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大阪大学・島津製作所・シグマクシスが培養肉分野で協業を決定

大阪大学工学研究科、島津製作所、シグマクシスの3者は、「3Dプリントを応用したテーラーメイド培養肉の自動生産装置の開発」に関する共同研究契約を締結した。各者の長所を生かし、先行する他業者を追随する。

培養肉分野における3者協業の経緯

世界人口が急激に膨張し、食料に関する持続可能性が指摘される昨今、バイオテクノロジーを応用した培養肉生産技術が大きな注目を集めている。

培養肉には様々なメリットがある。そのうちの一つは地球環境への負荷を抑制できることだ。

一般的な食肉生産は、広大な農地や、多量の水と飼料を必要とする。これは家畜が生物であり、代謝を行っている以上避けられない。

一方で、培養肉であれば、細胞を培養し、その細胞が死滅する前に食肉として成型するため、無駄が少なくて済む。加えて、生産に必要な期間も大幅に短縮することが可能だ。動物愛護の観点から、家畜が忌避されることも後押しとなっている。

培養肉とは、試験管内で培養した細胞を集めて成型したものだが、大きく2種類に分けられる。「培養ミンチ肉」と「培養ステーキ肉」だ。

一般に筋繊維のみからなる培養ミンチ肉に対し、培養ステーキ肉は筋繊維・脂肪・血管細胞が規則的に配置され、実際の食肉に近い食感を有する。

培養ステーキ肉の生産は、異なる種類の組織を的確に配置する必要がある分、培養ミンチ肉の生産より難しい。

2022年3月、この挑戦的な分野において、大阪大学・島津製作所・シグマクシスが協業を決定し、「3Dプリントを応用したテーラーメイド培養肉の自動生産装置の開発」に関する共同研究契約を締結したことを報じた。

大阪大学の培養肉生産技術の実績

大阪大学 松崎教授らの培養肉成形技術の説明図
大阪大学 松崎教授らの培養肉成形技術(出典:島津製作所)

培養肉生産の基礎となる知見を有するのは、大阪大学大学院工学研究科、松崎教授らの研究グループだ。当該技術の特徴は、3Dプリントを活用して「金太郎飴のような」構造を有する細長い組織を形成することにある。

詳しくは以下の記事を参照いただきたい。

和牛ステーキを3Dプリンターで完全再現!SDGsに貢献する培養肉の進化

国内の培養ステーキ肉生産では、日清食品・東京大学のグループが一歩先を行く。しかし、日清食品は繊維状の組織を束ねるのではなく、2次元シート状の組織を「積み重ねる」方式を採用している。培養肉の生産工程におけるこうした違いが、食感や味、生産性にどのように影響してくるのかはまだまだ分からない。今後の研究開発の進捗と報告が待たれる。

研究室からステーキ肉をつくる。 | 日清食品グループ

協業の狙いは?

島津製作所の、培養肉生産体制の図解
培養肉生産体制(出典:島津製作所)

培養ステーキ肉は実際の食肉に近い食感や味、風味を目指す。そのためには培養肉の組成や構造、強度についての分析とフィードバックが必要だ。実際に食べた感触だけでなく、上記のような物性を数値化しなければならない。この分野では島津製作所が大きな力を発揮する。

成分分析や高倍率の顕微鏡観察技術、非破壊内部検査、ダイナミックな強度分析など、各種計測技術について、島津製作所は過去に膨大な蓄積を有している。

加えて近年では、創薬や再生医療分野も視野に入れた3Dバイオプリント技術と培養自動化技術にも力を入れてきた。

島津製作所の分析・計測技術は、大阪大学の研究グループが有する基礎技術を大きく飛躍させる助けとなるだろう。

一方、シグマクシスは、培養肉生産事業の社会実装をサポートする。フードテック関連各社との幅広い繋がり、コンサルティングにより培った経験を生かして、多くの企業をまとめ、プロジェクトを推進していくことだろう。

3Dプリント技術が食品やバイオ分野にも広がり、益々多くの社会課題を解決していくことに期待が集まる。

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