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独SLM SOLUTIONSがZ軸の造形範囲が1.5mの金属3Dプリンター「NXG XII 600E」の市場投入と初受注を発表

金属3Dプリンター「NXG-XII-600E」 出展:SLM-SOLUTIONS社

ニコン傘下のドイツに本社を置く金属3DプリンターメーカーSLM SOLUTIONS(以下、SLM SOLUTIONS社)が、自社製金属3Dプリンター「NXG XII 600」のアップグレード版となる「NXG XII 600E」の市場投入を決めた。米国空軍研究所(AFRL)のプロジェクトの主契約者であるConcurrent Technologies Corporation(以下、CTC社)から初受注したことも同時に発表された。

AFRLは、3Dプリント技術を国防総省の先進的なアプリケーションに活用するために、このプロジェクトに資金提供をしている。画像は(金属3Dプリンター「NXG-XII-600E」 出典:SLM SOLUTIONS社)

NXG XII 600E はZ軸(高さ)の造形範囲が1.5mまで拡張

今回市場投入が発表された「NXG XII 600E」は、SLM SOLUTIONS社の既存の金属3Dプリンター「NXG XII 600」のアップグレード版にあたる。最大の特徴は、従来のNXG XII 600が600×600×600mmの造形ボリュームだったのに対し、NXG XII 600Eは造形可能な高さにあたるZ軸が1.5mまでに拡張された点だ。

この改良により、これまで以上に大きなサイズのモデル作製が可能になる。

基本的な機能はベースモデルとなったNXG XII 600を踏襲しているようだ。PBF方式の金属3Dプリンターの造形速度を向上させるには、レーザー一基あたりの出力を上げるか、照射できるレーザーの基数を増やすことが考えられる。

NXG XII 600は12基の1kWのレーザーを搭載することで、レーザー1基の同社従来機の20倍の高速造形で、レーザー4基の従来機の5倍の高速造形を可能にし、最大の生産性が1000cc/hと、パウダーベッド方式の金属3Dプリンターとしては突出している能力を持っていた。SLM SOLUTIONS社はこの造形スピードについて、これまで数週間から数ヶ月かかっていたモデル作製が、数時間から数日で完了できるようになったと述べている

レーザーを同時に照射して品質を維持しつつ造形速度を上げるには、レーザーの照射戦略と呼ばれる制御技術への総合的な知見や、造形庫内の温度管理なども求められるが、NXG XII 600は1kWのレーザーを12基まで増設したことで SLM SOLUTIONS の持つ技術水準の高さを示し、競合3Dプリンターメーカーが多くのレーザーを搭載した独自の巨大マシンを発表したきっかけにもなった。

ベースモデルのNXG XII 600についての詳しい性能は、過去にShareLabNEWSでも取り上げている。

今回の最新型NXG XII 600Eの登場は、競合他社と再び差をつける一手となるかもしれない。

NXG XII 600はシステムアップグレードが可能に

前モデル「NXG-XII-600」 出展:SLM-SOLUTIONS社
前モデル「NXG-XII-600」 出展:SLM-SOLUTIONS社

既にNXG XII 600をすでに導入しているユーザーやこれから導入をするユーザーに対しては、NXG XII 600本体が拡張可能な構造であることを活かし、システムのアップグレードを行えるオプションが用意されるという。具体的な費用や換装にかかる期間、アップグレードの詳しい内容などは不明だが、導入ユーザーに配慮した取り組みがなされる点は現在の導入ユーザーにとっても未来のユーザーにとっても朗報だろう。

今プロジェクトへのCTC社とSLM SOLUTIONS社のコメント

NXG XII 600Eの最初のユーザーとなるCTC社の、社長兼CEOであるEdward J. Sheehan, Jr.氏は、「SLM SOLUTIONS社との長期的なパートナーシップを継続できることを嬉しく思います。同社は明らかに積層造形装置分野のリーダーです。我々は、AFRL(米国空軍研究所)の重要な任務要件をサポートするこのエキサイティングな機会において、協力し合い、防衛用途の積層造形の可能性を広げることを楽しみにしています。」と述べた。

SLM SOLUTIONS社のCEOであるSam O’Leary氏は「このパートナーシップは、SLM SOLUTIONS社の理念を証明するもので、彼らとの密接な協力関係があってこそ、イノベーションの限界を押し広げることができるのです。当社のシステムの精度と信頼性、そして当社のサポートと相まって、ユーザーは機敏に開発を行うことができ、ほとんど当社がこのシステムを設計して部品を製造しているときのマッハスピードのようになります。我々は、技術移行の成功の確保に優れた実績を持ち、高く評価されている第一級の研究開発組織であるCTC社とチームを組むことができたことを特に嬉しく思っています。」と述べた。

優れた造形スピードを持ち、さらなる造形ボリュームを可能にしたSLM SOLUTIONS社の新型金属3Dプリンター「NXG XII 600E」は、3Dプリンター業界にまたひとつ大きな波を引き起こすかもしれない。今後の動きにも注目していきたい。

ShareLabNEWSでは、これまでSLM SOLUTIONS社の活動について多くの記事を発表してきた。以下のリンクにまとめてあるので、そちらも併せてご覧いただきたい。

https://news.sharelab.jp/?s=SLM

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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