砂型3Dプリンターを活用した砂像アートの展示がスタート ―グランフロント大阪
JR大阪駅直結の商業施設「グランフロント大阪」内に、現代彫刻アーティストのREMA氏がデザインした砂像アート作品の展示がスタートした。同作品の造形には、砂型3Dプリンターが用いられている。グランフロント大阪では、2021年3月より、気鋭のアーティストが手がけた作品を施設寧に展示している。今回の作品展示は、同施設の第5弾となるプロジェクトである。
深遠な思想を積み上げた砂像「異物:砂の女」
グランフロント大阪に展示される砂型作品をデザインしたのは、現代彫刻アーティストのREMA氏だ。REMA氏のセルフイメージを使用したCGモデリングデータをもとに、 FES株式会社が砂型3Dプリンターを用いて造形した。
REMA氏は、自身がデザインした砂像作品「異物:砂の女」について以下のように語っている。
「本作品はタイトルにも記されている通り、粒子径1mm 以下の砂の集合によって作られています。 固体でありながら流体でもある砂が、‘凝固され―掘り出され―積み上げられる’ことで、眼前の彫刻として立ち現れます。流動的なものを凝固させる。凝固した物体は固体と言えるでしょうか。いや、本質的にまだ流体のままなのでしょう。その上で、変質し固定されたイメージのなかに視える流動的なコアこそ本質だと、そう考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、自分を誇示したいわけではない私が自分のイメージを、膨大な工程をかけて作りながら思うのです。表象からその中身へ、中身から再び表象を構築した意思を彷徨う中で、砂でつくられた表象は装いや女性のフォルムを越えた’根源的な私’なのかもしれない」
アーティスト自身をモチーフにした砂像を砂型3Dプリンターで造形
作品に込められたイメージを理解するのは難しいと感じる人もいるかもしれないが、3DCGでモデリングされた巨大な女性の頭部のインパクトは誰にでも伝わる迫力がある。この巨大な砂像作品は、立体造形物制作会社のFES株式会社が2022年6月に導入した鋳造用の砂型3Dプリンターを使用し制作された。
作品の造形を担当したFES株式会社は、「砂の3Dプリンターで出来上がった砂の製品は粒の集合体のため多孔質で、そこには砂でありながら透明感とも言えるような一種独特の風合いや特別な魅力が宿っています。金属の製品を形作るための縁の下の力持ちだけの価値では非常にもったいないことだと考え、砂で出来た造形品の製作に チャレンジしました。このような取り組みは日本ではもちろん、 世界でも類を見ない未だどこにも取り組まれていない手法です」と意気込みを寄せている。
本作品は、グランフロント大阪の南館せせらぎテラス内に、2023年3月28日から2024年3月初旬まで展示される予定だ。
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