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【業界別動向】航空宇宙業界3Dプリンター市場は年平均成長率26.6%の見通し

MARKETYSERS GLOBAL CONSULTING LLPのグループ会社であるEmergen Researchは、世界の航空宇宙業界における3Dプリンターの市場規模が2028年に約120億ドルに達し、予測期間中に26.6%の年平均成長率となることを調査報告書内で発表した。

今回レポートの中で予測されるシェア率の高い地域、利益率の高いアプリケーションなどから各国の事例も併せてご紹介する。

Emergen Researchのレポート

Emergen Research は、市場調査とコンサルティングサービスを提供している。調査項目は多岐に渡り、半導体レーザー、ゲームモニター、エアロゲル、教育用ロボット、水晶発振器など、様々だ。

Emergen Research は、航空宇宙産業における 3Dプリンターの活用実態と、その市場規模について調査を行い、2022年 1月に結果を報告した。

調査形態

この調査は、2018年~2020年のデータを元に、2028年までの市場規模を予測したものだ。Emergen Researchは、市場データを 4つのセグメント(コンポーネント、テクノロジー、アプリケーション、地域)で分割し、調査を実施した。セグメント別の詳細は以下の通りだ。

セグメント小分類
コンポーネント(提供するサービス形態) ハードウェア、ソフトウェア、サービス、材料
テクノロジー(基盤となる 3Dプリント技術)直接金属レーザー焼結(DMLS)、溶融堆積モデリング(FDM)、ステレオリソグラフィー(SLA)、選択的レーザー焼結(SLS)、その他
アプリケーション(3Dプリント技術の用途)航空機、無人航空機(UAV)、宇宙船
地域 北米(米国、カナダ、メキシコ)、ヨーロッパ(ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ベネルクス、その他のヨーロッパ)、アジア太平洋地域(中国、インド、日本、韓国、その他)、ラテンアメリカ(ブラジル、その他)、中東及びアフリカ(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、南アメリカ、イスラエル、その他)

2028年までに約120臆ドル、年平均成長率は26.6%に高成長へ

レポート結果によると、世界の航空宇宙 3Dプリンター業界の市場規模は、2028年に119.8億ドルに達し、予測期間中(2021年~2028年)の年平均市場成長率は 26.6 % とさらなる高成長が見込めることを示唆している。

Emergen Researchのレポート概要を表現した図。将来、航空宇宙3Dプリンター業界が拡大されることが表現されている。
レポート概要(出典: Emergen Research )

最大シェアは北米地域、収益性の高いアプリケーションは航空機

航空宇宙3Dプリンター市場で最大のシェアを占めると予想されるのは、北米地域となった。

北米には、Stratasys Ltd.、3D System Corporation、ExOneなどの主要な3Dプリントサービス提供企業が存在する。近年は、北米地域への研究開発投資も加速していることが要因だろう。

以前ShareLabNEWSでご紹介したのはUAEの研究施設だが、こちらでは日本と世界の3Dプリンターの市場規模を比較しているので気になる方はご一読いただきたい。

≫ 世界初の3Dプリンターによる研究施設がUAEに誕生

また、アジア太平洋地域の市場は、当該地域における可処分所得の増加、航空交通の増加、及び新しい航空機と軍備拡張に対する需要の増加に起因して、予測期間中に最も著しい成長が見込まれる。

最も収益性が高いと予測されたアプリケーションは航空機であった。3Dプリンター技術は航空機部品の軽量化に寄与し、航空機の燃費効率を高めるため、業界から大きな投資がなされている。カスタマイズ性が高く、迅速に部品製造可能な点も注目を集めている一因だ。

ShareLab NEWSでも航空業界での3Dプリンターの事例含めてご紹介しているのでぜひご覧いただきたい。

≫ 航空業界で活躍する3Dプリンター製最終製品【国内外の事例あり】

Emergen Researchのレポートの一部。 アプリケーション(使用用途)別市場規模予測。飛行機市場の伸びがすさまじく、宇宙船や、その他の航空機市場も伸びている。
アプリケーション別市場規模予測( 出典: Emergen Research )

また、カスタマイズ性の高さをうまく活かして実用化している航空機事例はすでにある。

Cabin Management Solutions(以下、CMS)は Markforged社製の3Dプリンター “Markforged X7” を使用し高校級航空機部品を製造している。この3Dプリンターの特徴は、航空宇宙産業用3Dプリンター素材 “Onyx FR” と “CarbonFiberFR” を用いることだ。この素材は樹脂に炭素繊維(カーボン)をブレンドした材料を採用し、機械的強度のみならず、優れた難燃性を備えており、絶対に火災を起こせない航空機に最適化された素材を使用。航空機に欠かせない品質と航行中での適応性のバランスを保っている。

詳細はぜひこちらの記事をご覧いただきたい。

≫ Markforgedシステムで3Dプリントされた高級航空機部品

このような事例が今後も増えていくだろう。

3Dプリンター市場の課題点

ただし、今後の航空宇宙 3D印刷市場において、依然、3Dプリンターの高いコストが最大の成長阻害要因となるとのこと。この課題は航空宇宙業界以外でも共通する点だ。機器、材料といったコストの高さはもちろん、ソフトウェアを使いこなすための人材コストも問題となっている。

自動車、航空宇宙業界をはじめ、3Dプリンターの需要の高まりとともに誰もが手に入る高性能の3Dプリンターが普及することを期待したい。

関連情報

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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