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ストラタシスが材料オプション拡大を進める

イスラエルに本社を置く3Dプリンター企業ストラタシスは、自社のFDM方式の3Dプリンターへの新規材料の認定や、サードパーティー材料の検証を進め、利用できる材料の選択肢を拡大している。公認材料は3Dモデルデータを受け取り3Dプリンターで造形させるスライサーGrab CAD Printで対応材料を選択できる。個別にパラメーターを開発し設定しなくても手軽に造形が可能になるだろう。

こうした材料選択幅の拡大は、材料のコストダウンや規制業界に対応した材料の導入など、これまで対応できなかった顧客の需要にスピーディーに応えることに繋がり、ストラタシスユーザーの囲い込みや顧客層拡大につながるはずだ。

ストラタシスが新たに13種類の材料を認定

ストラタシスは、樹脂3Dプリンター大手で、装置開発以外にも樹脂材料、周辺機器、ソフトウェアまで広く取り扱っているが、材料分野にも余念がない。ストラタシスが強みを持つ産業用FDM方式の3Dプリンターで用いられる材料フィラメントに関して材料供給会社のCovestro社、Kimya社、Victrex plc社と提携。自社3Dプリンターで利用できる互換性材料の拡充を推進しているが、ラインナップに追加された材料は特定業界のニーズに特化したものが目立つ。

VICTREX社 AM™ 200石油・ガスや航空宇宙などの要求水準の高い産業における最終用途の部品製造用に特別に配合された、強度の高い半結晶PEEKフィラメント。
Covestro社 Addigy® PA6/66-GF20 FR LS難燃性ガラス繊維複合材料で、鉄道分野の規格「EN45545」要件に適合。材料の強度と剛性はNylon12CFに類似。
Kimya社 PC-FR 難燃性ポリカーボネート材料で、鉄道アプリケーションのEN45545要件を満たしており、特に少量生産と交換部品を含む最終使用部品のために設計された。
FDM HIPS低要件のアプリケーションに適した、手頃な価格の高衝撃性ポリスチレンベースの材料。

また、いくつかの既存材料にはカラーが追加される。

【ULTEM™ 9085】レッド、ドリームグレー、ホワイト、ジャナホワイト、ガンシップグレー、エアクラフトグレーウルテム材に複数のカラーを提供することで、航空機や鉄道車両の内装など美観が重要な最終用途の部品用途がさらに広がる。
【PC】レッド、ブラック耐熱性、耐久性に優れたポリカーボネートのフィラメントで、機能性試作やツーリングの用途に対応する。
【PCS-ABS】レッド ポリカーボネートとABSポリマーのブレンドにより、耐熱性と曲げ強度を両立し、さまざまな試作や最終製品の部品用途に対応する。

これらFDM方式の3Dプリンター用のフィラメント材料は現在注文可能で、2023年初頭までに出荷され、ストラタシスの3Dプリンタで利用できるようになる。

ストラタシスは、GrabCAD Printというソフトウェアで3Dモデルデータを3Dプリンターに読み込ませるが、ストラタシスの正規材料以外にも、サードパーティー各社の提供する認定材料を、造形指示の際に選択できるようになることで、利用者側の負担は大きく低減する。スライサーで材料を選ぶのは、対応した溶融温度や造形速度を最適化するためでもある。独自にパラメーターを開発しなくても、装置メーカーと材料メーカー側で検証済みのパラメーターセットがあれば、造形指示の段階で選択肢から選ぶだけで手間がかからない。また製品の故障や不具合時に正式サポートから外れて対応してもらえないという事態も起こらないだろう。

サードパーティーとの連携が市場を成長させる

難燃性の高性能熱可塑性材料ULTEM™ 9085を用いた部品(出典:BUSINESS WIRE)

3Dプリンターはオフィスの複合機と同じで利用すれば利用するほど装置メーカーが儲かる自動販売機でもある。だからこそ初期の段階では装置メーカーはサードパーティー製の材料との互換性を排除し、自社材料の利用を推奨してきた。もちろん動作保証が取れない点も理由としてはあっただろが、利益を独占することも大きな要因だったと思われる。形状確認用の試作品だけであれば、問題ないかもしれないが、機能確認やワンオフ部品の製造など用途が広がると、既存の部品や顧客企業が普段使っている材料に近い材料が求めれることになる。

市場が順調に広がっていくためには、材料の多様化が重要な要因になるわけだ。材料各社は研究用に3Dプリンターを導入し、対応材料の開発に取り組んでいるが、材料の銘柄は膨大な数に上るため、今後もこの取り組みは拡大していくだろう。互換性材料は正規材料よりも材料価格が数分の1になる場合もある。装置メーカーにとっては利益が減るわけだが、より沢山の造形物を作っていくことで、より利用者層が増え、装置の出荷につながっていくことを考えれば悪い話ではないと前向きにとらえていってほしいものだ。

ストラタシスに関する過去の記事

なお、ストラタシスについて扱った過去の記事については以下のリンクを参照して頂きたい。

>>「ストラタシス」に関する過去の記事

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