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【3D プリンター導入③】発注から設置までの流れを知る

導入業者やメーカーに対して聞くべきこと、伝えるべきこと、契約時の注意点について解説した第2回に続き、第3回となる今回は当メーカーや代理店に装置を発注し、いよいよ導入する段階の流れをご紹介します。実際に設置して稼働させるまでに、事前に取り組んでおかねばならない付帯設備の工事や諸手続きが必要になります。運用開始までの流れを追っていきましょう。

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導入前のポイント

  • 導入に必要な工事、諸手続きは事前に確認して計画的に処理していく
  • 工事の際に混乱しないように、内部調整時に確認をしておく
  • テスト運用の期間は十分にとる
  • 導入スケジュールは工事、テスト運用の期間なども含めて余裕をもってつくる

運用開始までの流れと項目

設置場所・設置環境の整備

まずは設置場所を決めましょう。選択する造形方式によっては、かなり大規模な工事が発生します。材料押出方式の3Dプリンターでは、通常付帯設備が不要なので、装置を水平に置ける場所さえあれば特に問題はありません。小型のものであれば、発注から1週間足らずで届き、自ら組み立てて設置することも可能です。(装置の)発する熱で周囲がかなり暑くなる場合があるので、その場合は空調方法を整えましょう。

液槽光重合(VPP/Vat Photopolymerization)、結合剤噴射(BJT/Binder Jetting)、粉末床溶融結合法(PBF/power bed fusion)などの場合にはさまざまな付帯設備が必要となるため、設置場所の広さや環境面のほか、設置のための工事も必要になってきます。材料保管庫やリサイクル装置といった機種本体以外の別の装置を設置する必要があるため、その分の広さも考慮に入れておきましょう。レーザーや粉末を使用することから強い臭気を発する場合もあるので、他とは別の遮蔽できる部屋であるとベストです。

大型の装置の場合は、設置する場所の床の強度についても考慮が必要になります。装置を固定するためにアンカーボルトを打つ場合もあるので、打ち込める床かどうかの確認しておく必要も出てきます。

空調設備の工事

温度を一定に保つための空調設備の工事です。熱・窒素ガスや臭気を排気するためのダクトを設けなければ、樹脂液や粉末を材料とする造形方式の装置の使用が難しくなります。特に粉末床溶融結合法では、空調設備や排気ダクトの工事とともに、粉塵爆発を防止するための窒素ガスを充填する装置や、温度を管理するためのチラー装置(冷却水循環装置)、防爆対策された吸引器などを配置せねばならず、接続するとなると時間がかかってしまいます。また、液槽光重合方式では、造形後に造形物の洗浄が必要なため、水設備の工事が必要にも。電気の容量変更や安全対策工事も必須です。

防災申請

粉末を扱う場合には、防火責任者を決めて、事前に所轄の消防署へ申請をして検査を受けなければなりません。さらに作業者の安全確保のため、労働基準監督署に対して労働環境に関する手続きをする必要があります。

製造物の洗浄後の液を排水する場合には、何が含まれているかを確認して保健所へ届け出を提出します。そのための付帯設備の工事や諸手続きが終わらなければ装置の搬入ができず、また搬入できたとしても稼働させることができないことも。どのような工事や手続きが必要であって、それにどのぐらいの時間がかかるのかを早期の段階で導入業者に確認しておきましょう。

動作確認とトレーニング

実際に装置が設置されたあとは、装置の動作確認と操作のトレーニングを行います。まずテストモデルを使い、所定の造形レベルを満たしているかの確認です。実際に造形を行おうとしているモデルがあるならば、それが希望するレベルで造形できるかベンチマークテストが繰り返されます。問題がなければ検収となり、正式運用に向けてのテスト運用が開始されます。

設置から検収までにかかる期間はおおよそ1~2ヶ月。そこからのテスト運用も同様に1~2ヶ月を要するので、それらを踏まえた導入スケジュールを構築せねばなりません。導入決定から正式運用までは1年から1年半ほどと見て、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

まとめ

3Dプリンターの導入に際して、設置だけ見ても造形方式によってさまざまな工事や手続きが発生します。そして設置以外にも諸手続き等があり、失念しており慌ててあとから手続きしようとすることが少なくありません。大体は代理店やメーカーがあらかじめ案内してくれますが、その手続きひとつ取ってみても、例えば年に数回しか受け付けていないものなどはタイミングが合わないとステイの期間が発生してしまうことも。手続きの不備で先延ばしになることも珍しくありません。代理店などの業者と相談のうえ、全体スケジュールは把握するようにいたしましょう。

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