スポーツ用品メーカーのadidasが、完全3Dプリント製のサッカースパイクを公開した。3Dプリント技術を活用したスポーツシューズ開発はこれまでも各社で進められてきたが、“サッカースパイク全体を3Dプリントで構成する”という試みは珍しい。
今回公開されたモデルは、adidasが今年3月に発表した積層造形プラットフォーム「R.A.P.(Radical Athlete Perception)」プロジェクトから生まれた第2弾製品である。第1弾では、大学バスケットボール選手の Darryn Peterson が実戦投入した3Dプリント製バスケットボールシューズが披露されていた。
目次
トップ選手のデータを活用して開発
今回のスパイク開発には、Khvicha KvaratskheliaとAdemola Lookmanが参加した。adidasの開発チームは、両選手のプレーデータやフィードバックをもとに設計を進め、選手ごとの足形やプレースタイルに合わせたカスタマイズを目指している。
3Dプリント技術を活用することで、従来の量産型スパイクでは難しかった細かなフィット調整やサポート設計が可能になるという。特に、足圧分布や走行時の動きに合わせた構造最適化は、積層造形と相性の良い分野として注目されている。

まだコンセプト段階、市販時期は未定
一方で、今回公開されたスパイクは現時点ではコンセプトモデルであり、発売時期や価格、市販化の有無については明かされていない。adidasは「今後数か月以内に追加情報を公開する」としているが、量産展開や一般販売については不透明な状況である。
また、同社はアメリカンフットボール向けモデルの開発も進めているとしており、「R.A.P.」プロジェクトを長期的に展開していく姿勢を示している。
スポーツ用品分野で広がる3Dプリント活用
近年、スポーツ用品分野では3Dプリント技術の導入が加速している。特にミッドソールやインソールなど、選手ごとの身体特性に合わせたカスタマイズが求められる領域では、積層造形のメリットが大きい。今回のadidasの取り組みは、単なる試作品開発にとどまらず、“完全カスタム型スポーツ用品”への流れをさらに加速させる可能性がある。
今後は、競技ごとの専用設計だけでなく、一般ユーザー向けパーソナライズ製品への展開も注目されそうだ。
シェアラボ編集部コメント
スポーツ用品業界では、これまで「ミッドソールだけ3Dプリント」という事例は多かったが、今回のようにスパイク全体へ積層造形を適用する動きは非常に興味深い。特にサッカーは、足との一体感や重量バランス、瞬間的な動きへの対応が求められる競技であるため、選手個別最適化との相性が良い分野と言える。
一方で、耐久性や量産コスト、競技規則への適合など課題も多い。現段階ではコンセプトモデルではあるものの、今後のスポーツ用品開発において重要な実証事例になりそうだ。
用語解説
| ■ 積層造形(Additive Manufacturing) 材料を一層ずつ積み重ねて立体物を製造する加工技術。一般的には「3Dプリント」と呼ばれる。金型不要で複雑形状を製造できるほか、個別カスタマイズとの相性が良い。 |
| ■ R.A.P.(Radical Athlete Perception) adidasが展開するスポーツ向け3Dプリント開発プロジェクト。選手のパフォーマンスデータや身体特性を活用し、競技ごとに最適化したシューズ開発を目指している。 |
| ■ カスタムフィット 使用者個人の足形や身体特性に合わせて製品を最適化する設計手法。スポーツ用品分野では、パフォーマンス向上や疲労軽減を目的として導入が進んでいる。 |
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