品レベルの部品作成のための活用が想定されている。

Nexa3Dの公式材料も販売されているが、XiPではオープンマテリアルを標榜しており、サードパーティー製の液体レジン材料の利用を受け入れている。Nexa3Dの公式材料ガイドによると一般的な光硬化レジンだけでなく、エラストマー材料、ポリプロピレン樹脂、耐熱性と耐薬品性に優れたPEEKライク樹脂材料の取り扱いもあるため、選択肢は広いが、サードパーティー製の材料にはコストパフォーマンスに優れた材料も存在するし、自社独自の材料を開発する自由度が残されている点は魅力的だ。利用を禁止していないだけでパラメーター開発は必要だろうが、材料の問題で光造形方式に対して及び腰だった企業にとっては検討する価値がある一台になるだろう。

XiPには、オフィスや研究室環境での生産性を向上させるための、洗浄剤や空気清浄機などのアクセサリーも用意されている。クリエイターや歯科、工業デザイナーなど向けにカスタマイズされたパッケージ販売が行われるとのことで、これから導入しようというユーザーにもとっつきやすいかもしれない。

Nexa3D社の新型3Dプリンター-「XiP」とアクセサリー群 出典:Nexa3D社
Nexa3D社の新型3Dプリンター-「XiP」とアクセサリー群 出典:Nexa3D社

持続可能性にも特徴が

XiPは大量生産や持続可能性、耐久性を考慮し筐体と材料用の容器をアルミニウム製としている。アルミニウムは世界で最もリサイクルされている素材であるため、世界中でリサイクル可能だ。そのため、特別な手順を踏んで廃棄物処理を行う必要もないという想定のようだ。またNexa3D社はXiPを1台販売するごとにタンザニアに10本の木を植える活動も行っている。これは環境保護活動を行うForestNationとの提携で行っているようだが、必要な分だけ必要な際に作るという3Dプリンターらしい特徴を活かしたブランディングといえるかもしれない。

日本での取り扱いに関してまだ各社からの発表はないが、高速造形できる光造形方式の3Dプリンターの選択肢が増えることは、試作品の内製を検討している企業にとってはうれしい話であるし、材料がオープンである点もチャレンジのし甲斐がある。材料技術に強みをもつ企業にこそ触ってもらいたい一台といえるかもしれない。

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ShareLab NEWS

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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