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Supernova、防衛・宇宙ビジネスユニットを立ち上げる

Supernova社のプレスリリースより。

2023年8月14日、Supernova(テキサス州オースティン)は、エネルギー材料の3Dプリンティングを先駆ける新たなビジネスユニット「Supernova Defense & Space」を発表した。同ビジネスユニットでは、固体ロケットモーター(以下、SRM)などで用いられるロケット燃料製造にも取り組む。このロケット燃料はは化学反応を通じて大量のエネルギーを急速に放出することができる粘性が高い材料を元に製造される化合物であり、従来の光造形方式では製造が難しかった。(上部画像はSupernovaのプレスリリースより。出典:Supernova社)

粘性リソグラフィー製造による新たな製造技術の進化

Supernovaの独自技術である粘性リソグラフィー製造(以下、VLM)は、透明フィルムを使用して高粘度材料をビルドプラットフォームに転写し、光で硬化させて3Dプリント部品を形成する光造形方式の加工プロセスである。従来のプロセスでは低粘度の樹脂が必要であったが、VLMは最大で100倍の粘度を持つ材料を処理できる。これにより、長いオリゴマー鎖を含む処方が可能となり、優れた機械的特性を持つ部品を作成できるという。

AM技術の大きな制約を克服

AM技術の大きな強みの一つはその自由度にあるが、軍用グレードの配合物は固体含有量が80%を超えることが多く、粘度が高いため、従来のAM技術での処理には不向きであった。そこで、SupernovaのVLMは、88%以上の固体含有量を持つ配合物を処理できることを実証し、この大きな制約を克服してAMの力を解放し、次世代の軍用グレードのコンポーネントを創り出すことに成功した点で大きな前進がある。その結果

  • 優れた固体含有量に基づく高エネルギー密度
  • 均一な粒子分散と各層の等方性、そして空気隙間のない安定した均質なコンポーネント特性
  • コンポーネント設計における幾何学的自由度
  • 開発を加速させるための迅速な試作
  • オンデマンドおよび国内生産

などの価値が実現できるという。恩恵を受けると見込まれる最初の用途には、燃焼効率を向上させ、カスタムの推力プロファイルを開発することを目指したSRMのロケット燃料、爆発力を向上させることを目指した特定用途のデザインで使用される爆発物などがある。

以下は、Supernovaによる「Supernova Defense & Space」の紹介動画。

エネルギー材料の重要性

エネルギー材料は、化学反応を通じて大量のエネルギーを急速に放出することができる化合物であり、主に推進剤や爆発物として使用される。Supernovaの技術は、これらのエネルギー材料の製造に革新をもたらすことで、航空宇宙や防衛産業におけるその活用を一層拡大させる見込みだ。

Supernovaの新たなビジネスユニット「Supernova Defense & Space」は、防衛および宇宙産業向けの製造技術の限界を拡大するための長期的な取り組みとして、軍用グレードのエネルギー材料にも取り組んでいくようだ。軍用の爆発物の材料とロケと燃料の開発に同社の技術が活用されるといえそうだ。

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