株式会社YOKOITO(京都府京都市、以下、YOKOITO)は、産業用SLA(光造形)3DプリンターメーカーであるUnionTechの超大型機「RsPro 1800」と、中型機「LITE 600 2.0」を新たに導入した。
今回の設備導入により、最長2,000mmクラスの大型部品を分割せずに一体造形できる体制を構築した。自動車や産業機械分野を中心に高まる「大型・高精度」ニーズへの対応を見据え、現在は両機を活用した受託開発および造形サービスの本格展開に向けた検証を進めている。
目次
大型部品造形の課題解決を目指し導入
YOKOITOは、3Dプリンター販売や導入支援に加え、AM技術の研究・普及を目的とした専門部門「YAM(Yokoito Additive Manufacturing)」を2021年に立ち上げている。
同社はこれまで、日本の製造業が抱える課題に対し、AM技術を活用した“伴走型支援”を重視してきた。その中で、特に多くの現場で障壁となっていたのが大型部品の造形である。
従来、大型パーツを3Dプリントする場合には、複数パーツへ分割した上で接着する必要があり、精度低下や強度不足といった課題が発生していた。今回導入した「RsPro 1800」は、2m級の大型一体造形を可能にすることで、こうした問題の解消を狙う。
同社は今回の設備増強について、単なる機材追加ではなく、「サイズ制約を取り払うことで、すべてのアイデアを形にできる社会の実現を一歩進めるもの」と位置付けている。
最大2,000mm級の透明一体造形に対応
導入された超大型SLA 3Dプリンター「RsPro 1800」は、最大1,800×900×600mmの造形エリアを備え、対角線方向を活用することで2,000mm超の大型造形にも対応する。

使用材料にはクリア樹脂「UTR-8100」を採用。大型の自動車ランプユニットや、内部流体を可視化する透明モデルなど、従来は分割が難しかった大型透明パーツを一体成形できる点が特徴である。

一方、「LITE 600 2.0」は、最大600×600×400mmの造形サイズを持つ中型SLA機である。プリント時の液面をミクロン単位で制御することで、積層ズレなどの造形不良を抑制し、高速かつ高精細な造形を可能にする。

材料にはABSライク樹脂「TUF-86」を使用しており、靭性と強度を求められる筐体部品や製造治具など、機能検証用途への対応を想定している。

今後は大型受託造形サービスを展開へ
YOKOITOでは現在、導入した設備の性能検証を進めており、その結果を踏まえて、YAMブランドでの大型受託開発や大型3Dプリントサービスを展開する計画である。
正式サービス開始前ではあるものの、大型造形に関する先行相談や、実機による精度・材料特性確認を希望する企業との技術協力、共同検証についても受け付けているという。
大型造形だけでなく、各種受託開発や3Dプリント案件についても随時相談を受け付けている。
編集部コメント
大型3Dプリント市場では、単純な造形サイズ競争ではなく、「大型を高精度で、しかも一体造形できるか」が重要な差別化要素になりつつある。特に透明部材を大型一体成形できる環境は国内でも限られており、自動車の灯体開発や流体可視化、展示用途などで需要が広がる可能性がある。
また、YOKOITOが単なる機器販売ではなく、“伴走型”のAM活用支援を掲げている点も特徴的である。大型AM設備をどう製造現場へ落とし込むかという実践的ノウハウの蓄積が、今後のサービス競争力につながりそうだ。
用語解説
| ■ SLA(光造形) 紫外線レーザーなどを用いて液体樹脂を硬化させながら立体物を造形する3Dプリント方式。高精細で滑らかな表面品質を得やすく、試作や透明モデル製作などで広く活用されている。 |
| ■ AM(Additive Manufacturing) 材料を積み重ねながら立体物を製造する加工技術の総称。一般的には3Dプリンティング技術を指し、試作だけでなく最終製品製造にも活用が広がっている。 |
| ■ ABSライク樹脂 ABS樹脂に近い強度や靭性を持つよう設計された光造形用材料。試作部品や機能検証用途など、実用性を重視する場面で利用される。 |
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