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Stratasys社がシーメンスヘルスケアと医療画像高度化を目指す

コンピューター断層撮影(CT)画像用の医療用画像ファントム

アメリカの3DプリンターメーカーStratasys社が、医療機器メーカーのシーメンスヘルスケア社との提携を、2023年12月5日に発表した。CTスキャナーの性能を評価・確認するために使用するCTファントムの進歩に向けたソリューション開発を目指す。(上部画像はコンピューター断層撮影(CT)の医療用画像ファントム/出典:Business Wire)

オーダーメイドでのCTファントムの製造へ

CTファントムとは、CTスキャナーの性能を評価・確認するために使用される特殊な装置のことだ。CTスキャンは、人体に多数の方向から放射線の一種であるX線を照射してデータを得るが、CTファントムは、人間の代わりの模型として、人体の皮膚や体内臓器が受ける放射線量を決めるために用いられる。

CTファントムを用いることで、CTスキャン時の放射線量や画質といった指標の評価に活用できる。測定値や設定が正しいかどうかを判断するための材料や、必要に応じて正しい値に設定するための指標となり、ブレのないスキャナー性能の確保に役立てられている。

今回のStratasys社とシーメンスヘルスケア社との提携では、Stratasys社独自の3Dプリント方式「PolyJet」と、放射線不透過性3Dプリント材料である「RadioMatrix」、そしてシーメンスヘルスケア社の高度なアルゴリズムを使って、スキャンした患者画像を人体構造の放射線透過性を持つ特定の材料特性に変換する技術を共同開発する。

これにより、従来は不可能だった患者固有の病態の完全なX線透視精度を反映した、極めてリアルな人体解剖学的特性のオーダーメイドのファントム製造が可能になるという。

頭頸部領域の3D造形モデル
頭頸部領域の3D造形モデル(出典:Stratasys社)

今回の共同プロジェクトは、医療分野におけるファントムの活用方法を変革し、医療機器メーカーや学術施設が従来行っていた人間の遺体活用を3Dプリンターによる造形モデルに置き換える可能性にもつながる。

今後、この研究では、頭頸部領域の小規模な解剖学的構造ファントムの3D造形から、徐々に大規模で複雑な解剖学的構造の3D造形が行われることになっている。将来的には心臓モデルや人間の胴体全体を完全なX線透視精度で3D造形するところまで到達する予定だと発表された。

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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

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