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日本電産マシンツールのパウダDED方式金属3Dプリンター「LAMDA」シリーズが中型機「LAMDA500」を追加、ラインナップ拡充

LAMDA500

日本電産マシンツールは、金属3Dプリンター「LAMDA」シリーズに中型機「LAMDA500」を追加し、2022年9月1日より販売開始した。LAMDAシリーズはパウダDED方式の金属3Dプリンターで、ガスによるシールド、レーザー出力のフィードバック制御、5軸制御を特徴とする。(写真は LAMDA500。出典:日本電産マシンツール)

日本電産マシンツールの3Dプリンターに新しいラインアップ

2021年8月2日に「三菱重工工作機械」から社名変更し、「日本電産マシンツール」となった同社は、その名の通り、豊富な加工ツールを提供し、あらゆる場面で金属加工をサポートする。主力は金属切削加工機だが、ここで培われたレーザー技術を生かし、3Dプリンター事業の展開も始めた。

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日本電産マシンツールのLAMDAシリーズは、これまで、小型「LAMDA200」と、大型「LAMDA2000」を展開していたが、2022年9月1日からは、ここに中型「LAMDA500」を追加し、ラインナップ拡充を図る。

ここでは、LAMDAシリーズの特徴を改めて紹介したい。

パウダDED方式による肉盛り・修理の期待知

LAMDAシリーズは、パウダDED方式を採用した金属3Dプリンターだ。

指向性エネルギー堆積(DED:Direct Energy Deposition)方式は、連続的に材料を追加しつつレーザーや電子ビームを照射し、材料を堆積させる方式だ。中でもLAMDAシリーズのパウダDED方式は、粉末材料を吹き付け、レーザーで加熱する方式で、フィラメントを使う場合より高い造形精度を実現できる。

金属3Dプリンティングでは、金属粉末を平らに敷き詰め、レーザーで熱溶解させるパウダーベッド方式が一般的だ。こちらは安価で、ある程度の造形精度を担保できるが、パウダーベッド方式では実現の難しい構造が幾つか存在する。

例えば、中空構造だ。パウダーベッド方式で中空構造を作ろうとすれば、内部に硬化していない金属粒子が詰まった構造となってしまう。

また、既存部品の補修や部分的な追加ができることはDED方式の大きな特徴だ。連続的な構造の中で、途中から使用する材料を変化させるといった特殊な加工も、DED方式ならば可能となる。

LAMDAシリーズの特徴

DED方式で課題となるのは、照射されるエネルギーの強度を一定に保ち、安定した積層造形を実現することだ。レーザーや電子ビームを照射すると、熱により周辺環境が変化するので造形エリア内の温度管理が必要になるし、噴出させる際に飛散したパウダーの影響を受けて造形に影響がでる場合もある。

そこで、LAMDAシリーズでは、「ローカルシールドノズル」と「モニタリングフィードバックシステム」を導入した。

LAMDAのノズルは、パウダとレーザーを連続的に射出するだけでなく、その周りを覆うように不活性ガスを放出している。造形箇所に焦点を当てた希ガス管理を実現したことで、周辺大気の混入を防ぎ、ノイズを抑制できる。造形庫内全体を真空化する必要もないため、真空チャンバーなどの環境制御装置は不要だ。

また、レーザー照射面の温度をモニタリングし、測定結果を解析して、絶えずレーザー強度の微調整を行う。同時に、異常が発生した場合には動作を停止し、部品交換などを使用者に促すことが可能だ。メカニカルな機構だけではなくソフトウェアによる制御により、一定の加工精度を担保できる条件を維持できるようになっている。

LAMDAのもう一つの特徴は、5軸制御による自由な造形だ。5軸とは、縦・横・高さの3軸に、回転の2軸を加えた自由度の数を指すことばで、LAMDAは、切削加工機同様に、対象を回転させることで、より自由な造形が可能だ。

高い造形精度や、造形自由度、さらに材料選択の幅の広さは、今後航空宇宙分野などで必要となるハイエンド部品の生産に大きく役立てられることになるだろう。

LAMDAについて、詳細は以下動画を参照頂きたい。

パウダDED方式3次元金属積層造形機LAMDA(出典:日本電産マシンツール)

DED 方式の金属3Dプリンターの中には、造形途中に材料の切り替えに対応することで、マルチマテリアル部品の造形に対応できる機種もある。LAMDAはその一つで、徐々に金属材料の組成を変化させながら造形する傾斜機能材料の開発などの高機能部品での使用が可能になっているため、3Dプリンターならではのモノづくりを体現できる。

M&Aで取り込んだ三菱重工工作機械の技術蓄積を傘下の工作機械メーカー、ニデックOKKとのコラボレーションで製品化したということだが、日本電産は日産や中国向けEVのコア部品提供などを通じて成長を続けている。需要のあるアプリケーションに向けた装置開発が今後もすすめば、大きな成長が期待できるかもしれない。

日本電産マシンツールは三菱重工工作機械時代から培った技術蓄積をもとに、国産金属3Dプリンターを発売。
TRAFAMでのプロジェクトから生まれた国際競争力の3Dプリンターは今後どのように日本の製造業を変えていくのか。いままでの足跡を過去の記事でもふれているので、ご参照いただきたい。
https://news.sharelab.jp/?s=%E4%B8%89%E8%8F%B1%E9%87%8D%E5%B7%A5%E5%B7%A5%E4%BD%9C%E6%A9%9F%E6%A2%B0

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