3Dプリンター購入時に使える税制優遇措置
3Dプリンターを購入することによって、利用できるようになる税制優遇制度があります。3Dプリンター購入にかかった費用を経費として計上する際に適用される措置や、3Dプリンターにかかる固定資産税を優遇する措置です。それらを利用することで、3Dプリンター購入にかかった費用の一部を補填し、3Dプリンター購入の負担を減らす方法を紹介します。
3Dプリンター購入に活用できる税制優遇制度
それでは、税制優遇措置活用のメリット、3Dプリンターを実際購入する際に活用できる税制優遇制度について紹介していきます。
活用のメリット
税制優遇措置のメリットは、何よりも法人税や固定資産税など、事業にかけられる税金が安くなることにあります。税金による支出を抑えることで、利益を手元に残すことができます。それを使い、さらなる生産性向上へ手を打つことや、従業員への給料としての還元することが可能です。条件に該当する場合には、ぜひ申請を出して税制優遇を受けることをオススメします。
また、税制優遇措置は、中小企業等による経営革新のための設備投資等に対して国から補助金が出る公的支援制度「ものづくり補助金」との併用も可能です。ものづくり補助金は設備投資に対する補助金になります。税制優遇措置は、資産計上した設備に対しての減税です。さらに税制優遇措置は、ファイナンスリース契約も対象となります(オペレーションリースは不可)。制度の詳細、適用条件については経済産業局、またはお近くの税務署にお問い合わせ、確認してください。
制度の種類
中小企業投資促進税制
中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性向上等を図るため、機械装置などの対象設備の取得や製作など、一定の設備投資を行った場合に、特別償却(30%)又は税額控除(7%)のいずれかの適用を認める措置です(税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限る)。
制度名称 | 中小企業投資促進税制(適用期限:令和4年度末、令和5年3月31日まで) |
対象設備 | 機械及び装置 160万円以上 |
対象者 | ・中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等) ・従業員数1000人以下の個人事業主 |
措置内容 | ・個人事業主資本金3000万円以下の中小企業 30%特別償却 又は7%税額控除 ・資本金3000万円超の中小企業30%特別償却 |
その他要件 | ・生産等設備を構成するものであること ・最低取得価額要件を満たしていること ・国内への投資であること ・中古資産・貸付資産ではないこと等 |
※1 税額控除額は、その事業年度の法人税額または所得税額の20%までが上限となります。なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。
※2 特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。
※詳細、要件などは中小企業税制サポートセンター等に問い合わせてください。
中小企業経営強化税制(A類型)
中小企業経営強化税制(A類型)は生産性向上設備を導入した場合に、中小企業投資促進税制よりも高い優遇制度が受けられる制度です。
制度名称 | 中小企業経営強化税制(A類型) (適用期限:令和4年度末、令和5年3月31日まで) |
要件 | ・経営強化法の認定 ・生産性が旧モデル比年平均1%以上改善する設備 |
対象設備 | 機械及び装置 160万円以上 |
対象者 | ・中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等) ・従業員数1000人以下の個人事業主 |
措置内容 | ・資本金1億円以下の法人:即時償却か取得7%分の税額控除 ・本金3,000万円以下の法人:即時償却か取得10%分の税額控除 |
その他要件 | ・生産等設備を構成するものであること ・最低取得価額要件を満たしていること ・国内への投資であること ・中古資産 ・貸付資産ではないこと等 |
確認者 | 工業会等 |
※1 税額控除額は、その事業年度の法人税額または所得税額の20%までが上限となります。なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。
※2 特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。
※詳細、要件などは中小企業税制サポートセンター等に問い合わせてください。
中小企業経営強化税制(B類型)
中小企業経営強化税制(B類型)は収益力強化設備を導入した場合に、中小企業投資促進税制よりも高い優遇制度が受けられる制度です。
制度名称 | 中小企業経営強化税制(B類型) (適用期限:令和4年度末、令和5年3月31日まで) |
要件 | ・経営強化法の認定 ・投資収益率が年平均5%以上の投資計画にかかわる設備 |
対象設備 | 機械及び装置 160万円以上 |
対象者 | ・中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等) ・従業員数1000人以下の個人事業主 |
措置内容 | ・資本金1億円以下の法人:即時償却か取得7%分の税額控除 ・本金3,000万円以下の法人:即時償却か取得10%分の税額控除 |
その他要件 | ・生産等設備を構成するものであること ・最低取得価額要件を満たしていること ・国内への投資であること ・中古資産・貸付資産ではないこと等 |
確認者 | 経済産業局 |
※1 税額控除額は、その事業年度の法人税額または所得税額の20%までが上限となります。なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。
※2 特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。
※詳細、要件などは中小企業税制サポートセンター等に問い合わせてください。
税制優遇
即時償却
即時償却は、設備投資にかかった費用を、初年度に全額損金(経費)として、利益から差し引くことができる仕組みです。経費計上が前倒しされるので、その年度の課税対象所得が小さくなるため、法人税の負担を軽くすることができます。
税額控除
税額控除とは、課税対象所得にかかる法人税から、設備の購入金額に応じた一定の金額を直接控除できる制度です。中小企業経営強化税制の場合は、資本金1億円以下ならば購入設備の7%。資本金3,000万円以下ならば購入設備の10%控除できます。
証明書取得の流れ
税制優遇を受けるには工業会、経済産業局等からの証明書が必要です。証明書発行には時間がかかりますので、税制優遇活用を検討する場合は、早めに対応する必要があります。
まとめ
税制優遇制度を活用することで3Dプリンター導入にかかる負担を減らすことができます。条件、適用要件をよく確認し、うまく活用することをオススメします。制度には適用期限がありますので、手続きにかかる期間なども考慮して、活用する場合は早めに対応してください。