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二光子重合法を用いた高精細3Dバイオプリンティングが登場

BicoグループのCellink社とNanoscribe社は、新たに高精細な3DバイオプリンターQuantum X bioを発表した。

3Dバイオプリンティングの発展

生物工学分野において、3Dプリンターは新たな可能性を開く鍵として、重要な位置を占める。

幹細胞の培養においては、細胞の配置によって出来上がる組織の形状・質・機能が大きく変わることが分かっているが、3Dプリンターは詳細な細胞配置制御を可能にする、ほぼ唯一の方法だ。

本サイトでも、過去に 3Dバイオプリンターをいくつも取り上げた。

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今や様々な企業が、3Dバイオプリンター業界への参入を画策している。

Quantum X bioとは

スウェーデンに本部を置くBicoグループは、3Dバイオプリンター業界において大きな存在感を示す企業群だ。

バイオプリンティング事業を主とするCellinkが多くのバイオテクノロジー企業を買収して巨大化した経緯を持つ同社は、アストラゼネカやタカラバイオと継続的に協力しており、そのバイオプリンターは、ハーバード大学、メルク、トヨタ、ジョンソン&ジョンソンでも研究に使用されている。

2021年5月、同社は微細加工を得意とするドイツの Nanoscribe を買収し、Nanoscribe と共同で、新たな高精細 3Dバイオプリンター Quantum X bio を開発した。

正確な温度制御、無菌環境下での運用が可能で、様々な生体材料を利用でき、バイオプリンティングの研究者たちに好ましいツールが揃っている。しかし、最大の特徴はその解像度にある。

Quantum X bioは100nm までの印刷解像度を有し、精密にパターニングされた細胞培地や、ドラッグデリバリー用のマイクロロボット製造が可能になる。

この解像度を実現したのは、二光子重合(2PP:Two-Photon Polymerization)による 3次元リソグラフィー技術だ。

図 Quantum X bio(出典:Cellink)

二光子重合法

二光子重合法は、2次元のフォトリソグラフィー技術を 3次元に拡張したものと言える。

フォトリソグラフィーとは、光によって化学変化する物質(レジスト)を基板に塗布しておき、局所的に光を照射することでパターン(模様)を形成する技術だ。光が当たった部分では、レジストの性質が変化し、現像液によって溶解しなくなる。光を当てる部分と当てない部分を作ることで、非常に高精細なレジストのパターン形成が可能となり、半導体チップの製造に広く用いられている。

しかし、通常のフォトリソグラフィーは深さ方向に、光の照射/非照射を制御することはできないし、光の回折限界から µm 以下の精度は一般に難しい。

二光子重合法は波長の異なる 2つのレーザー光を同一箇所に照射することで、非線形光学効果を誘起し、上記のような問題を解決する。深さ方向にも光の照射/非照射を制御できるようになり、3次元の高精細フォトリソグラフィーが可能となる。

二光子重合には、Nanoscribeの培ってきた技術が大きく寄与しているようだ。

NanoscribeのCEOであるMartin Hermatschweiler氏は、「二光子重合技術を用いたQuantum X bioは、困難な生物学的および生物医学的分野のゲームチェンジャーになるだろう。ライフサイエンスにおける市場をリードする3Dマイクロファブリケーションの地位を拡大することを楽しみにしている。」と語っている。

図 Quantum X bio で作られる血管モデルのイメージ図(出典:Cellink)

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