いよいよ販売開始!デスクトップメタルのShopシステム―丸紅情報システムズ
丸紅情報システムズ株式会社が、金属3Dプリンターを専門に開発する米国Desktop Metalの金属3Dプリンター「Shopシステム」の国内における取り扱いを開始した。出荷は2021年3月ごろからの開始を見込んでいる。(画像はDesktopMetalウェブサイトより引用)
高い製造能力に期待が集まるバインダージェット方式
デスクトップメタルの金属3Dプリンター「Shop」システムは、バインダージェット方式を採用している。バインダージェット方式とは、金属粉末を均一に敷き詰め、バインダー(金属粉をつなぎ合わせる結合剤)をインクジェット印刷するように塗布する工程を繰り返して、造形する方式。造形後に、バインダーを除去するために、脱脂と焼結という2つのプロセスを経て完成させる。造形速度が速く、Shopシステムの場合、バインダーを塗布する際の印刷解像度は1600dpiと精度が高い上に、一日あたり最大約70kgの造形を実現するという。
小さな実用部品をコスト効率よく生産できる事で、治具・工具をはじめMRO部品の少量から中量生産を実現できる。自動車やコンシューマ製品、電子機器、インフラなどの幅広い業界での活用が期待できる。
造形→脱脂→焼結の三段階を5つの装置で
従来、バインダージェット金属3Dプリンターは造形後の後処理を含めた設備一式を、さまざまな試験を実施して揃える必要があったが、Shopシステムは3Dプリンターから焼結炉(ファーネス)までの5つの機材を専用ソフトウェアで一括制御する。ただ単純に設備をそろえる必要があるだけではなく、品質を維持するために統合的に管理できることは大きな意味がある。
バインダージェット方式では、造形時にバインダーを利用する為、造形物から脱脂、焼結という工程を経てバインダーを除去する必要がある。この過程で20%程度の収縮が発生する。収縮時にはゆがみやひずみが発生する為、この収縮を見越したデータづくりが必要になる。
デスクトップメタルでは、こうした収縮を事前に見越して、造形時の形状を調整するソフトウェアの開発を進めており、一貫したシステム構成による狙った造形の実現をサポ―トしている。脱脂・焼結時のデータ修正や焼結炉の運用にノウハウがない企業でも、スムーズに金属造形を行い、量産試作や中量生産といったある程度まとまった量での造形が実現させるために専用ソフトウェアが用意されている。
3Dプリンターは造形エリアの高さにより50mm、100mm、150mm、200mmの4機種より選択できる。
Shopシステムの出荷開始は2021年3月頃を予定しているとのことだが、丸紅情報システムズはShopシステムの実機を導入・設置した上で試作やデモに協力する戦略的パートナーを募集しているとのこと。金属3Dプリンターを導入してサービスビューロとして受託造形を行うことを考えている企業にとってはよいチャンスになるかもしれない。
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。