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フィルダクト社がシリーズAの1stクローズで約3億円の資金を調達

フィルダクト社のプレスリリースより。

株式会社フィルダクト(東京都港区)は、株式会社Global Hands-On VC(GHOVC)をリード投資家とする第三者割当増資を実施した。今回の調達額は約3億円に達し、シリーズA 1stラウンドの完了とともに、累計資金調達額は5億円に到達した。(上部画像はフィルダクト社のプレスリリースより。出典:フィルダクト社)

超高齢社会日本における歯科医療の重要性とデジタル技術の進展

近年、グローバルな視点でも超高齢社会の最前線を走る日本において、全身疾患の予防やQOL向上の観点から、歯科の重要性がますます高まっている。WHOも口腔の健康(オーラルヘルス)が全身の健康に与える影響の大きさを指摘しており、歯周病予防とその要因の一つである歯列不正(悪い歯並び)に対する早期介入の必要性が強調されている。日本においては歯科矯正の未受診率が人口の50%以上にのぼり、海外の先進国と比較しても高い水準にある。主な理由として、金額面でのハードルが長年にわたり存在していたことが挙げられる。

一方、歯科業界ではデジタル技術の進展、いわゆる”デジタルデンティストリー”が加速しており、CADや3Dプリンターなどを活用した矯正手法であるクリアアライナー(マウスピース矯正)が登場したことで、従来よりも低コストで提供できる環境が整いつつある。これにより、歯科矯正の敷居が下がり、市場規模は拡大しているが、その一方で、質の高い、安心して利用できる矯正サービスの提供が求められている。

さらに、テクノロジーの急速な進化により、ここ10年でオーラルヘルス市場は高品質かつ均質な医療提供を目指して大きな変化を遂げている。

AM技術による歯科矯正サービスとコスト削減の成功

フィルダクト社は、AM技術を駆使した歯科矯正サービス「DPEARL(ディパール)」と、歯科医院向けクラウド管理システム「MediLeap(メディリープ)」を中心に事業を展開している。

DPEARLは、3DプリンターやCADを用いて独自のワークフローを構築し、矯正料金を30万円から60万円に抑えることに成功している。これは中程度の症例に特化し、マウスピースの製造を自社で行っているため、従来の半額程度に価格を抑えられている点が特徴である。主に20代から40代の女性をターゲットに、全国60のクリニックと提携し、月1回の通院とオンラインモニタリングアプリを組み合わせたサービスを提供している。

一方、MediLeapは歯科医院のDX化を支援するクラウドシステムであり、患者カルテや治療設計のシミュレーション、オンライン診療のモニタリング機能などを無料で提供している。

フィルダクト社の設立と成長、サブスクリプション型の新サービス提供

フィルダクト社は2018年3月に設立され、翌年11月にはDPEARLの提供を開始。2023年4月には東京医科歯科大学から「東京医科歯科大学発ベンチャー」に認定され、同年6月には歯ぎしり対策用のマウスガード「DPEARL GISHIRI」の提供を開始した。このサービスはサブスクリプション形式で、利用者は毎月、歯科医師の診断を受け、マウスガードを注文する仕組みとなっている。

「DPEARL GISHIRI」については以前シェアラボで取り上げている以下の記事を併せてご覧いただきたい。

提供医院数の急増とデジタル化によるさらなるサービス強化

2023年度には提供医院数が前年度比8倍に増加し、急成長を遂げている。今回の資金調達により、フィルダクト社はさらにサービスの強化を図り、歯科医療のデジタル化と効率化を進めることで、より多くの人々に高品質な歯科矯正サービスを提供することを目指している。

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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

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