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希少な独3Dプリンター常設のショールームが完成 | ホッティーポリマー

国内でいち早く3Dプリンター用フィラメントを手がけているゴム・プラスチック製品メーカー、ホッティーポリマー。10年前から3Dプリンター活用に取り組み、国内ではいち早くゴムライク樹脂やスーパーエンプラのフィラメント材料を開発。現在では独自の業務用3Dプリンター機器の製造・販売や100%シリコーン材料を造形できる海外メーカーの代理店を務めるなど、3Dプリンター業界で幅広く活躍している。今回、埼玉・久喜にあるホッティーポリマーの工場に約100㎡の3Dプリンター専用ショールームをオープンしたとのことで、そのショールームの模様をお届けしつつ、3Dプリンター業界におけるホッティーポリマーのあゆみについてもお話を伺った。

ホッティーポリマー | 企業紹介

ホッティーポリマー株式会社は、1948年に堀田ゴム工業所として創業、ゴム履物の製造を行っていた。以降、押出しゴムの製造や樹脂三重押出し、硬質樹脂内製化などに取り組んできた。

2007年には現在のホッティーポリマー株式会社に社名を変更。スーパーエンプラチューブをはじめとした異形・複雑形状の加工や幅広い材料を用いた高機能部品の押出し成形技術が評価され、自動車業界や建築・土木業界を中心に高品質な製品を提供し続けている。

生産拠点として、埼玉県久喜市の第一工場、第二工場に加えて、タイ王国のアユタヤ県にホッティーポリマータイランドを設立。これらの拠点で樹脂押し出し成形品の製造を行っている。

現在は高機能部品の押し出し成形に加えて、さまざまな樹脂の加工技術や材料配合技術を活かし、3Dプリンター用のフィラメント開発や製造、3Dプリンターの機器製造、販売および3D造形の受託加工の対応など3Dプリンター業界で独自の立場を築いている。

現場主義で3Dプリンターと向き合うホッティーポリマーのショールーム

既設16種24台以外にも今後大型装置を設置する計画だというホッティーポリマーの3Dプリンターショールーム

ホッティーポリマーが2021年11月、埼玉久喜工場内に新設した3Dプリンター用ショールームをお見せしつつ、同社のあゆみや強みをご紹介しよう。

16機種24台 の3Dプリンターが実際に稼働するホッティーポリマーのショールーム

これまで同社はさまざまな3Dプリンターを取り扱ってきているが、ショールーム開設前は各製品の設置場所が分散していた。これらを一ヶ所にまとめることで、種類が多くわかりにくい3Dプリンターの違いをお客様に理解しながら見てもらうことを考えた。また、3Dプリンターを利用する自社の従業員が利用しやすい場所としての役割を担ってもいる。

関東圏でも目にする機会がここしかない独InnobatiQ社の3Dプリンターをはじめ、自社製3Dプリンターなど希少な機種がこのショールームに揃っている

ホッティーポリマーのショールームは、単なる展示場ではなく実際に実機が稼働している生産現場でもある。約100㎡と、埼玉県下では最大級を誇る。ピュアシリコーンを造形できるドイツのInnovatiQ社(旧German RepRap社)製3Dプリンターは関東ではこのショールームでしか実機を見ることができない(x500proを1台、LiQ320を3台保有)。さらにスーパーエンプラ材を工業グレードで造形できるINTAMSYS社製HTや自社製の3Dプリンターで軟質系の材料に強みを持つエスディーズⅠなど、2022年1月時点で16機種24台をこのショールームで実際に稼働中だ。

取材当日も、ホッティーポリマーがメーカーと共同開発中の材料の造形試験やサービスビューロとして受託した試作品の製造がおこなわれていた他、各種パラメーターを変えた造形試験が行われていた。現地では実際に稼働する実機を見ながら、異なる材料で造形された造形サンプルを手に取って硬さや表面性を自分の手で感じたり、実際に造形した技術者のコメントを聞きながら機器や材料に関して最新情報を聞くことができるだろう。

長年押出し成形の量産現場を回してきた技術者たちが厳しい目線で実地検証してきた知見が感じ取れるので、案内を聞いていても一味違う。「ラティス径はどの程度細いものを造形できますか」と伺ったところ、「装置性能に依存するが0.01㎜で造形したことはあります」と、自ら実践して検証する現場主義を感じさせる回答が返ってきた。

話題になったベルトコンベア式FDM機Creality 3D CR-30で造形した試作品を持つ堀田社長
取材当日、InnovatiQ社 x500proでは造形条件を変えて造形時間を計測しているところだった

設計支援ソフトウェアや3Dプリンター用の材料開発も伴走

試作を造形するために安価でリードタイムが短いということで、社内に3Dプリンターを導入したり、外部に造形委託するケースは増えているが、3Dプリンターはユーザーの目的によって機種や材料の選定が異なる。知識がないと適切に選定することは困難だが、実際に押出し成形で量産現場を支えてきた知見を持っている技術者が20台以上の3Dプリンターを実際に使って得た経験をもとに機種選びや活用時のポイントをアドバイスしてくれるのは心強いと言えるだろう。

左右の製品共通で、従来のパーツ(どちらも写真下)の強度はそのままに、「nTopology」によって無駄な部分を削ぎ落し最適化が図られたのが両写真 上段の流麗な製品だ。これらを手がけられるのも、フィラメント開発と3Dプリンター造形に携わる技術者の双方が揃っているからこそ。

ホッティーポリマーでは、実際に3Dプリンターの特徴を活かした3Dプリンターならではの設計を行うためのソフトウェア活用にも取り組んでいる。 従来のCADソフトではデータ容量が過大で処理がもたつくような複雑な内部構造を持つ設計モデルでも軽量に扱える独自アルゴリズムをもっていることで注目を集めている「nTopology」(エヌトポロジー)もショールームでは紹介されており、DfAMと呼ばれる3Dプリンターならではの設計を行う際以外にも、シボ加工を3Dプリンターで造形できるなど実践的な活用方法を体感させてくれる。

積層痕を消すには研磨などの後処理加工が必要だが「n Topology」を用いれば後処理不要で表面にシボ加工を施せる

また、ショールームの一角にはクリーンブースも設置されている。ここでは、シリコーンゴムを用いた心臓モデルなど医療用品やPEEK材を用いた人工関節などの開発を行うことが可能となっている。

エアシャワーを備えたクリーンブースも設けられており、精密な造形も可能だ

ホッティーポリマー 久喜第二工場(ショールーム所在地)
〒346-0035
埼玉県久喜市清久工業団地2-1
TEL:0480-21-5645(代表)
FAX:0480-23-5663
≫ ホッティーポリマー 公式サイト
≫ ショールーム見学に関するお問い合わせはこちら

3Dプリンターに着目してからの10年の歩み

ホッティーポリマー株式会社 代表取締役社長の堀田 秀敏氏(中央)、経営企画室室長 兼 技術部部長の田鍋 史生氏(左)、営業部 営業課の梅澤 聡史氏(右)にお話を伺った

ホッティーポリマーが3Dプリンターに注目をしたのは2013年だ。それまでは押出し成形の取引を増やしていくことに重点を置いた事業展開を進めていたが、3Dプリンターへの注目が高まりつつあった同年、経営企画室室長 兼 技術部部長の田鍋 史生氏から堀田 秀敏 代表取締役社長に「3Dプリンターを導入したい」との申し出があり、治具などを作りながらいろいろと試してみることを目的に、まずは1台導入した。

当初導入した3DプリンターはFDM(Fused Deposition Modeling / 熱溶解積層)方式で、材料は樹脂のPLAが中心だった。ホッティーポリマーはゴムなどの軟質材を主に取り扱っているため、自社の強みを生かせるゴムライクな3Dプリンター用の材料を作りたいと考えた。

従来よりゴムからスーパーエンプラまでさまざまな合成樹脂を手がけている同社は、材料をコンパウンド配合する技術も保有している。2軸の押出し機を導入しているなど 自社で新しい素材を開発できる環境と技術が揃っていたため、PLA(ポリ乳酸)を主体に試行錯誤してスーパーフレキシブルフィラメントを開発し、2016年に上市している。

ホッティーポリマーが手がけるスーパーフレキシブルフィラメント。

ホッティーポリマーはゴム硬度で60度程度の材料を開発でき、特許を取得している。当初は「触ると切れてしまう」など強度が不十分だったが、改良を重ねていくなかで柔らかさと強度を両立する材料が開発できたことから、本格的に3Dプリンター用フィラメントの開発・製造に取り組んでいこうと決断した。

マテハン時に活用されるロボットハンドに装着するアタッチメントをゴムライク樹脂で造形することで食品などの傷みやすい商品も搬送可能になる。ツメタイプ以外にも、エアー吸引で搬送するアタッチメントなどにも活用できる。

2019年頃からは、「ポリマーソリューションエキスパート」をスローガンに、従来から取り組んできた押出し成形の量産加工の知見を活かし、3Dプリンターで試作開発を加速し、材料開発も含めた少量部品の製造の支援まで業務の幅を広げている。量産現場に求められる精度や安定稼働と日々向き合っている同社だからこそ、工法としてのAM(付加製造:アディティブマニュファクチャリング)への取り組みはモノづくりの上流から下流まで、に寄り添った提案になっていくことを体感しているのだろう。3Dプリンター機器の販売、フィラメントの開発と販売、受託加工開発など、3Dプリンターに関する幅広い分野を一貫して行う同社の姿勢は、それが必要だから実際に試してみてわかったことを提案するという現場主義に立脚していることが感じられる。

またホッティーポリマーは押出し成形の量産を担ってきた実績と、フィラメント開発を行う技術者と、それを元に3Dプリンターで造形を行う技術者が在籍している。両方の技術者が在籍している企業はほとんどいないことから、ここもホッティーポリマーの大きな強みとなっている。

従来からのポリマー分野の押し出し技術と3Dプリンティングの取り組みを活かし、樹脂業界、3Dプリンター業界では、独自のポジションを築いているホッティーポリマー。

ショールームの新設を含め、より3Dプリンター事業に厚みをもたらせていくことを語る堀田社長。TCT Japan 2022のホッティーポリマー ブースでもその姿を見ることができるだろう。

従来のゴムライク材料は、硬さや形状の確認用に用いることはできたが、耐熱性や強度の確認はできなかった。ドイツの展示会では、シリコーン100%に対応した3Dプリンター LiQ320 に出会い、可能性を感じたことで導入を決断した。シリコーン材はサポート材を使用できないが、特許を取得した独自技術の「架橋接合」により、サポート材なしでの大型立体形状に対応可能となり、造形の幅が広がることとなった。

3Dプリンターでは「ABSライク樹脂」のように添加剤が加えられた3Dプリンターメーカー指定材料しか利用できず、「いつも使っている材料が利用できない」という材料の壁があったが、シリコーン100%の造形が可能な LiQ320 ではクリアできる。100%シリコーン材という安心感は今後の活用範囲の拡大が期待できる分野だといえるだろう。

3Dプリンター専用フィラメントを手がけはじめ、その分野で確固たる地位を築きながら 3Dプリンター機器の製造・販売と代理店も担うなど、日本の3Dプリンター業界の一翼を担うホッティーポリマー。同社のあゆみと取り組みを実感できるのが、まさに今回手がけられたショールームなのだ。

まとめ

従来から高機能押出し成形品の量産に強みを持っていたホッティーポリマーは、3Dプリンターに取り組み、フィラメント開発や3Dプリンターの代理店など幅広い取り組みを行っている。また、2021年11月に開設したショールームでは、さまざまな3Dプリンターの見学が可能だ。

そのホッティーポリマーは、2022年1月26日~1月28日の3日間 東京ビッグサイトで開催される 3Dプリンティング & AM技術の総合展 「TCT Japan 2022」に出展する。導入する3Dプリンターの選定に困っていたり、新たなフィラメントの開発や3Dプリンターを用いた造形に困っている方は、同展示会のホッティーポリマー ブースで直接確認すると課題解決への糸口が見つかるだろう。その後、ホッティーポリマーのショールームを訪れて 詳しく話を聞くことで、新たな可能性が見つかるかもしれない。

ホッティーポリマー | 企業情報

東京本社
〒131-0032
東京都墨田区東向島4-43-8
TEL:03-3614-4100(代表)
FAX:03-3614-4162

ホッティーポリマー株式会社 久喜第一工場

久喜第一工場
〒346-0035
埼玉県久喜市清久工業団地1-8
TEL:0480-21-5645(代表)
FAX:0480-23-5663

久喜第二工場(ショールーム所在地)
〒346-0035
埼玉県久喜市清久工業団地2-1

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