国内販売開始、産業用光造形3Dプリンター「ZRapid iSLA by B’full」自社造形実績から得た経験でサポート-B’full
3Dプリンター関する委託生産とコンサルティングを行う株式会社Bfull(以下、B’full)は、中国3Dプリンター製造大手ZRapidと提携し、産業用光造形3DプリンターZRapid iSLA by B’fullの国内販売を開始した。B’fullのノウハウがプリセットされており、導入やメンテナンスをサポートする。(写真はZRapid iSLA 外観 出典:B’full)
目次
3Dプリンター導入の障壁
3Dプリンター導入において大きな障壁となるのが、3Dプリンターの使用方法に関する知識の欠如だ。
これはどんな製造設備に関しても言えることだが、導入当初はその使い勝手が分からず、些細なミスが多発することになる。こうしたミスは、時間が経過し、その使い方に習熟することで減っていくものであるが、設備導入当初の煩雑さは現場の技術者を疲弊させ、思い通りに進まないことで経営者を悩ませる。
3Dプリンターの導入は、通常の生産設備に比して、より大きなフラストレーションを課すことになるだろう。
3Dプリンターは広範な可能性を有するが、逆に言えば出来ることが多すぎて何をやっていいのか分かりづらい。1つの機能に特化し、繰り返し同じ作業を行う、これまでの製造設備とは真逆だ。
材料の粘度や硬化速度といった特性に応じて、ワイパーの移動時間、照射する光の強度、温度などを細かく調整しなければ、規定の性能を発揮することはできない。その他無数に存在するパラメータを使いこなし、3Dプリンターで出来ること、出来ないことを見極められるほどになるまでには、長い時間を要するだろう。
一台目に最適な3Dプリンターの販売開始
このような3Dプリンター導入における障壁を取り除くため、B’fullは予め材料毎のパラメータプリセットをインストールした3Dプリンター「ZRapid iSLA by B’full」の販売を開始した。
ハードは中国3Dプリンター製造大手ZRapidの「ZRapid iSLA」を用いている。B’fullはZRapidと提携を結び、自社が蓄積したノウハウを載せて国内販売を開始した。
本体価格は税抜きで、「iSLA by B’full 660」が1,150万円、 「iSLA by B’full 880」が1,190万円。両製品は造形サイズ、本体サイズ、タンク容量などに違いがある。対応造形材料の価格はスタンダードなABSライク素材で1リットルあたり1万5,000円。一般的には1Lあたり約3万円するところを、自社内での造形のために造形材料を大量に仕入れいている
ZRapid iSLAはコストパフォーマンスや使い勝手の良さを特徴とする3Dプリンターだ。シンプルな設計ゆえにメンテナンスが容易で、堅牢な作りとなっている。1台目には最適な3Dプリンターと言えるだろう。
実際、 B’fullの3年間での自社運用実績の中で、造形成功率99%、年間故障率 1%以下と高いパフォーマンスを発揮している。
ZRapid iSLA by B’full 660/880 スペック
各機器のスペックは以下表の通りである。
SLA方式3Dプリンターのヘビーユーザーだからこそ提供できる保守・メンテナンス
B’fullといえば等身大フィギュアブランド「FIGUREX」などtoC向けのフィギュアの造形サービスなど多くの造形実績がある。今回B’fullがノウハウを詰め込み、サポートを行えるのは、 B’fullが多数のSLA方式3Dプリンターを自社導入し、年間5トン程度の造形材料を使用する、 国内屈指のSLA方式(光造形方式)3Dプリンターのヘビーユーザーだからだ。
B’fullは、これまでに39種477台もの3Dプリンターを導入し、3Dプリンターによる量産体制を確立した。今回販売を開始したZRapid iSLAシリーズも自社で14台導入し、現在も製品生産に活用している。
これら自社で蓄積したノウハウを用いて、導入からその後のメンテナンスまで幅広いサポートを用意しており、サンプルの造形、設置サポート、故障時の修理、技術相談に加えて、万が一に機器故障が発生した際の故障時出力代行サービスなど、トータルでの保守・メンテナンスも提供している。
B’full 新規事業推進室 室長 一柳氏と広報 山口氏からは、 今回の産業用光造形3DプリンターZRapid iSLA by B’fullの最大の特徴について以下のようにコメントをいただいた。
日本一のSLA方式(光造形方式)3DプリンターのヘビーユーザーであるB’fullだからこそ提供できる技術とサービスが詰め込まれています。3Dプリンターを最大限活用するには、材料ごとに最適なセッティングが必要です。通常であれば、ユーザの方が造形の失敗を繰り返して、適したセッティング・パラメータ値を見つけ出すのですが、「ZRapid iSLA by B’full」では、B’fullが培った自社ノウハウによって、材料特性ごとに異なるレーザーの強度や液面をならすワイパーの速度などの各種パラメータを適した形でプリセットしています。
B’full 新規事業推進室 室長 一柳氏と広報 山口氏
B’fullは2022年6月22日~24日に東京ビッグサイトで開かれる第5回 次世代3Dプリンタ展への出展を予定している。同3Dプリンターの導入を検討している方は、一度足を運んでみるのはいかがだろうか。
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